南阿蘇鉄道さんのこと

いすみ鉄道とお取引をしていただいている事業者さんから、
「南阿蘇鉄道の方と連絡が取れました。」
という情報が入りました。
大きな被害は出ているようで、混乱していてまだ全体の把握ができていないようですが、我々からの支援の申し出に対して、ご快諾をいただきましたようですので、さっそく準備に取り掛からせていただきたいと思います。
公募社長としてがんばっているひたちなか海浜鉄道の吉田社長さん、由利高原鉄道の春田社長さん、若桜鉄道の山田社長さん、そして私の4人が力を合わせて皆様方からのご支援のお気持ちをお届けさせていただきたいと考えております。
どのような形になるかは現在企画検討中です。
来週には発表できると思います。
私たちの活動は、公的な機関を通じてのものではなく、直接南阿蘇鉄道さんへお届けする形を取ります。
何とか皆様方のお気持ちを伝えたいと考えておりますので、南阿蘇鉄道さんへ直接のご支援をお考えの鉄道ファンの皆様は、今しばらくお待ちください。
おそらくゴールデンウィークからのスタートとなると思いますが、ひたちなか海浜鉄道、由利高原鉄道、若桜鉄道、そしていすみ鉄道の4か所で同時スタートとさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨日は九州新幹線が鹿児島中央ー新水俣間で運転が再開されました。
激しい余震がおさまらない中で、大変な作業が続いていると思いますが、在来線である鹿児島本線の運転再開も含め、JR九州さんからは「何としてでも輸送の使命を貫こう。」という鉄道事業者としての熱い気持ちが伝わってきます。
鉄道会社も今や株式会社ですから、考え方としては、余計な投資やコストは控えて、利益を出す体質にするということと、もう一つは、事業を黙々と遂行し会社の価値そのものを高めようというやり方の二通りがあり、どちらかというと公的使命よりも利益追求型の前者の考え方が主流になりつつある中で、株式上場を控えているJR九州が、輸送の使命を全うするという態度に出ていることに、私は、尊敬の念を抱きます。
昔から感じていることなんですが、九州人は違うんですよ。
芯がぶれていないんですよね。
これは何もJR九州のような大企業だけでなく、地域事業者としてがんばっている熊本電鉄さんだって、おそらく職員の方々の自宅が被害を受けているだろうし、おそらく会社に泊まり込みになっているのだろうけど、できるだけ速やかに復旧させ列車を走らせていますし、南阿蘇鉄道さんだって、14日の地震の次の日には「16日始発から運転再開予定。」と準備を整えていたんです。
今回の一連の復旧作業をじっくりと拝見させていただいて、輸送事業者のあるべき姿をしっかりと勉強させていただきたいと思います。
ところで、九州新幹線の新水俣から先の鹿児島中央までの末端区間が運転再開したことについて、少々違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
「末端区間を開通させても、あまり効果はないんじゃなかろうか。」
東京や大阪の大都市からものを見ていると、そう思うのも当然でしょう。
ふつうなら、遠くへ行けば行くほど、輸送需要は先細りになるのが常識だからで、現にせんだって開業した北海道新幹線も、東北新幹線を含めて東京から離れれば離れるほどお客さんが少なくなっていく特徴があります。
ところが、九州新幹線の場合は末端区間になかなか大きなボリュームの輸送需要があるんです。
例えば、出水駅の夕方5時前後の新幹線のホームは、中学生や高校生の姿が多く見られます。
夕方鹿児島へ向かう需要は、通学需要ではありません。
彼らは、鹿児島の学習塾や予備校に通う生徒さん達です。
鹿児島中央駅の付近には新幹線開業後に学習塾や予備校がいくつも開校しています。
そして、その生徒さんたちは新幹線で出水付近から通っているという現実があります。
もちろん、その子たちが合格すれば、今度は朝、鹿児島市内まで通うという需要に変わるわけで、出水、川内付近からの鹿児島市内への通勤通学需要というのが、かなりのウエイトを占めているというのが実情なのです。
これは以前、おれんじ鉄道の社長さんに誘われて、「鹿児島に飲みに行こう。」と出水から夕方の新幹線に乗って気づいたことですが、考えてみれば出水から鹿児島中央までの所要時間は20分ちょっとですから、私が子供のころ、板橋から代々木の塾へ通っていたのと大して変わらないわけです。
新幹線代金は高額になるでしょうが、それまでの鹿児島本線の特急電車では鹿児島の予備校へ通うことは難しかったでしょうから、勉強のチャンスが広がったという意味では効果が大きいと思います。
このような、末端区間で大きな需要がある路線は、例えば山陽新幹線も広島を過ぎると博多に向かってお客さんが増え始めますし、北陸新幹線も富山ー金沢間の区間列車がありますから、それなりの需要があることがわかります。
東京中心に物事を考えていると、こういうことに気づきませんが、九州新幹線が末端区間から先に開業したというのも、まんざら理由がないわけではなさそうです。
ということで、熊本ではまだまだ地震が続いて、皆様大変な思いをされていらっしゃいますし、報道は少な目ですが、大分県でも大きな被害が発生しているところがあると聞いています。
私たちは、同じ日本列島に住む者として、自分たちができることをきちんとやっていきたいと考えています。
南阿蘇鉄道さんへの支援策につきましては、発表まで今しばらくお待ちください。