三つ子の魂 百まで

土曜日のブラ鳥に永野駿くん(子鉄くん)が参加してくれました。

春日山に住んでいる小学校6年生の子鉄くんにとって、地元の鉄道を探検することは、たぶん、とても意義のあることだと思います。
お母さんもそういう子鉄くんを理解してくれているのでしょう。
今の時代は、好きなことをどんどん追及していくのも子供の教育にとって大事なことだという考え方も確立していますから、どんどん好きなことに熱中して行ったら、子鉄くんがどんな大人になっていくか楽しみですね。

かくいう私の時代は偏差値最優先時代。
教科書を持たずに時刻表をカバンに入れて学校に行く子供に、「どんどん好きなことをやりなさい。」と言ってくれる時代ではありませんでしたからね。

でも、私の場合は、親の言うことも聞かず、我が道を行く人生を歩んできましたから、親とも先生ともいろいろなところで衝突しましたし、今思い出せば何となく回り道をしたようにも思いますが、それでも、その回り道は間違ってはいなかったということは自信を持って言えますよ。

なぜなら、今でも電車をやってますからね。

関山の旧駅で、ふだんは入れない線路の中で写真を撮る子鉄くん。


こちらは今から51年前、1972年の私。
青梅線の奥多摩駅です。
子鉄くんと同じ小学校6年生でした。

ゴールデンウィークに当時すでに珍しくなってきていた茶色のチョコレート電車を撮ろうと、5つ年上の友達のお兄さんに青梅線に連れて行ってもらって撮った写真が皆様よくご存じのこのカット。

せっかく撮影に来たのに、電車が落書きだらけでがっかりしたのを今でも覚えています。

休日には101系の快速電車が東京から直接乗り入れて来ていて、終点の奥多摩駅到着後に入換をして午後まで駅構内でお昼寝をしていましたが、お目当てのED16電気機関車もペンキでギトギト。この有様ですからがっかりしましたね。

この時は沖縄本土返還の年で、国鉄ばかりではなく、全国いたるところで赤い旗が振られていました。
当時は学校の先生たちも赤く輝く人たちがほとんどでしたから、そういう先生たちから教育を受けた私も、労働組合の考え方に対しては好意的な方だとは思いますが、いただけないのがこの写真です。

鳩ノ巣駅だったと思いますが、到着した電車にカメラを向けたら、乗務員室にいた3人がみんな顔を下に向けてしまったんです。

こちらは小学生ですよ。
その小学生に対して顔向けができないことを自分たちはしていると思ったのでしょう。
せっかく電車の写真を撮りに来たのに、電車が落書きだらけでがっかりしたのはもちろんですが、それはそれで自分たちの主張があったのでしょうから百歩譲って理解したとしても、この国鉄職員たちは、小学生に顔向けができないようなことをしていると、私はこの時思ったことは今でも覚えています。
そして、こういう大人にはなりたくないと心に誓った瞬間です。

今思えば、国鉄からはいろいろ教えてもらいましたね。


この日の唯一の収穫はこのカット。
3扉のクハ55が編成に入った電車が来たのです。
4両編成ぐらいだったと思いますが、クハ55はこの時すでに貴重になっていましたし、だからでしょうか。この車両はほとんど落書きされていませんでした。

さて、こちらはあれから51年後の先日の日曜日。
黄色いシャツを着た子鉄くんが先輩たちと一緒にカメラを構えていると、やってきたのは・・・


急行「佐渡」のヘッドマークを付けた国鉄形電車。(撮影:山岸将聡氏)

トキめき鉄道ではリクエストヘッドマークと言って、前もって頼んでおけば有料で自分が好きなヘッドマークを列車に取り付けることができるサービスがあるのです。

そしてこの急行「佐渡」は、子鉄くんのリクエスト。
なぜならこの日は子鉄くんの12歳のお誕生日で、ご両親がリクエストして取り付けてくれたのです。

それが本日の上越タイムスに載ったのであります。

旧急行「佐渡」選び乗車 トキ鉄「リクエストヘッドマーク」 全国のファンと交流も 鉄道や電車が大好き 永野 駿君(12)

こうなると一つの事件ではないでしょうか。(笑)

子鉄くんの人生の中で、今後何十年も大きな輝きを放ち続けることでしょう。

私の時代の「当局マイッタカ」とは雲泥の差ですね。


▲165系急行「なぎさ」。1972年、上総興津

でもまあ、51年が経過した今でも、同じ国鉄形の電車が走っていて、お爺さんと孫の世代が同じ会話で盛り上がれるというのも鉄道が持つ大きな力ですから、今、トキ鉄で観光急行が走っているということは、結構すごいことなのだと、私は胸を張って言いたいのであります。

何しろ、現役の国鉄形急行電車は、いつの間にかトキ鉄のクハ455だけになってしまいましたからね。

子鉄、鉄道会社に入りたいなら、まずは算数だな。

頑張れよ!

12歳のお誕生日おめでとうございました。