九州の老兵

昨日大阪へ行きましたら、来春に開業する九州新幹線の宣伝があちこちで見られました。
「熊本直通!」などと書かれていましたが、大阪から3時間台で熊本へ行かれるようになるのですね。
もちろんその先の鹿児島へもスーッと行けてしまうのでしょう。
鹿児島は空港が市内から遠いので、新幹線が新八代から部分開業しただけで、福岡-鹿児島間の飛行機が大きく減便されましたから、直通すれば大阪からも新幹線で行く人が増えるでしょうね。
さてさて私の最大の関心事は、新幹線の開業で在来線の特急列車がどのように変わるかということ。
博多から新幹線接続の「リレーつばめ」という特急がなくなりますから、それに使用されている787系電車が余剰となります。
そうすると、その787系をどこかに持って行って、古い車両と置き換えることになります。
一番危ない存在なのは、日豊本線で活躍している485系電車(ヨンパーゴ)でしょうね。

485系電車は日本全国で活躍した交直両用の特急電車で、昭和40年代の鉄道全盛時代を支えた主役でもあります。
東北新幹線や上越新幹線など上野口の新幹線が開業するまでの東北、北陸方面の特急列車として食堂車やグリーン車を組みこんだ長編成で走っていた姿を今でもはっきりと覚えていますが、その列車が九州の南端でまだ元気に活躍しています。
昭和47年に房総が電化されたときに登場した183系電車「わかしお」「さざなみ」と同じ系統の電車ですから、千葉県の人にも無縁とはいえないと思います。
さて、そのヨンパーゴもいよいよ九州から消えるときが来たと言えるようですね。
正式な発表がされたかどうかは分かりませんが、40年以上も鉄道ファンをやっていると、今度のダイヤ改正でどうなるかは大体わかりますから、多分そうなるでしょう。
もっともJR九州は古い車両をいろいろ改造して丁寧に使う会社ですから、何らかの形で使用を継続されたらうれしいと思いますが、第一線からはそう遠くない将来に引退するものと思われます。
いすみ鉄道がもう少し路線長があって、電化区間が存在すれば、今房総で最後の活躍をする113系電車や、この春引退した「能登」に使用されていたボンネットも、みんな持ってきて動態保存で走らせたいと思うのですが。
私の友人の井上というのが以前しなの鉄道の社長をしていたので、 「169を国鉄急行色に戻せ!」 って言ったことがありましたが、そうしたら本当に戻っちゃった。その時、やっぱり社長の意思って大事だなあと思いましたが、今、その社長をやらせていただいているので、せっかくだから鉄道ファンの夢がかなうように、周囲の反対を押し切って、キハ52の話を進めているわけでございます。
ところで、南九州の485系で面白いのは電動制御車クモハが連結されていること。
長編成を組むことが前提の485系では先頭車は皆クハでしたが、国鉄末期の九州への転属に際し、短い編成でも使用できるように、中間電動車に運転台を付けてクモハに改造した車両が今でも現役なのです。
このクモハがクハと違うのは、その走行音。
485系のように特急電車として走る車両は、高速運転が多く、モーター音がとても心地よいのです。
それが先頭車であるということは、私のように前面展望のDVDを制作する人間にとっては最高なこと。
つまり、運転席からの高速展望映像にクハでは入らないモーター音がたっぷりと収録されるわけです。

ということで、この貴重なクモハ485の前面展望を撮影しようとJR九州にお願いして作品化したのが特急「きりしま」と特急「にちりん」。
鹿児島中央から日豊本線経由で宮崎、延岡を経由して別府までの6時間半以上、ずっとずっとモーターを唸らせて走り続ける特急列車を記録したDVDです。
編成中クモハ485が連結されているのは上り方先頭車ですから、鹿児島へ向かう南行列車ではなく、別府へ向かう列車でなければ味わえない音と映像。
大分-別府間では1列車「富士」とすれ違うシーンも収録していますから、もう、涙ものなのです。
わかるかなあ?
わからないだろうなあ?
詳しい商品解説は私のホームページをご覧ください。
特急「きりしま10号」 鹿児島中央→宮崎
特急「にちりん6号」パート1 宮崎→延岡
特急「にちりん」パート2 延岡→小倉
これでいつ廃止になっても、485系の活躍が後世に記録されていることになるのです。
見たい人は買うのだ!
この撮影の時はわざわざ宮崎で宿泊を入れたコースを組んで、JR九州の友人と地鶏を食しながら焼酎を酌み交わしたのは言うまでもありません。(笑)