交通の重要性

会社で駅のトイレの整備計画をしていて、シャワートイレに改造しようという話が出ていましたが問題が起きました。
シャワートイレが品切れで入荷しないのです。

知り合いが自宅の給湯器の調子が悪いので早めに変えようと思って業者さんに連絡したら「ありません。」って言われたとのこと。
給湯器もおそらく半年待ちのようです。

我が家の給湯器も20年以上が経過していますが、大丈夫かなあ。

何しろ部品が入らないらしい。
いろいろな部品がベトナムなどの東南アジアで作っていて、コロナで工場が閉鎖していたりしていることが原因だ、と思っていたら実はそれだけじゃないらしい。

じゃあ何があるのかというと、実際には物流も滞っているようで、船が着かない。着いても荷揚げができない。
そういう状況にあるようです。

例えばアメリカの西海岸の港では、港湾労働者というのはメキシコや中南米からの出稼ぎ労働者が多い。コロナでそういう人は来れませんから、働き手が少ない。
だからコンテナ船が港に入っても、船から荷物を下ろすことができない。
そうすると港がいっぱいになってそのうち船が入港できなくなる。
沖合でずっと待っているのだそうで、通常なら2週間程度で到着する貨物が数か月かかる。その間荷物はずっとコンテナの中ですから、どういうことかというとコンテナが占有されるわけで、つまり、コンテナの数が足りなくなる。

そんなニュースが流れていました。

コンテナ不足 世界の物流混乱 国連“世界経済の回復に影響も”

そう言えば40年も前に勉強していた交通論で先生からこう言われたことを思い出しました。

「コンテナというのは1つの荷物を運ぼうと思ったら最低でも3つ用意しなければなりません。1つは荷物を運んでいるコンテナ。1つは帰ってくるコンテナ。もう1つは荷主さんのところへ行っているコンテナ。」

・荷主さんのところへ行って荷物を積んで
・目的地まで運んで
・帰ってくる

だから最低でも3つは必要で、帰ってくるコンテナを空ではなくて荷物を積んで来れれば利益が出る。
これは船舶もトラックも鉄道も航空も同じでしょう。

だから、先方に届くまでに時間がかかればかかるほど、コンテナの数が足りなくなる。
足りなくなるとどうなるかというと、運賃が上がるのです。

日本人は意外と交通というものに対して無頓着というか無関心な人が多い。
スマホの画面をポチッとすれば翌日には宅配で希望した品物が家に届くと思っている人がとても多いような気がしますが、実はそんなに簡単なことではなくて、物が実際に運ばれてくるということはすべてがシステムで動いているわけですから、その途中のどこか一つがトラブルを起こしても品物は届かないのです。

電車も走っているのが当たり前。
荷物も届くのが当たり前。

これは確かに当たり前かもしれませんが、当たり前じゃないんです。

私は毎日のように会社で貨物輸送を目の当たりにしていますから、これって血管のようなもので、途中で一か所でも切れてしまうようなことがあったら、シャワートイレや給湯器などの問題ではなくて、日々の生活に必要な衣料品や食料品だって手に入らなくなるという、実に綱渡り的な輸送が行われているというのが日本の現実なのでありますが、人流も物流もすぐに費用対効果だとか赤字だ黒字だとかしか言わなくなっているこの国の現状を考えると、自給自足が可能な田舎ならともかく、大都市圏での生活はなんとなく砂上の楼閣のような気がするのです。

この辺でそろそろ基本に返って、きちんと交通政策というものを考えないといけませんよね。

江戸時代の五街道の整備に始まり、北前船、樽廻船など昔から交通の整備が文化文明を発展させてきたのですから。
逆に言うと、交通が廃れるようなことがあれば、国は廃れるのです。

ハード面を整備することは基本中の基本でありまして、それだけで人流や物流がスムーズに行くわけではありませんが、その基本中の基本であるハード面の整備すら、特に鉄道ではあなた任せの状態が続いているのは、私は国家百年の危機だと思っています。

直江津は交通の要衝ですから、トキめき鉄道がトラブっただけで九州の食糧が東北に届かないし、北海道の原材料が大阪や西日本の届かなくなるのです。

1月の大雪の時に当時の赤羽国交大臣が訪ねてくれました。
その時に私は赤羽大臣に申し上げました。

私は要望をするということはあまり好きではありません。
他力本願では物事は進みませんから、まずは自分たちで一生懸命やることが大事です。
だから、その時も私は大臣に要望は出しませんでした。

ただ、私はこう申し上げたのです。

ここは物流の大動脈です。
50年前に国の政策で複線化や電化が行われました。
その後45年間国鉄とJRが使ってきました。
トキ鉄は5年前に引き継ぎました。
今、設備が更新時期を迎えていますが、45年間国鉄とJRが使ってきたものを、わずか5年前に引き継いだトキ鉄が全体的な更新をするのですか?
新潟県と沿線市がその負担をするのは、どう考えてもおかしいと思いませんか?

御返事はまだいただいておりませんが、最近ではあちらこちらで老朽化した変電所がトラブルを起こして電車が動けなくなるなど輸送が大混乱するニュースが聞こえてきますが、私はヒヤリハットだと考えています。
さて、どうしますか?

ヒヤリハットを見過ごさずにトラブルを未然に防ぐということは、国の指導にもあるはずですが、どうしましょうか?

変電所がいつぶっ飛んでも良いように、貨物会社さんは富山機関区に強力なディーゼル機関車を配備しておいてくださいね。
なんなら1両ぐらいレールパークでお預かりしますよ。

というのが昨今の心境であります。