本日は文化放送に出演しました。

 FaceBookではお知らせいたしましたが、本日は朝7時半に文化放送の「福井謙二グッモニ」という番組に電話出演させていただきました。
この番組では、全国のローカル線を特集しているということで、今日はいすみ鉄道を取り上げていただきましたが、事前に福井謙二アナウンサーからの質問事項が送られてきておりまして、私なりにある程度回答を準備して臨みました。
以下、質問と回答です。

Q1:外資系の航空会社にお勤めだった鳥塚さんが、社長の公募に応募されて、「いすみ鉄道」の社長に就任された2009年当時、「いすみ鉄道」はどんな状態だったのでしょうか?


A:地元の高校生や、病院や買い物に行く高齢者の利用がほとんどで、地域の足という役割でした。ただ、それだけじゃ立ちいかなくなっている状況にありました。


 


Q2:先日スタッフが取材にお伺いさせていただいた時のお客様へのインタビューです。
(インタビューが流れる。)
お客様は皆さん、いすみ鉄道の営業努力、企業努力に感心されているようですが、鳥塚社長はいすみ鉄道のブランド力を高めるために、一番心がけてこられたのは、どんな点でしょうか?



A2:ローカル線というのは、都会人の憧れです。


乗ってみたいなあ、行ってみたいなあと皆さんが思います。


これは、鉄道そのものに対するあこがれというよりも、ローカル線が走る地域全体に対するあこがれです。


いいところだなあ。こんなところで暮らしてみたいなあという、田舎に対するあこがれを都会人はみなさん持っていらっしゃる。


ローカル線というのは、そういう田舎の素晴らしさを表現するツールとして、とても分かりやすいんですね。


だから、私は、ローカル線をうまく演出してブランド化するということは、地域そのものをブランド化することだと思います。


でも、たくさんの人に来てもらいたい一心で、田舎はどちらかというと自分の町を安売りしがちなんですが、ブランド化することによって、安売りせずに、都会人のあこがれの場所を提供したいと考えています。


 


Q3:鳥塚さんのご著書の「ローカル線で地域を元気にする方法」を読ませていただきましたが、その中で、鳥塚さんは、「あえて、いすみ鉄道に乗っていただかなくても、車で来て、土産物を買っていただくだけででもよい」とお書きになっていらっしゃいます。ふつうは、「一人でも多くの人に乗っていただきたい。」というのが鉄道会社の本音かと思いますが、あえてこうした考え方を打ち出されたのは、どのような理由からであったのでしょうか?



A3:ローカル線というのは日本全国、どこの田舎でも、小さな列車がトコトコ走る姿は、田舎の風景を引き立てます。


ローカル線が走ることによって、田舎の景色はよい景色になり、単なる田んぼや山が、とても絵になります。


私は、まず、車で来てもよいですから、その景色を見ていただきたいと思います。


今のような車社会では、地元の人も観光客もマイカーが中心です。


そういう中で「鉄道に乗ってください。」というのは実に難しい。


だから、ハードルをうんと低くして、とにかくいらしてみてくださいと申し上げているわけです。


車でもなんでも、人が来るということは活性化の第一歩ですから、鉄道が人を呼べれば、地域輸送という使命以外でも地域に貢献できると思います。


そして、人間は旅行に来るとお土産を買いたくなりますから、田舎の駅にお土産物屋さんを設置して、特色のある商品を並べることで、鉄道に乗るということはなかなか難しいけれど、鉄道会社に貢献はできるわけですから、当面のやり方として、ハードルを下げるということなんです。


 


Q4:赤字ローカル線をどうするかで頭を悩ませている地域は、今でも決して少なくありませんが、地域に元気を取り戻すためにローカル鉄道の果たす役割は、まだまだ大きいとお考えでしょうか?
地元のいすみ市商工会では、「いすみ鉄道が地域のお荷物ではなく、牽引車になっている」ともおっしゃっておられるようですが。



A4:少子高齢化で地域の足としての役割がどんどん減ってきている中で、他の使い方を考えなければ、ローカル線は消えていきます。


でも、よく見てみると、ローカル線を廃止してしまった地域は、地域そのものがどんどん廃れています。


だから、ローカル線を今後どうやって使っていくかということが地域全体の課題です。


地域というのは全国共通の悩みもあれば、地域独特の問題もあります。


そういう状態ではこうしなさいと、決めつけて言うことはできませんが、少なくとも今あるものをどうやって活かしていくかということが活性化であって、今あるものを活かすことができない地域、ローカル線を廃止してしまうような発想の地域には活性化などあり得ないと思います。


いすみ鉄道の場合は、東京からの距離の近さもあって、観光客を呼び込むツールとしての役割を見つけたわけですが、どんなローカル線にも情報発信力はあります。


どういうことかというと、ローカル線は話題になりやすく、地域の広告塔になることができますから、そういう使い方をして、地域を全国区に宣伝しながら、それぞれの地域にあったやり方を模索してほしいと思います。


 


Q5:今後の房総半島の可能性、その中での「いすみ鉄道」の将来像については、どうお感じでしょうか?



A5:房総半島は素材の宝庫です。


食材や観光資源など、素材がたくさんあって、それをどうやって自分のものにするかはお客様しだいです。


だから、ガイドブックに載っているような完成品の観光地を求める方々よりも、自分なりの発見を求める旅をされたい方は、房総半島は東京から近い割には可能性に満ちた発見の場所だと思います。


そういう地域にローカル線が走っているわけですから、私は、都会人の心休まる場所としての房総半島の可能性を確信しています。


いすみ鉄道については、沿線地域の過疎化が進む中で、土休日に観光客を呼び込む努力をしたり、今後は都会での関連事業収入などを伸ばして、その収入で月曜日から金曜日までの地域の足を維持していきたいと考えています。


いすみ鉄道は昭和5年にできた国鉄路線ですから、大規模な修繕が必要になってきていて、その修繕費をどこからねん出しようかというのが当面の課題ですが、地域鉄道というものを地域全体でどうとらえて、収益性以外でも、お金に換算できない存在価値があることを理解していただければ、いすみ鉄道を含めた全国のローカル線の将来は明るいと考えています。
とまあ、このようなやり取りの番組でした。
約7分間ですが、いすみ鉄道と、沿線地域の宣伝ができたと考えています。


こういう価値って、お金に換算したらいったいいくらになるのでしょうか?
7分間ですからね。
15秒のCMで数十万円と言われていますから、ローカル線ってやはりどう使うかだと私は考えます。
朝早くからお聴きいただきました皆様、ありがとうございました。