地域と共に トキめき鉄道

えちごトキめき鉄道は第3セクター鉄道です。

つまり、地域鉄道。

昔はJRで、信越本線、北陸本線と言ってましたが、北陸新幹線が開業するにあたって、JRは両方はやりませんから、在来線の方は県と沿線市が責任を持って運営する。
そういうお約束で新幹線を作ってもらったのです。

これが並行在来線という制度。
でも、それまでガンガン走っていた特急列車がなくなって、そういう高い料金を払ってくれるお客様はみんな新幹線に行ってしまったのですから、在来線の地域輸送だけでは黒字になるはずがありません。
新幹線ができても在来線が黒字になることが見込めるのであれば、JRは手放しませんからね。
お隣り長野県の長野-篠ノ井間は並行在来線にもかかわらずJRのままですから、あそこは儲かる。つまり黒字になると判断したからJRが手放さなかったんです。

ということは、並行在来線で第3セクターになっているところは、最初から黒字化は見込めないところなんですね。
だから、それぞれの県と沿線市がちゃんとやりますというお約束を国としたんです。
赤字もきちんと負担しますってね。

なぜならば、新幹線が自分たちの地域に来れば、沿線に大きな利益をもたらすから。
みんなそれがわかっていて、新幹線に来てもらいたい。
だから、在来線は自分たちでやりますよというお約束を、トキめき鉄道沿線の場合は平成10年とか平成13年ごろに国と結んでいて、そのお約束で長野から先の新幹線の延伸工事がスタートしたんです。

これが並行在来線という制度です。

でも、これは大人の事情ですよね。
主役はやっぱり沿線地域の皆さんで、特に毎日通学に使ってくれている高校生や中学生だと私は思います。

彼らがきちんと学校へ通って、将来のこの国を背負って立つ人材になる。
そのためにはインフラがしっかりしていないと、学校にも行けないようじゃ、地域の未来は暗いですからね。

ということで、今、その高校生たちがテスト期間中で早帰りをしています。
部活ナシの一斉下校というヤツですね。

高田の駅もこんなに混むんです。
だから、トキめき鉄道は学校と連携して、ちょうどよい時間帯の列車を通常の2両編成から4両編成に増結して対応しています。

学校の方にはこの時間帯に合わせて下校して欲しいと連絡して、学校も「そうしましょう。」と連携がとれているんです。

昨日の上越タイムスさんの記事です。

コロナでどこへも行かれなくなった地域の皆様方にトキ鉄で楽しんでいただきたいと始めた地元の皆様方の雪月花乗車。
今年で3年目を迎えます。

地元の皆様方はなかなか1人3万円近くのお金を出して雪月花には乗りませんよね。
でも、5000円だったらどうでしょうか?

これなら乗ってみたいと思っていただけるのではないでしょうか。

雪月花も当時はインバウンドも都会からのお客様も居なくて、車庫で寝ているだけでしたから、私はこういう機会に地元の人に雪月花に乗っていただいたらどうかと提案しました。

でも、会社の会議では「そんな値段で地元の人を乗せたら雪月花のブランドが傷つく。」なんて意見も出て、みな反対したのです。
でも、反対した人に代案があるわけでもなく、そもそも会社というのは合議制ではありません。
だから私は社長権限で「地元の皆様方に雪月花にご乗車いただくプロジェクト」を実施したのです。

そうしたら皆さん大喜び。
そりゃそうですよね。
地元民限定で特別格安企画ですから。

それが大好評でしたので、今年も3回目となる雪月花地元特別号が走るのです。

今年はもうコロナが回復して高いお金を払ってくれるインバウンドや都会の人で満席になってるんだから、やらなくても良いんじゃないの?

そう考える人もいるかと思いますが、「何言ってるんですか。地域の皆さんが支えてくれているから雪月花が走っているんですよ。」と考えていますから、フルフェアーのお客様で満席になると言っても、地元の人、特にちびっ子やご家族にはこれからも乗っていただきたいのです。

糸魚川から雪月花に乗って直江津に来てレールパークでD51と見るコースと、反対に最初に直江津でD51を見て、帰りに雪月花に乗って糸魚川へ帰るコース。
もちろん5000円じゃ赤字ですから、糸魚川市と小谷村と白馬村から少し補助を出していただくのですけど、糸魚川市と小谷村、白馬村は大糸線の活性化で連携してますから、こういう共同企画ができるのです。

ということは、小谷村や白馬村の皆さんは大糸線に乗って糸魚川まで来てくれますからね。

参加者は地元の皆さん限定ですからネットで全国に情報は出ていないと思いますので、地元以外の方はご存じない方がほとんどだと思いますが、トキめき鉄道はこうしてしっかり地域に根付いた鉄道として貢献しているのです。

並行在来線だから、ちゃんと地域が赤字補填しなければならないのです。
でも、そんな原則論を言ったって現実は動きません。
地域の皆様方から認めていただいて、初めて物事は前に進む。
私はそう思ってかれこれ4年間この地域で奮闘していますが、実感として感じていることは、地域の皆さんは知らん顔じゃないんです。
多くの方々が鉄道を自分事として考えていただいているのがよくわかります。

全国を歩いていると「鉄道なんて関係ないよ。」と知らん顔をしているところがたくさんあります。

これからの時代は、そういう所は残れるかというと、どうかな?と思います。
でも、自分事として一生懸命関わってくれている地域の鉄道は、一生懸命やって行けば必ず未来は開ける。
私はそう思ってやっているのです。

地域の雪月花。
皆様方のご乗車をお待ちいたしております。