大雪の峠は越えたのか

直江津はほとんど雪がなく、雨が降ったりみぞれになったり、あるいは千葉県ではほとんど見たことがありませんが、霰(あられ)というのが降る。

小さくて丸い粒上の雪。
雹(ひょう)ではなくて霰(あられ)です。

新潟県では高速道路が大変で、多分全国ニュースになっていると思いますが、関越道で1000台もの車が立ち往生。
上信越道でも妙高高原付近でトレーラーがつっかえて道路をふさいでしまいました。
一旦止まると、そこに容赦なく雪が降りつけますから車がどんどん埋まっていく。
今日の午後にはついに自衛隊の出動を要請したというニュースが流れました。

昨日はトキ鉄もはねうまラインがやられました。
今日の日中時間帯は何とか持ちこたえてくれましたが、JRの信越線は柏崎から長岡の間が厳しかったようです。

電車が雪で止まるというのはいろいろなパターンがあって、昨日のトキ鉄の場合は重い雪が行く手をふさいで動けなくなるパターンでしたが、今日の信越線の場合は倒木。木に重い雪が積もって、そこへ強風が吹くものですから、耐えきれなくなって線路に倒れ掛かるというパターンのようです。

いずれにしても、道路と同じで一旦止まってしまうと、次から次へと雪は降ってくるものですから、ニッチもサッチもいかなくなる。時間との戦いです。

電車というのは基本的にはバックはできないものです。
そう言うと不思議に思われる方もいらっしゃると思います。
終点に着いたら反対に向かって走るのだからバックぐらいできるだろう。
確かに車両の構造上は前にも後ろにも進めますが、例えば踏切はどうでしょうか。
電車が通り過ぎると踏切は開きますね。
ということは、通り過ぎた電車がバックすると、踏切が開いている状態で電車が走ることになります。

つまり、踏切や信号というのは線路に設けられている接点を電車が通過することによって稼働するものですから、そう簡単にバックできないのです。

特に日本の場合は複線区間は基本的に片側通行です。
左側の線路を走る。
対向列車は右側を通り過ぎていくというスタイルです。

ところが、同じ複線でも台湾の国鉄では双単線と言って、単線の線路が2本並んでいる。
どちらの線路もどちら向きにも走れるのです。

だから片方がダメになってももう片方を使って行ったり来たりできますから、列車本数は制限されますが運休になるということは避けることができます。

まあ、そのためには両方の線路に同じように信号機や踏切の接点などを設けななければなりませんから設備投資にお金がかかるわけですが、そういう設備を持っておけば、例えば京浜東北線のように大船行の電車が人身事故でストップすると、同時に大宮方面行の電車も動かなくなるというようなことは避けることができるのです。

実は、トキ鉄でも市振駅構内がそうなっていて、山側の線路が上下線の列車が走れるようになっています。というのも、市振駅は日本海の荒波が打ち付ける厳しい条件の駅なものですから、波の荒い時期には海側の線路が使えなくなることがあるのです。
そういう時は潮の影響を受けにくい山側の線路を使って上下列車を通しているわけで、山側の線路は単線扱いでどちら向きの列車も走ることができるようになっているのです。

そういう時は、富山方面からの下り列車は市振駅の手前でポイントを渡って上り本線に入り、駅構内を通過するとトンネルの手前で再びポイントを渡って下り本線に戻るという構造になっています。
ということで、雪月花やイベント列車などは、直江津方面からくると市振で折り返して直江津方面へ戻ることができるのであります。

そういういろいろな事情がある中で、今回のような大雪に備えていろいろ考えて対応してきているのでありますが、それでも初雪がいきなりこれでは、いくら豪雪地帯の新潟県と言えども鉄道も道路も対処できないということですね。

あと、除雪に関してですが、ここ数十年、温暖化の影響でしょうか。雪の降る量が減ってきています。
これは皆様方もご理解いただけると思いますが、毎年毎年雪が降らなくなってきていると、世の中的には雪に対する備えがだんだん軽くなってきます。
鉄道会社の場合、国鉄時代の除雪用車両の更新時期が来て、昔のように重い除雪車両から、軽微な除雪車両に変えてきています。
10年単位で雪が降らなくなっているのですから、設備投資としては当然ですね。

そういう時に、今回のような雪がドカッとくるわけですから、まぁ、推して知るべしです。

高速道路も全く同じ。
去年なんかは除雪車両が一度も稼働しない地域もあったのですから、つまりは不慣れ。下手なんです。
地元のドライバーさんに聞くと、「除雪、下手になったよね。」と言います。

そういうことも含めて、混乱が起きているようです。

だからと言って、大きなお金をかけて万全の備えをしておくことはできませんね。
東京の電車に耐寒耐雪設備を取り付けて、線路やポイントも雪国仕様にすることは現実的ではないのと同じですから。

あとはその場その場で状況判断をして、臨機応変に対応していかなければならないと思います。
そう考えると、今回の大雪に関して、JRはよく対応したのではないかと私は思うのであります。

奮闘された鉄道マンの皆様、大変お疲れ様でございました。

もちろん、道路関係の皆様方のご健闘も称賛に価すると考えております。

交通機関で働くということは、尊いことなのであります。

明日は雨の予報ですが、土曜日はまた大雪の予報が出ています。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。