今日は「小さな旅」

東京生まれの東京育ちの私は、旅というと電車や飛行機に乗って遠くへ行くことだと思っていました。

特に昭和の高度経済成長の時代は、皆競って我先にと遠くを目指しました。

でも、子供の身としては思うように遠くへ行くことができません。
私は小学校6年生になるまでは関東地方から出たことがなかったのです。

そんな時は時刻表を片手に机上旅行というのがもっぱらの得意技でしたが、いつの間にか、遠くへ行かなくても近場でも十分旅気分を味わえることに気が付きました。
私が住んでいた町は宿場町でしたので、当時まだ残っていたいろいろな名残りを探して、自分の町を歩いてみることで、遠くへ行かれないイライラを晴らしていたのです。

今、その子供の時の経験が意外に役に立っていて、町中を歩きながらマンホールや消火栓を見て歩くだけでもいろいろな発見がありますし、自由に遠くへ行かれるようになっても、「何も遠くへ行くだけが旅じゃないさ。」と思いますから、前職時代も何気ないローカル線の駅や田んぼの中の踏切が、十分に観光のコンテンツとなることを証明することができたのだと思います。

さて、そんな私が今日訪ねたのは家から車で30~40分ほどの、利根川を渡った龍ケ崎市です。
ここには小さな鉄道が走っていて、お手軽にローカル気分を味わえる、私にとってはとっておきの場所。
2~3年に一度は訪ねて時間を潰したりしているのですが、今日も2年ぶりぐらいに来てみました。

関東鉄道の竜ヶ崎駅です。
終点の駅の駅前には日通の事務所があって、バスの車庫があって、タクシーの車庫があって、昭和のローカル線の駅に必要なコンテンツが全部そろっているんですよ。

駅前にはちょっとおもしろい商店があって、猫がうろうろ。
私は車で行きましたので、駅の駐車場に400円也を払って停めさせていただきました。

駐車料金は駅の出札窓口で払うのですが、こんな領収書をもらえると気分が高まりますね。

駅前にはプレハブの焼きそば屋さんがありましたが、本日はお休み。
でもよく見ると、くわい、れんこんの時期はお休みしますって貼ってあるのが興味を惹かれました。ていうか、まだまだ先の話のようですけどね。

切符を買って列車に乗り込みます。
改札口では昔懐かしい鋏で切符を切るシーンが儀式のようです。

車内は吊革にコロッケが。
龍ケ崎は20年以上前からコロッケで町おこしをしているので、列車の中にもコロッケということでしょう。
つり革が1つだけハートだったり、あちらのコロッケはどう見てもクリームコロッケでしょう。
なかなか手が込んでますね。

関東鉄道竜ケ崎線は2駅、わずか4.5kmの短い路線ですので乗車時間わずか7分で終点の佐貫に到着ですが、ここでおもしろいものを発見しました。

数年前にJR常磐線が駅名を佐貫から龍ケ崎市に変えたのです。
でも、関東鉄道は駅名を変更するといろいろお金がかかるということなのか、駅名は佐貫のまま。

ということで、同じ駅にありながら全く違う駅名なんですね。

例えば関西本線の王寺駅の階段を下りたところにある近鉄田原本線の新王寺駅などの例は全国にありますが、龍ケ崎市と佐貫のように、新旧駅名が混在するのはなかなか貴重ではないでしょうか。

関東鉄道竜ケ崎線は非電化単線で1つの列車が行ったり来たりしているようなローカル線ですが、本数は日中でも1時間に2本。常磐線の電車に数分で接続するようなダイヤが組まれていて、なかなかどうして、地域の足になっています。
コロッケに導かれるように帰りの電車に乗車です。

日中時間帯は自転車をそのまま乗せてもOKのようで、けっこう利用者が居ますね。
外人が多いのがこの地域の特徴でもありますので、車を持たない人たちの足になっているようです。

車内に広告があって気になっていたガチャ。
これ、なかなかレアですよ。
廃品を売っているようですけど、私が引き当てたのは紫尾(しいお)からの硬券切符。
今から36年前に廃止になった土浦から出ていた関東鉄道筑波線の紫尾駅のキップですからね。
わかります?
この価値が。

こうなると、廃線になった筑波線の跡を歩いて紫尾駅に行ってみたくなるじゃありませんか。
よくまあ、こんなものが残っていましたね。

夢が広がるガチャです。

関東鉄道もいろいろなことをやっていまして、こちらは取手から出る常総線の方のワイントレインのイベント列車。
すでに満員のようです。

さて、私はコロッケつり革に触発されてどうしてもコロッケを食べたくなりましたので街を歩いていくと、ありましたありました。
どうやら平日ではこの肉屋さんでしか食べられないようですが、立ち寄ってみましたところ

龍ケ崎コロッケというのはこの3種類のようで、相場まなぶの取材の写真も飾ってありましたので、3つを注文。
その場で揚げてくれるのです。

待っている間なんですが、お肉屋さんなのにショーケースの中になんで乳酸飲料が並んでいるのかなと思ったら、おばちゃんが「どうぞ、飲んで待っててください。」

コミュニケーションのツールとしては使えますね。
おもしろいアイデアです。

いろいろと勉強になりますね。

熱々のコロッケはまいう~!でした。

もう一軒気になったのがかっぱ最中。
なんだろうと、看板につられて入ってみましたが、

なにがどうかっぱなのかはわかりませんが、おいしい最中でございました。

考えてみたら龍ケ崎というところには飛行場もあるんですよね。

わたし的には可能性がいっぱいある鉄道のように見えました。

それにしても龍ケ崎?、竜ケ崎?

なんだかよくわかりませんが、多分どっちでもいいんでしょう。

自分の町の固有名詞なのに、どっちでも良いというところに、この町の懐の深さというか、可能性を感じるのであります。