常識が変わる。常識を変える。

先週、大阪の繁華街でコンビニに入ったら、店員さんもお客さんも外国人だった話をしました。
こういう現象は大阪だけじゃなくて、東京でも外国人地帯がありますし、福岡でも外人がたくさんいます。
特に九州はどこへ行っても外国人観光客が多く、常識として言われている旅行需要の主役の日本の熟年世代がかすんでしまうほどです。
私たちの世代(50歳以上)は外国人というと、アメリカやヨーロッパの人たちというのが常識でしたが、今、日本に来ている外国人の多くは中国や韓国などの東南アジアの人たちで、アメリカ人やヨーロッパ人は少数派ですので、今の若い人たちにとっては、アメリカ人やヨーロッパ人はもちろんですが、外国人というのは東南アジアからの人たちだというのが常識だと思います。
これが、私の親の世代(戦前生まれ)の人たちからすると、外国人といえば、アメリカ人やヨーロッパ人の中でも金髪の白人が常識でしたから、同じ外国人でも世代が変わると常識がずいぶん変わったと思います。
同じように、私のように東京生まれの東京育ちで今も関東に住んでいる人間にとってみると、外国人がやってくる日本の玄関は成田空港だというのが常識ですが、40年も闘争をやっている成田空港は徐々に主役の座を羽田空港に奪われようとしていますし、もっと驚くのが、日本の国内は西に行くほど外国人が多く歩いています。
東京よりも大阪、大阪よりも九州の方が外国人が闊歩する姿を多く見かけるのが、特に震災以降顕著で、旅行需要の主役と言われている熟年旅行者もかすんでしまうほどなのですが、こういうことも東京にいる人の常識とは違う現象です。
いつだったか、博多駅で発車する観光列車「ゆふいんの森」を見送っていたら、4両編成の列車のうち、熟年の世代の旅行者はだいたい1両分で、残りの3両は東南アジアからの外国人でいっぱいでしたし、先日、南九州の肥薩線というところで観光列車の「いさぶろう・しんぺい」に乗ったところ、韓国人がグループでたくさん乗っていたのには驚きました。
この「いさぶろう・しんぺい」という観光列車はJR九州で一番辺鄙な路線と言われる肥薩線の中でも、人吉―吉松間という鹿児島、熊本、宮崎3県の県境にまたがる更に辺鄙なところ走る列車ですから、「こんな山の中にも観光客がきてるんだ。」と感じました。
千葉県で言ったら房総横断鉄道に外国人グループが大挙して押しかけてきているようなもので、いすみ鉄道でもそういう可能性があるということを感じました。
このあいだ走り始めた九州の「七つ星」という豪華クルーズ列車は、団塊の世代の旅行需要に合わせた列車というのが常識のようですが、あと10年もすれば旅行需要の主役の座からいなくなる団塊の世代に向けて30億も投資しているのではなくて、やはりこれから需要の拡大が見込まれる中国や東南アジアからの外国人観光客をターゲットにしているのは明白です。
彼らは日本に対して憧れを抱いていて、なんだかんだ言ったって日本が好きで、日本に来たいんですから、九州の鉄道会社はそのあたりをよく心得ているんだと思います。
先日、少し遅れたお正月休みで南の島へ行きましたが、ホテルの中は中国人と韓国人でいっぱいで、大きなリゾートホテルに3泊しましたが、結局日本人には会わずじまいでした。
私は皆さんのお正月休みが終わり、さらにその後の3連休を避けて1月14日からお休みを取ったのですが、現地へ行って「ああ、そうか」と気づいたのは、彼らは旧正月の長期休暇に入っていて、すっかりバカンスモードで、南の島のリゾートホテルは小さな子供を連れた家族連れでいっぱいでした。
7割が中国人で3割が韓国人といった感じでしたが、中国人も小さな子供を連れて家族で南の島へバカンスに来られるようになったんですね。
かつて成田から500人乗りの日本航空のジャンボジェットが1日2本飛んでいた島ですが、今は日本人はほとんど行かなくなり、JALの翼も飛ばなくなって、日本では話題にもならなくなりましたが、中国人にはメッカになっている。これも行ってみて分かった常識の違いです。
ホテルでの朝食はレストランのビュッフェで、いわゆる日本でいうバイキングという形式(英語ではバイキングでは通じません)でしたが、皆さんマナーが良くて、食べ残すこともなければ食い散らかすこともなく、小さな子供がたくさんいましたが、ギャーギャー泣いたり走り回ったりする姿も全く見られませんでした。
