鉄道ファンはけしからん??? のウソ

先週、どこかの新聞で、「鉄道ファンのマナーの悪さ」 を記載していました。
鉄道ファンが写真撮影に夢中になって列車を止めたとか、そんな話。
この手の話は良く聞くことで、日本人特有の誰かを悪者にして「そうだそうだ!」というもの。
まあ、外国にも魔女狩りなんてのがあるから、人間はみな同じかなあ、とも思います。
ただ、一つだけ言えるのは、鉄道ファン(悪い意味でマニアという言葉がよくつかわれます)のマナーが悪く、彼らが列車を止めると決めつけて報じていること。
報道とは何かと考えた場合、大した取材もせずに、先入観で最初から悪者を誰と決めつけて報じているのは、ジャーナリズムとして恥ずべきことなのです。
最高検察も最初から悪者を誰と決めつけてストーリーを立てて逮捕しているようですから、やはり、そういう立場になるとそう考えるのが人間なのかもしれませんが、賢明なる庶民の皆様方は、そんな国家権力や報道には騙されてはいけません。
本当のことをお話しましょう。
鉄道ファン(マニア)の人たち、特に撮り鉄と呼ばれる人たちは、ある一定の規律に従って行動しています。
きちんとマナーを守って、ルールに従って写真撮影をしています。
彼らは決してマナーを守らない人たちではないのです。
ていうか、その撮影のマナーそのものが、鉄道ファンの間で出来上がってきたものなのです。
では誰がマナーを守らず、危険行為をして、列車を止めるのか。
それは、にわか鉄。
普段は鉄道写真など撮らないけれど、ブルートレインがなくなるとか、SLが走るとか、そういうイベントなどでフィーバーしている状況下で急に現れる「にわか鉄」の人たちが、一番たちが悪いのです。
具体的に言うと、ふつうのおじさん、おばさん、そしてママさんたち。
鉄道写真を普段から撮影している人たちは、一眼レフに望遠レンズですから、別に線路内に立ち入らなくたって、遠い場所からいくらでも撮影できる。
でも、にわか鉄の人たちは小型のデジカメやへたすりゃ携帯のカメラで撮るもんだから、線路にうんと近寄らなければ列車が映らないし、列車がうんと近寄ってこなければ良いアングルにならない。
だから、運転士や鉄道会社がヒヤヒヤするのはそういうにわか鉄の人たちなのです。
じつは今日、キハ52の貸切列車が走行中に線路のすぐわきに人がいる。
運転士は危険を感じて警笛を鳴らしても知らん顔。
仕方なくブレーキをかけて列車を停止させたという報告がありました。
「どんな人だった?」と運転士に聞いたところ、
「60代後半から70ぐらいのおじさん」との答え。
このところいすみ鉄道がテレビで紹介され、菜の花のピークを迎えていますから、ふだんから鉄道の写真を撮っている人たちだけじゃなくて、ハイキングや旅行がてらについでに写真を撮るような人たちがたいへん増えています。
今日はヒヤヒヤしたとか、危ないから停まって注意した、というような報告がしょっちゅうしょっちゅう私のところに届きますが、運転士が口をそろえて言うのは、70ぐらいのおじさんやおばさんが犯人。
列車を止めるのは、退職した世代で、帽子をかぶってリュックを背負って、ハイキングがてらに歩いている旅行者たちなのです。
そして、団塊の世代より上のそういう年代の人たちに共通して言えるのは、注意をしても「ごめんなさい」とか「はい」と言って素直に従うことがないこと。
必ず一言二言逆に文句を言って、へたすりゃ捨て台詞をはいていく。
人生の円熟期に入っているのだから、若い人の手本になるような行動を取らなければならないというのに、人生長い分だけ知恵が付いているから、意外に性質(たち)が悪いのです。
今日緊急停止したキハ52の貸し切り列車には実はテレビ局のカメラが乗っていました。
「原因になった人は顔まではっきり写しましたよ。テレビで公開しちゃいましょうか。」って言ってましたが、そんなおじさんに対してむきになっても大人気ないだけですからね。
「最近の若いやつらは・・・」って昔から言われますが、最近は若い人たちはきちんとしてますよ。
意外にどうしょうもないのが50代後半から70代のシニア層。
そして、鉄道マニアのように一つのことを地道に続けている人たちはきちんとしているのです。
別に私は自分自身が鉄道ファンだからといって鉄道ファンを弁護しているのではありません。
事実を申し上げているだけです。
なんたって私は毎日撮影地にいて見聞きしているのですから。
(誤解のないように申し上げますが、団塊の世代以上のシニア層が全員ダメというのではありません。列車を止める人たちの年齢層がその世代だということです。また、鉄道ファンは皆良い人というのでもありません。たくさんの人がいれば、必ずハズレもいるのが人の世ですから。)

菜の花と桜が共演する新田野駅。
左手に数人のカメラマンがいます。このカメラマンたちぐらいの距離だったら何にも問題ないんですけどね。(この写真は後追いで撮影したものです。)
ああ、また今夜も熱く語ってしまった。