5eのススメ

昔、「E電」という言葉がありました。

国鉄からJRになったばかりの頃ですから、もうかれこれ37~8年前でしょうか。

東京の電車は昭和の時代には電車区間と汽車区間に分かれていて、切符の売り場も違っていました。
電車区間というのは山手線はもちろんですが、京浜東北線の大宮、大船まで。中央線は高尾まで、常磐線は取手まで、総武線は千葉までといった感じで、それより遠くへ行くのは「汽車区間」の窓口で切符を買うような時代があったのですが、その近距離電車の区間を「国電区間」、103系のような近距離の電車を「国電」と呼んでいました。
つまり、国鉄電車区間ということです。

例えば長距離電車が東京や上野に到着するときには、「国電各線お乗り換えです。」というようなアナウンスが流れていたのですが、それが国鉄からJRに変わって、「国電」じゃあおかしいだろう、という話になりまして、では一体なんて呼び名にしましょうかという話になって、一般公募をしたのです。

「民電」とか「首都電」とかいろいろ集まったんですが、何を思ったのか、JRはそういう公募の順位には関係なく、突然「E電」と発表したのです。

で、駅の表示も車内アナウンスも全部「E電」に変更しました。

「次は終点の東京です。E電各線はお乗り換えです。」って感じにね。

でもって、当然なんですが、これが全く浸透しない。
利用者に受け入れられなかったんです。

あの会社は今でもそうですが、公募をしておきながら順位とは関係なく決める癖がありますが、この時が始まりですかね。
そして、見事にこけたのです。

国民の皆様方は全く相手にしませんでした。

でもって、私が大変興味深かったのは、何年経っても利用者に受け入れられないような名前ならさっさと変えればよいものを、これみよがしにずっと使い続けたのです。
「E電」「E電」ってね。

ちょうどタケちゃんマンで、サンマが「ぱ~でんねん」ってのをやっていて、「ぱ~!」ってのが私にはかぶって見えて、ぱ~でんねんならぬE電ねん。
「あほじゃないか?」「あほちゃいまんねん、ぱ~でんねん」って、笑いものになっていたのです。

でも、今考えると、時代の最先端を行っていたことがわかりますね。

だって「Eなんとか」って、今なら普通でしょ?

eビジネス、eコマースとか、いろいろあるじゃないですか。
東京の電車をE電って呼ぶのも、今ならありでしょうね。

つまり、どういうことかというと、時代の先取りをしようとして、2歩も3歩も先を行ってしまったんです。
だから、国民が付いてこない。
付いてこられなかったのです。

あまり時代の先を行くと、国民が追い付けないんです。

じゃあ、どのぐらい先を行ったらいいかというと、最大でも1歩。できれば半歩先ぐらいがちょうどよいのではないかと私は考えています。

時代というのは常に動いていますから、何もしないことや立ち止まっていることは時代に置いていかれます。
鉄道会社、ローカル線なんか特にそうで、時代からどんどん取り残されています。
だから、一生懸命時代に合わせて変わっていく努力をしなければなりませんし、そうやって初めて時代と一緒に動いていくことになるのですが、では時代よりも半歩先へ行くということはどういうことなのでしょうか?

私は、時代より半歩先に行くということは、半歩分だけ早く歩き始めればよいと思います。
人よりも少しだけ早くスタートすれば、あとは人と同じペースで動いていても常に半歩リードすることができますからね。
そうすれば楽なもんでしょう。

ところが世の中には動きたくない人や動けない人もたくさんいて、そういう人は常にスタートが遅いから、いつも付いていくのがやっとなんです。

駆けっこだって、水泳だって、「よ~いドン」でスタートしますけど、フライングして先にスタートして良ければ有利じゃないですか。
スポーツの競争ではフライングは禁止ですけど、人生では禁止されていないんですからね。

例えば受験勉強だってそうでしょう。
人よりも早く始めればそれだけ有利になるんですから。
だったら今すぐ行動に移した方がいいってことは、否定できないのです。

ということで、本日の会合は「上越5e協議会」。

5eとは
e-sports
e-business
e-learning
e-sightseeing
e-health care
の5つ
地域の企業、学校、団体と行政が一緒になって、これら5つのeを進めましょうという会合です。

面白そうでしょう。
上越市内の30数社の企業や団体が入っているんですが、トキ鉄も加盟させていただいて、でも、こういうのって60過ぎのじじいが偉そうなことを言っても何の意味もありませんから、私は若手の2人を連れて行きました。
「最初は社長が出るけど、あとは2人が中心になって進めるんだよ。」
と言ってね。

で、会合が一通り終わった後はe-sportsにチャレンジ。

おぬし、なかなかやるな。

ストリートファイター6だそうです。

そういえば子育てしてた頃に子供たちが夢中になってやってたな。

でも、これがスポーツって言うんだから不思議ですよね。

この協議会の会長の関根学園の渡邉理事長さんです。
私より年上の先生ですが、非常にご理解がある方で、関根学園は地元の私立高校なんですが、e-sports部を立ち上げて全国大会へ行くようになったのです。

渡邉理事長さんがおっしゃってました。
「e-sports部を作ろうと言ったら、先生と親が猛反対した」って。

まぁ、そりゃそうでしょう。
ついこの間まで「ゲームは1時間までよ。」と顔をしかめていたのですから。
それが今ではスポーツですからね。

大事なことは可能性をつぶさないことです。

学校というのは、特に公立の場合は先生が上から目線で教えるだけの世界。
スポーツもコーチや監督が教えるだけ。
どちらも生徒に自分たちで考えさせるということが、この国のカリキュラムにはない。
教えるだけの世界だから先生の能力を超える生徒が出ないのです。
親も、自分のことは棚にあげといて、「勉強しなさい、勉強しなさい」ですからね。

でも、ゲームがスポーツになるんだから、いい時代ですよね。

私もそうでしたが、毎日朝から晩まで時刻表ばかり見ている。
親からも、先生からも、「時刻表ばかり見てないで勉強しなさい!」ってさんざん言われましたよ。
ただ、私はそういうことを一切無視して時刻表を見続けた。
で、今でも電車の仕事をしてるじゃないですか。

かなり昔にお袋さんに言われたことがあります。
「あんたに時刻表ばかり見るなって言わなかった方が良かったかな」って。

大人になってそんなことを言われてもねえ。
そう思いましたが、私は親の言うことを聞かないで生きてきましたから、お袋が心配するようなことでもなかったと、その時は答えました。

なぜなら、親って、自分がしてきた子育てを後悔するものだからです。

だから、私は、若い人たちも思いっきり好きなことに没頭して、突き詰めてやるだけやってみたらどうなるか。
そう思うのです。
そして、それが可能性なんじゃないでしょうかね。

世の中、学校の教科書に書いてあることを覚えるだけが勉強じゃありませんからね。
答えがないことにチャレンジするのが人生であり、仕事なんですから。

ということで、本日は上越5e協議会というおもしろい会合に参加させていただきました。

上越市が決して時代の先を行っているとは思えませんが、他の地域よりも先にスタートしていることは事実ですから、その分のアドバンテージはあると思います。

皆さん、一緒に頑張りましょうね。
なんたって、面白いのが一番ですから。

E電、復活しないかなあ。
今だったら受け入れられると思うんだけどな。

ぱーでんねん、どうぞ
https://www.youtube.com/watch?v=6SIBSLHm8iI