室蘭本線 小幌駅

NHKの夜7時のニュースで室蘭本線の小幌(こぼろ)駅のことをやっていました。

 

小幌駅は知る人ぞ知る秘境駅として鉄道ファンには有名なところですが、実は2年ほど前に会社の経営が厳しいことを理由にJR北海道が廃止を表明しました。確かにここ数年の1日の乗降客は0人。数字で見る限り駅としては機能していませんし、町はずれにあるために地元の人の利用は皆無なので、町民としても、廃止されても誰も困らない駅なのです。

 

でも、実はこの小幌駅は今でも駅として残っていて列車が走っていて、つまりは廃止を免れて、今日のNHKのニュースは、小幌駅で利用実態調査が行われ、2年前まで0人だった乗降客が、1日最大22人まで増えているというのです。

 

NHK NEWS WEB  (←ここをクリック。多分数日で消えます。)

 

私が面白いと思うのは、JRが廃止にしたいという駅を存続させたのは豊浦町役場で、JRが廃止にしたいという理由は誰も利用しない駅の維持管理費負担ができないというものでしたから、ではその分の費用を町役場で負担しましょうと提案したら、駅が残ったということです。

 

細かな金額はわかりませんが、町役場が負担する金額は年間100数十万円。人口約4000人の町としては、利用しない駅のためにJRにそれだけの金額を払うのははっきり言って小さな金額ではないと思います。福祉にだって医療にだってお金はかかるわけですからね。

でも、誰も乗り降りすることのない秘境駅は町のシンボルとして、広告塔として利用できるということに気づいて予算化して駅を残しただけで、NHKの夜7時の全国ニュースで取り上げられるのですから、宣伝効果としてはずいぶん大きいのではないでしょうか。

 

実は、こういうことは町役場が考え付いて行うことはなかなかできないものですが、鉄道を上手に利用すれば町が元気になるということをよく理解している私の友人たちが、町を説得して、JRを説得して、何とか試験的に残せないかということで実現したのです。

 

そう、北海道の私の友人たちですから、もちろんいすみ鉄道で私がやっていることも十分知っているし、そのいすみ鉄道に行政がしっかり予算を取ってサポートしてくれているということもよく知っていますから、そういう仕組みがあれば残れると判断して町役場に提案して、町役場でも議会で予算化したということなのです。

 

豊浦町役場のホームページはこちら

 

ホームページをご覧いただければお分りになると思いますが、小幌駅のこともしっかり紹介されています。

つまり、年間維持費百数十万円で、自分たちの駅を手に入れたということなのです。

 

これからフォトコンテストなど、いろいろなイベントを展開していくようです。

なかなか行くことはできないかもしれませんが、豊浦町という鉄道を上手に使い始めた町があるということは知っていていただきたいと思います。

 

駅があると土地の価値が上がる。

駅前の土地は高い。

これは都会人の常識です。

でも、田舎の人はその価値がわかりませんから駅を廃止してしまうし、駅ばかりじゃなくて鉄道も廃止してしまいます。

そうすると自分たちの地域の価値が下がるんですが、そういうことがわからないから、今まではどんどん鉄道を廃止して、自分たちの土地の価値そのものを下げて来たんです。

 

ところが、いすみ鉄道沿線もそうですが、この豊浦町も、自分たちの鉄道や駅は自分たちで守るということがんばってやってきました。

そして、今、全国区になって、お客様がたくさんいらしていただけるようになりましたし、特産品なども売れるようになってきました。

 

私はこういうことは、今の時代では正しい鉄道の利用の仕方だと思っていますし、北海道の私の友人たちも、同じ思いで何とか鉄道や駅を活用しようと頑張っているのが、私はとてもうれしく思います。

 

今日は、地域の役場と私の友人たちの活躍を知っていただきたくて、小幌駅のことを書いてみました。

 

でもね、かくいう私自身は室蘭本線は何十回も乗っているのですが、この小幌駅に降りたことはないんです。(笑)

 

それでも駅は必要だと私は思いますよ。

 

何しろ田舎の町が全国区ですからね。