「どこかに行きたい!」という病気

コロナの自粛が続いていましたが、そろそろ皆さん「どこかへ行きたい!」と感じているのではないでしょうか。

コロナという病気にかからないように移動を自粛して頑張っていると、「どこかに行きたい!」という別の病気にかかる。
もしかしたらかかるのではなくて、人間誰しも体内にそういう菌を持っていて、自粛を引き金にストレスがたまると症状が出てくると言った方が正しいかもしれませんね。

電車や飛行機に乗って遠くへ行きたい。
ドライブしたい。
温泉旅館に泊まりたい。
ホテルで朝食を食べたい。

旅行の動機はいろいろあるかもしれませんが、皆さん考えることは同じ。
そう、「非日常体験」をすることが「どこかに行きたい!」ということだと思います。

でも、国の「GO TO キャンペーン」はそういう私たちの「どこかに行きたい」という病気を治すためにあるのではありません。

観光客が来なくなって、地域社会の主要産業である地域交通や観光事業者が大きなダメージを受けている。このままで行けば、そういうお仕事が無くなってしまうとすれば、お金を稼ぐ装置が無くなってしまうことになりますから、この国の、特に地方の町では将来的にお金を稼ぐことができなくなってしまう。そうなっては生きて行かれなくなりますから、そうならないように、皆さんで地域を旅行して、地域経済に貢献してください。ということが国が大きなお金を投じてGO TO キャンペーンを行う理由です。

だから、「どこかへ行きたい!」という病気を発症してきている皆様方は、そういう国の制度を利用して、正当な理由を持ってご自身でその病気を治療することができる。
大手を振って、「俺は地域貢献のために旅行へ行くんだ!」と言えるのです。

そのために国のGO TO キャンペーンを大いに利用しましょう。

でも、私がこんなことを言うと、必ず「けしからん!」という人たちがいます。

観光?
ふざけるな!
観光なんて遊びだろう!
お前は税金を使って遊びをやるのか?

こういう理論ですね。

田舎のおじいさん達の年齢の人たちにそういう人たちが多い。
でも、中にはテレビに出ている有名なコメンテーターの中にも、平気でそんなことを言って自分の無知をさらけ出している人もいるようです。

未だに高度経済成長時代の右肩上がりの甘い思い出が抜けきらない人たちです。

「じゃあ、あなたはこの町をどうしますか? 次の若い人たちにどうやって引き継ぐのですか?」

そう質問すると、絶対に答えられない。

自分たちは第4コーナーを回ってゴール目前。
逃げ切り体勢に入っているから関係ないんですね。

田舎の町でもそういうところがたくさんあります。

ここ数年頑張って観光客を呼び込もうと一生懸命努力してきたところ。
そういうところが今回のコロナで大きく被害を受けています。
なぜなら、設備投資をして、人を雇用してチャレンジしてきたから。
それに対して何もしてこなかったところは、コロナでも全然ダメージを受けていない。

なにしろ、何もしてこなかったんですから、設備投資もしていないし人の雇用もしていない。
そういうところはコロナでも被害も受けず、のうのうとしているわけで、実に危険極まりないのが、何もしてこなかった人たちが、「それ見たことか。余計なことをするからこんなことになるんだ。」と言って、自分たちを正当化すること。
頑張った人たちが評価を受けず、何もしなかった人たちが、自分たちが正しかったんだということがまかり通るとしたら、将来的に見てこの国はお仕舞になるのです。

だから、そうならないようにするのがGO TO キャンペーンなのであって、都会の皆様方は、国の補助をいただいて、頑張っているところへどんどん出かけて、地域貢献をすること。そうすることで「どこかへ行きたい」という自分の病気も治すことができるのですから、こんなによいキャンペーンはないと私は考えるのです。

例えば田舎の温泉旅館があるとして、一生懸命頑張って来たところがコロナで大きなダメージを受けていて、何もしなかったところは平気なんです。
そういう視点で見て観ると、いろいろ見えてくるものがあると思いますよ。

「観光なんて遊びだろう! お前は税金を使って遊びをやるのか。」

そういう田舎のおじいさんたちにお知らせします。

そりゃあ、あなたたちが自分で観光に行く時は遊びでしょう。
でも、観光客は明日から旅行に行くという前の日に何をしますか?
ATMに行って1万円札を下すでしょう。

観光客というのはお財布の中にたくさん1万円札を入れてやってくるのです。
お金を使いにやってくるんです。
そして、観光地の皆様方は、観光客のお財布の中の1万円札を、どうしたら自分のお財布の中へ移動させることができるか。それが観光地のお仕事です。
だから、観光というのは立派な産業なんです。

工場を立ててものを生産して富を作り出すこと。
お爺さんたちの時代はそれが産業でしたね。
でも、地代が変わって、今は、観光にいらしていただくことが産業なのです。

だからといって、そんなに簡単に観光客なんて来てくれませんよ。
なにしろ、都会から見たら四方八方にたくさん魅力的な地域があるわけで、それぞれの地域が皆さん凌ぎを削っているのが観光地ですから。
だから、数ある観光地の中から、選ばれなければ観光客は来てくれないのです。

そのためには戦略が必要ですから、観光は立派な産業なのであって、「観光なんて遊びだろう」などと言っているところは絶対に這い上がれないのであります。

都会の皆様、夏休みはGO TO キャンペーン!
気に入った町へ出かけて、たっぷりと地域貢献をしてください。

「都会の人は来ないでください。」
と言っていた地域が、どうやって、コロッと手のひらを返すか?

そういうところも勉強させていただこうと私は注目しています。

皆様、えちごトキめき鉄道でお待ちいたしております。