Premium Routeについて

ここ数年、日本人の間でよく使われるようになった英語の一つに「Premium」という言葉があります。

 

「プレミアム」。あちらこちらで見かけますね。

コンビニへ行くと、プレミアムロールケーキなんてのもありますし、飛行機に乗ればプレミアムシートってのもあります。

昭和の言葉を用いるとすれば、さしずめ「デラックス」と同じ意味合いで使われているようですが、形容詞では「特別な」「豪華な」「高級な」という意味ですね。

 

航空会社でも「Premium Route」や「Premium Traffic」などという言葉をかなり以前から使っていて、「Premium Route」とは、特別な路線、「Premium Traffic」とはファーストクラスやビジネスクラスのお客様のことを示す意味として使われています。

 

そこで今日はその「Premium Route」のお話。

特別な路線というのは、この場合、その会社にとって重要な路線ということになりますが、特に営業戦略上重要な路線という意味で使われます。

そして、そのプレミアム路線かどうかを見極めるときに一つの目安となるのが、その路線にどういう飛行機が飛んでいるかということを見ればだいたい察しが付くというものです。

 

例えば、国内線の日本航空でいうとファーストクラスがある飛行機を飛ばしている東京ー札幌、大阪、福岡、那覇といった路線は、最重要路線ということがわかります。全日空でもプレミアムクラスが付いた飛行機を飛ばしている路線は、それなりの需要があるということがわかりますので会社として力を入れている路線ということがわかりますが、それ以外でも、逆の意味から言って、自社の直接運航路線ではなくて、子会社や関連会社が運航している路線というのは、プレミアム路線ではないということになると思います。

こういうところを見ると、その会社がその路線をどう考えているかということがなんとなくわかりますので、地方にお住まいの方は一つの目安になるのではないでしょうか。

 

さて、国際線でもその会社にとって重要路線かそうでないかを見分けるのは、どんな飛行機を使っているか、どんなサービスをしているのかを見ればわかります。

私がこのところよく利用する国際線は東京ー台湾路線ですが、私と同じように国際線をよく利用する友人たちは、口をそろえて日本の航空会社は使っている飛行機も古いのが多いし、サービスも今一つだねと言います。

それは、日本の航空会社が力を入れている路線は、どうしてもアメリカやヨーロッパ路線ですから、最新式のビジネスクラスが付いた飛行機や特別な機内サービスはそちらの路線に最優先に投入されています。だから、東南アジアなどの路線は古い機体や機内設備が残っているものが多く、なかなか改修が進みません。ところが、東南アジアの国の航空会社にしてみると、日本路線、特に自国の首都と東京を結ぶ路線はプレミアム路線と考えているところが多いですから、最新の飛行機や最新の設備、あるいはその会社の最高のサービスを投入してくるのが普通です。ということは、どうせ乗るのであれば、日本の会社よりも渡航先の国の航空会社に乗った方が、新しい機体で良いサービスを受けられると考えられるのではないでしょうか。

 

これが、ふた昔も前であれば、発展途上の国の航空会社は、先進国の航空会社で使用していた飛行機を中古で購入して運航するとか、オペレーション技術も先進国に比べると低かったりしましたので、その点が不安材料でしたから、やっぱり日本の会社が安心だ、という人たちもいましたが、今では東南アジアの国の航空会社も最新鋭の機材を使うようになりましたので、そういう心配もだんだん減ってきたのではないでしょうか。

 

それこそふた昔も前のことですが、私はロンドンからワルシャワの路線に乗りました。

当時のポーランドは政治の改革が行われ、徐々に良くなってきていましたが、日本やイギリスから見ると貧しい国でした。

私はどうせ乗るのであれば乗り比べてみようと、往路はポーランド航空、復路は当時勤めていた自社便を利用しました。

往路のポーランド航空は正直あまり期待していなかったんですが、当時ですら飛行機は最新鋭機でした。機内のサービスも温かい食事が供されて、エコノミークラスでしたが座席も悪くはありませんでした。機内サービスもお酒が無料で飲み放題。午前便でしたのでお酒は飲みませんでしたが、実に意外な印象を受けました。でも、気になったのは飛行機に空席が目立っていたことです。

ワルシャワに数泊して帰路はロンドンへ向かう夕方の自社便に乗ったのですが、往路に乗ったポーランド航空とは逆で、機内はほぼ満席でした。そして出された機内食はハムや野菜などの冷たい食事。往路のポーランド航空に比べると、この路線に対する会社としての力の入れようが違うことを感じました。当時は2国間の物価のバランスというのも大きな要因でしたから、同じコストであればポーランドの方が良いサービスができたということもありますが、客室乗務員も途上国の航空会社は若くてきれいな人が多かったのに対し、先進国の会社は比較的ベテランが多いというのも事実で、「どちらに乗ろうかなあ」と考えるときの意思決定要因の一つになるのではないかと思います。

 

もっとも、できるだけ格安運賃で乗ろうという意思決定の方々にしてみれば、あまり選択要因にはならないと思いますからあくまでもサービス中心で航空会社を決めようとする場合の目安としてお考えいただければと思いますが、私などは最近では時間優先で便を決める傾向にありますので、今度、6月初旬に台湾国鉄の鉄道記念日の祝典に出かけるときの飛行機は、実はバニラを予約しているのです。

 

まあ、ここまでいろいろ旅行していると、機内食などにはあまり期待しなくなってくるというのも事実でして、バニラで行って帰りは日本航空というように、時間都合でいろいろ航空会社を変えて乗っているのであります。

 

ということで、その路線に複数の航空会社が飛んでいる場合、どんな飛行機を使って、どのような座席で、どのようなサービスを行っているのかを見るだけで、その会社がその路線をどういう位置づけで考えているかということがわかりますから、そういう点で面白いなあと私は思います。

 

でも、飛行機の運用の都合で、そういう路線にも最新鋭の飛行機が入ってくることもありますから、実はそういう便は狙い目ということで、マニアックな方々は、そのような便を探すのも航空旅行の楽しみなのであります。

かくいう私も台北ー香港の短距離路線でフルフラットのビジネスクラスに出会ったりすると、この時とばかり座席を水平にしてみたりしているのであります。

 

鉄道ファンにしてみたら、特急や急行列車の折り返し運用で普通列車でも特急車両に無料で乗れるようなものでしょうね。

 

いろいろなところに楽しみはあるものです。