「運がいい人」になる方法

ある経営者の方と話していた時、「運の捕まえ方」という話になりました。
その方はおっしゃいます。
「簡単なことだよ。自分が準備できているかどうかというだけのことだから。」と。
彼が言うには、運というのは特別の物じゃなくて、準備ができている人間にはやってきたのがわかるし、捕まえることもできるけど、準備ができていない人間には、運がやってきたことすらわからない。
だから、捕まえることなどできないんだ。
ということ。
私は初対面のその方にとても共感を得ました。
なぜなら私がふだん考えていることそのままをその方はおっしゃっているわけで、もう70歳を過ぎ、社会的にも成功を収めていらっしゃる方と同じ考えが自分にあるということは、私もその方のようになれるかもしれないし、それが運だからです。
自分の人生を振り返ってみると、とにかくうまく行ったためしがない。
国鉄に入って新幹線の運転士になりたいとずっと思ってたけど、夢かなわず。
じゃあ、飛行機の操縦士になろうと思って、一生懸命頑張って資格まで取ったけど、結局なれず。
仕方がないから、塾の講師をやって食いつないで、オリンピック景気で湧く韓国の航空会社へ何とか入社できたのが27歳のときなわけです。
本当はパイロットになりたかったけど、結局は地上職。
あ~あ、こんなはずじゃなかった。と思いたかったけど、その時には養っていかなければならない家族がいたので、そんなことは考えてられず、ただがむしゃらに生きてきただけ。
いろいろな電車に乗りに行きたいけど、とても趣味でそんなことできる経済的理由もなく、ただ毎月鉄道ファンという雑誌を眺めていた。
それが30前までの私の人生です。
でも、よく考えて見ると、新幹線の運転士になりたいと思っていた私が、なぜ、飛行機の操縦資格を取ることができたのか、不思議ですよね。
ふつうならば、一つの夢に破れると2~3年は悶々とした日々が続くかもしれませんが、私の場合は「新幹線がダメなら飛行機だ!」とすぐに方針転換している。
なぜそれができたのかといえば、英語を勉強していたから。
とにかくこれからの時代は英語が必要だというのが私たちの時代の考え方だったから、私は高校生の時から英語だけは勉強しておいた。
だから、新幹線がダメだと思った時に、すぐに飛行機へ転向できたわけです。
これって、準備ができているということではないでしょうか。
鉄道ファンという人たちは、だいたい皆さん飛行機も好きで、趣味としては共通する部分がたくさんあるのですが、今一つ踏み込めないのは、たぶん英語のせいかもしれません。
とにかく、飛行機の世界は英語の世界なわけです。
で、飛行機がダメで、仕事にありつけない。
その私が選んだ仕事は学習塾の先生。
当時としては給料もよく、時間もある程度自由になった。
でも、学習塾の先生は誰にもできる仕事じゃない。
多分、私は学習塾の先生になろうとは思っていなかったけれど、学習塾の先生になる準備はできていたのだと思います。
だから、それほど苦労をせずに教壇に立つことができたし、「これが天職かも知れない。」何て思って、本腰を入れて仕事をしていた。
そうしたら、航空会社の募集があって、応募したら試験で作文を書かされて、でも、学習塾で先生をしていたから、作文などお手の物だったかどうかは知らないけれど、採用通知をいただいたわけです。
自分の人生の、いろいろな局面を振り返ってみると、私の場合は決して順風満帆とは言えないけれど、何とか綱渡りでやってこれた。その時その時で思い当たるのは、自分にそれなりの準備ができていたのだということなのです。
航空会社時代に考えていたこと。
それは、外資系の航空会社では経営にタッチすることは難しい。
だから、自分で会社を立ち上げて、経営というものを実践してみよう。
そう思って、鉄道DVDの制作会社を設立して、勤務とは別に経営の実践をしてきた。
そういう準備があったから、いすみ鉄道の社長公募で採用されたのだと思うし、今、仮にも社長業をやっていられるのではないか。
半世紀の人生を振り返ってそう思うのであります。
だから、私は、今、いろいろと壁にぶち当たって思うようにいかない人生を送っている若い人たちに言いたいのです。
「あなたは準備ができていますか?」、と。
昔の武士は、満足に食べるものもないのに、戦争になった時に備えて武芸を磨き、鎧兜を備えておく。
こういう話をよく聞きますが、やっぱり、いつの時代も、自分自身の中に準備ができているかどうかが、やってきたチャンスをつかめるかどうかなんじゃないでしょうか。
といっても、学校に通って資格を取ることが、準備をすることではありません。
30過ぎてどうも人生うまくいかないと思っていらっしゃる方も多くいらっしゃると思いますが、そのぐらいのことがわからないようじゃあ、準備のための準備が必要かもしれませんね。
そういう方は、そろそろ客観的に自分を見てみることも必要なんじゃないでしょうか。