よーい、ドン!

新学期がスタートしました。
我が家でも新中学生と新高校生が誕生しました。
新しい学期のスタートといえば、中学3年生は受験学年。
来春の高校受験に向かって、気合を入れて一斉にスタートを切ります。
スポーツでいえば「よーい、ドン!」で一斉に走り出すのが今の時期です。
でも、スポーツは一斉に走り出しますが、受験勉強は人より早めに走り出す人もいれば、みんながスタートしているのにのんびりとしている人もいます。
スポーツだったらフライングとして反則扱いにされることでも、受験勉強は早くスタートすればするほど親や先生から褒められたりしますから、そうした方が良いと思います。
私がずっと昔に勤務していた学習塾は新学年が3月に始まります。
学校よりも、みんなよりも1か月早くスタートすることで、先頭集団から抜け出すことができるわけです。
今の世の中、高校受験はほとんど全員がしますから、全員参加型の「よーい、ドン!」の典型的な例です。
ところが私の目から見ると、全員参加型の高校受験に似た状況が日本各地に見られます。
それは、町おこしなどと呼ばれる地域活性化です。
地域活性化とはすなわち外部からお客様にいらしていただくこと。
昔でいえば工業団地を作って企業に来ていただき、そこで働く従業員に住民となってもらうこと。
今なら観光地化をして首都圏などの大都市部から観光にいらしていただくことが地域活性化のカギとなります。
私はこれを全員参加型の高校受験と同じように考えます。
高校受験では同級生や同じ受験域の同学年が一斉にゴールを目指します。
地域活性化の場合、高校受験の同級生に当たるのは日本全国の過疎地域や元気がない商店街など。
ゴールは少子高齢化で人口が減る時期。
私が考えるのは団塊の世代と呼ばれる人たちの活動期が終わる10年~20年後です。
つまり、生き残りをかけた地域ごとの戦いです。
例えばいすみ鉄道のようなローカル線では観光列車を運転してお客様にいらしていただかなければなりません。
お客様とはいすみ鉄道の場合東京湾沿岸の都市部にお住まいの方ですから、そういう人たちが何を欲して、どういうところに行きたいかを考えるわけです。
ふらりとローカル線に乗りたいという需要はマーケットとして存在します。
でも、それは別にいすみ鉄道じゃなくても良いわけです。
首都圏でいえば箱根登山鉄道や伊豆急行、江ノ電、富士急、野岩(やがん)鉄道など、面白そうな鉄道がたくさんあります。
いすみ鉄道としては、他へ食指が向いているお客様をいすみ鉄道に振り向かせなければなりません。
そして、そのお客様に実際にいらしていただかなければならないわけです。
地域だって同じ。
あちらこちらで町おこしが始まってますが、いろんなところで町おこしが始まると、何もしないのは論外で、自分たちが一生懸命町おこしを始めたとしても、それは「よーい、ドン!」でスタートを切っただけですから、よほどの努力や工夫をしない限り先頭集団から抜け出すことができないのです。
だから、私は、フライングでもよいから、他の地域が本格的に町おこしを始める前に、ひと足もふた足も早く始めれば、簡単に先頭集団から一歩リードできる体制になれると思うのです。
私がいすみ鉄道でやっていることは大したことではありません。
誰だってできることです。
ただ他と違うのは、他の鉄道会社よりも先にレトロ車両に目を付けて、他の鉄道会社より先に昭和の旅を展開して、他の鉄道会社より先に地域を舞台として演出しているだけ。
「よーい、ドン!」で、「ドン!」がなる前にスタートしているだけなのです。
いすみ鉄道沿線地域は、いすみ鉄道のやり方を見て、「何んだ、簡単そうじゃないか。」「あんなのでよかったら自分たちにもできる。」と町おこしですでにスタートを切っています。
同じ千葉県でも、南房総地域や北総地域、銚子など、競争相手はいっぱいいます。
その他にもこれから走り出す地域もあります。
そんな時、皆と同じにスタートを切ったのでは、いくら走っても努力しても、他の選手たちも頑張っているのですから、なかなか結果は出ません。
1日も早くスタートを切ることが一番の得策なのだと思います。
全国の町おこしという名の受験生の皆さん、頑張ってください。
1つだけ確実に言えることは、なかなか実感できないけれど、少子高齢化による人口減少というゴールは確実にやってくるのですから。