10年ほど前までは、中国人観光客が団体で泊まっていると、バイキング形式では食べるものがなくなるのが常識で、それはなぜかというと、彼らは自分が食べる食べないにかかわらず、好きなだけ皿に盛りつけて、さんざんいじりまわした挙句たっぷり残してひんしゅくを買うのがお決まりでしたが、4日間という短い期間でしたが、そういう観光客は一人も見ることはありませんでした。
これが、今の常識なんですね。
中国人といっても10億人以上いますから、南の島へ家族でバカンスに行くような人は富裕層のごく一部かもしれませんが、10年前に日本に来ていた富裕層と比べると、同じ中国人でも彼らは私の知る限り確実に進歩しています。
日本では中国人は何かにつけて日本を敵対視しているという報道ばかりで、日の丸に火をつけたりするシーンが大きく映し出されたりしていますが、そういう報道を真に受けて、日本人も「中国人は嫌いだ。」というイメージばかりが先行しがちですが、そのようなマスコミに作られた常識というのも、そろそろ変えていかなければならないんじゃないかと思います。
中国の政府報道官や、将軍様の国のおばちゃんアナウンサーなどの話し方を見ていると、どうも皆さん高飛車で、上から目線だと感じますが、そういうところだけを見て、「だから中国は嫌い。」だと言ってみた所で、その大嫌いな中国の目の前に位置する場所に、民意だか何だか知らないけれど、何年経っても基地一つ作ることができないような国に、中国相手に戦争などできるわけはありませんから、鼻くそみたいな島にこだわってゴタゴタしないで仲良くする以外には方法がないわけで、「中国嫌い」というのも何とかしなければいけないんじゃないかと私は思います。
もっとも、報道を見る限り、中国と韓国の日本バッシングは同じように見えますが、根本的には全く異なるもので、例えば中国人は合理的ですから、自分たちの利益になるとわかれば日本とでも平気で仲直りをすると思いますが、韓国人は「恨(ハン)」という気持ちが強いですから、自分たちの利益にならないどころか、不利益になるとわかっていても、日本をバッシングすることを続ける国民性があると私は見ています。
そういうことを踏まえたうえで、どう付き合って行ったらよいかというのが今の日本が置かれた立場であり、それが常識だと私は思いますが、今の若い人は、あまりテレビやニュースに惑わされず、自分自身で判断できる力をつけなければいけないと思います。
そういう意味では、いすみ鉄道のような、今までの常識を変える、例えば「写真を撮りに来るだけでも良いですよ。」という鉄道会社に接していると、いろいろ世の中の見方も変わるでしょうし、「ここには何もないがあります。」のいすみ鉄道を理解できる皆さんであれば、もともと、そういう素養を身に着けていらっしゃると思いますから、今、いすみ鉄道に足しげく通っている若い人たちが、これからの日本を作って行くことを考えると、私は何だか毎日ワクワクするんです。
いすみ鉄道に来れば韓国や中国と身近に触れ合うことができるようなしくみを作れば、フレキシブルな若い人たちにとってもプラスになるんじゃないかと私は考えます。
韓国人や中国人、その他東南アジアからの留学生の皆さんに、いすみ鉄道をもっと知ってもらう努力をしないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
ちなみにタイのテレビドラマや映画では、いすみ鉄道が登場するものがあるんですよ。
千葉県のフィルムコミッションのご紹介ですでに何度も撮影が行われていますから、そのうち、タイからいすみ鉄道のファンがたくさんやってくるかもしれません。
ローカル線と言うのは、世界平和にだって貢献できるんじゃないか。
というのが私が考えるローカル線の可能性なんです。

JR九州肥薩線の観光列車「いさぶろう・しんぺい」
いすみ鉄道など足元にも及ばないほど辺鄙でワイルドなローカル線ですが、山の中の小さな駅がこんなに賑わっています。
姿かたちではわかりにくいですが、韓国人の団体客がバス1台分乗車していました。
これが現実であり常識なんですね。
私は、長い外資系会社での生活経験から、日本という国は世界のリーダーシップを取っていくべき国だといつも思っていますし、もうそろそろ、本格的にそういう時代がやってきても良いんじゃないかと考えていますが、そのためにはいろいろな常識というものを見直す必要があるんじゃないかと思うんです。