8月の総括

今日で8月が終わりました。

今年はD51レールパークと413系急行電車という2つの商品を新規に立ち上げました。
それにプラスして雪月花も増便体制。
会社全体で取り組みました。

会社全体でというのは、レールパークでお客様のご案内をしているスタッフが、実は経理部や設備部の職員だったり、413系の納涼列車でお客様にサービスをしているスタッフが列車指令や総務の係長だったり、時には雪月花の女子だったりと、営業部以外でも会社の職務の垣根を越えて、全体で一丸となって頑張ってくれたのです。

413系は土休日に快速1往復、急行2往復の運転をこなし、その後、夕方に納涼列車、さらに夜には夜行列車にと大活躍しました。

納涼列車(ビール列車)は5回、夜行列車は追加運転も含めて4回実施しました。

コロナの状況に左右されましたが、おかげさまで収入も予想以上だったようで、細かな数字は申し上げませんが、経理部長が「なんでこんなにお客様が多いのか、私にはわかりません。」と恵比須顔で言うものですから、私は「くそくらえ!」って感じで、「部長にはわからなくても私にはわかるんですよ。」とちょっとだけ得意顔になりました。

新規事業ですから私はレールパークにも413系にもできるだけ顔を出しました。
スタッフの動きはもちろんですが、お客様の動向や嗜好の性行なども自分の目で見て、果たしてプランしてきたことがその通りになっているのか、修正が必要なのかを確認しなければなりません。つまり、肌感覚というやつです。

今の時代はモノ消費ではなくてコト消費ですから、社長室に座って結果として報告される数字だけ見ていては顧客嗜好をつかむことができません。だから、この肌感覚というのが実に大事なことだと私は考えていて、その自分のポリシーに従って、つまり、ひと夏、レールパークに顔を出し、急行電車に乗り続けたのです。

その結果、発見したことがありました。

お客様の嗜好や行動パターン、消費傾向などはだいたい予想していた通りでしたが、全く予想外と言いますか、「えっ?」と思ったこと。それは、県や沿線自治体の職員の皆様が乗りに来ないということです。

第3セクターというのは地域の鉄道です。
みんなで支えるのが当然だと私は理解しています。
支えるというのは、補助金を出すということだけじゃなくて、実際に行動するということです。

ところが、県の関係者や沿線自治体の関係者の方々は誰一人として413系観光急行列車に乗りに来ませんでした。
夜行列車に乗って車両の中で一晩過ごせとは申し上げませんが、納涼列車(ビール列車)ぐらいはふつうは乗りに来ますよ。
日本全国どこの県でも市でも、第3セクターはもちろん、私鉄やJRを何とか支えなければならない地域は、行政の職員が特別列車を仕立てたり、ビール列車や観光列車に乗るなんてことは、私の常識では「当たり前」ですが、新潟県にはない。
ということがわかったのです。

百歩譲って、今はコロナだから無理というのであれば、「本当は乗りたいんだけどごめんね、協力できなくて。」の一言ぐらいあっても良い。
トキ鉄が一生懸命に納涼列車やレールパークで稼いでいるということは知らないはずはありません。

何しろ行政関係者の方々は私のブログを欠かさず読まれていらっしゃる。
こうして「社長がまた俺たちの悪口を書いてるんじゃないか?」と気が気じゃないようで、隙あれば失脚させようと思っている人もいるかもしれない。
私のブログがコピーされて毎日のように部内に回覧されているのですから、知らないわけはないのです。

県庁や市役所ばかりでなく、霞が関だって私のブログがコピーされて「おい、社長こんなこと言ってるぞ。」と回覧されているわけで、だから大臣だって読まれているわけですから、日本全国、交通行政にかかわる人たちはトキ鉄がJRからボロの電車を買って、昔の色に塗りなおして大人気になっていることも、納涼列車の中で意外に豪華な仕出しのお弁当が出て、社長が自分で接客して歩いていることも知っているのです。

にもかかわらず、新潟県も上越市も妙高市も糸魚川市も、行政関係者が乗りに来ない。
ふだんは「トキ鉄は赤字でけしからん!」「お前の経営が悪いんだ!」と言っているのに、自分たちは関係ないと思っているのでしょうか?

そんな中で糸魚川市はコロナの悪化でキャンセルになった団体予約の雪月花を借り上げてくれて、糸魚川市民号として3往復150人の糸魚川市の親子にご乗車いただきましたのは、実は画期的なことなのであります。

そして、ありがたいことに、7月に着任された副知事さん(トキめき鉄道の取締役)が、会議で直江津にいらしていただくのを公用車ではなくて特急列車に乗っていらしていただき、その会議の前に炎天下にもかかわらずレールパークを見学していただいたことが、私にとっては明るい光なのであります。

ということで、私としては次の目標が決まりました。
ターゲットは県と沿線3市。
「補助金を出してくれ!」というようなことは行政の皆様方がお決めになられることでしょうから、私がやらなければならないのは補助金をもらう前にできるだけ正当に稼ぐこと。

そう、県職員、3市の職員の皆様方のお財布のひもを緩めていただくことが私の目標になりました。
何しろここは未開の地のようですからね。

新潟県職員は1万人以上いらっしゃるようです。
沿線3市も、学校関係者を入れればものすごい人数ですよね。
例えば2万人として、お一人年間1万円ちょうだいできれば2億円になります。
これは税金ではなくてポケットマネーですから、県民、市民の皆様方には関係ありません。
まず、そういうことをできるだけやること。
私はそれが第3セクターとして、市民、県民、国民の皆様方に対する仁義だと思っています。

私はいつも、どこにお金が落ちているかを探しているのはご承知の通りですね。
線路にだってたくさんのお金が落ちている。
誰もそんなこと思わなかったでしょうけど、線路の石が1個500円で売れるのも事実です。
つまり、売り上げ的にどこに伸びシロがあるかを探しているのですが、県や自治体の皆様方のお財布の中に大きな可能性があることを発見しましたので、今後は合法的にいただきに参ろうと考えているところです。

何も買ってくれなくて構いません。
乗ってくれなくても構いません。

ただ、いただきに参上いたしますので、新潟県内2万人の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

最近、モノを売るのをやめたんです。
モノを売るためには仕入れが必要ですからロスが出るリスクもある。
お客様の方もわかっていて、モノを買わなければ自分が払ったお金が100%トキ鉄に入る。
だったらその方が良いんじゃないか。

そう思ってくれる人がたくさんいて、電車の中を歩くとこんな感じなのです。

この手法は使えそうだと思いませんか?