今日は平渓線に乗りました。

今日は台湾国鉄のローカル線の中でも一番人気のある「平渓(ピンシー)線」に乗りました。
この平渓線はこの春に秋田県の由利高原鉄道と姉妹提携した路線です。
私は台湾のローカル線の中ではこの平渓線がお気に入りなのですが、それは台北からわずか1時間ほどのところにあって、この平渓線ほど観光鉄道化に成功している路線は他にはないと思うからです。
観光鉄道というのは、沿線に有名な観光地があって、そこへの足として利用されているとか、列車の中から眺める景色が特別だとか、最近ではスイッチバックやループ線など、他の路線では体験できない路線など、何らかの観光の要素があるところを走っているのが条件のようなところがありますが、この平渓線は、近くに滝や九分とよばれる観光地区はありますが、鉄道で行くとなるとグルリと山を越えていくことになるので、観光客は皆バスや自動車でアクセスするのが普通のところなんです。
事実、10年ほど前までは観光客などほとんど乗っていなかったんですが、今では朝9時を過ぎると列車は満員になって、乗せきれないほどの状況で、つい最近ホームを延長して2両編成から3両編成に車両を長くして対応するほどの盛況ぶりです。
この平渓線は戦前、つまり日本時代に石炭の積み出し用に建設された経緯の路線で、一言で言えば、「役割を終わった要らない鉄道」だったんですが、台湾国鉄が「廃止にする前に活用してみよう」ということで、観光鉄道化に挑戦し、見事に成功したんです。
特に観光地として見るものもない地域を走る役割を終わった路線。
それが見事に成功したんですから、いすみ鉄道としては爪の垢を煎じて飲ませていただきたいぐらいなんですね。
まして、台湾には10年ほど前までは鉄道趣味というものがなくて、鉄道の写真撮影は禁止されていた国ですから、そういう下地はなかったんですから、かつてを知る身としてはその変貌ぶりに驚くばかりです。
今日も朝からたくさんのお客様でにぎわっていた平渓線ですが、鉄道ファンはほとんどいなくて、ファミリーや若いグループばかりだったのがとても印象に残りました。

十分駅に停車する平渓線のディーゼルカー。
7月から3両編成になっていました。
人を入れずに撮るのに苦労した1枚です。

平渓線は渓谷沿いに走る区間や素掘りのトンネルを抜ける区間など、楽しい路線です。

極めつけはここ。十分の老街を抜けて走る区間です。
江ノ電っぽいでしょ。
事実、平渓線は江ノ電と乗車券での提携をしています。
今、江ノ電には平渓線のラッピング車両が走り始めました。