ブルーオーシャン戦略

昨日は雪月花の戦略について書きました。

商品には日用品と買回り品という性格があって、毎日使う生鮮食品や衣料品などの日用品は常に価格の勝負になりますが、趣味の品などわざわざ遠くまで出かけて行って買うような商品は価格の勝負にはならないというお話しです。

田舎というのは都会に比べるとリソースが少ないのが特徴です。
経営資源もあまりありません。
価格競争というのは経営規模での勝負ですから、リソースが少ない田舎の町で価格勝負をしても都会の企業にはかなうはずはありません。

自分たちが勝負するべきところを別に探さなければなりません。

市場(マーケット)を海に例えると、戦いの海に漕ぎ出して行って競争相手と勝負しながら獲物をとってこなければなりません。競争相手がたくさんいる海に漕ぎ出していくのは小さな会社ではなかなか厳しいものがありますが、こういう戦いの海に漕ぎ出していくことをレッドオーシャンと言います。
血の海で勝負するようなものですからね。

これに対して誰も競争相手がいない海で、自分が好きな場所で好きなだけ獲物をとれることをブルーオーシャンと言います。

どちらが良いかは推して知るべしでしょう。

ローカル鉄道も同じで、田舎の小さな鉄道会社が限られたリソースを使用して、都会からのお客様にいらしていただく、つまり都会に勝負を挑むときにはレッドオーシャンではなくて、ブルーオーシャン戦略が必要なのです。

では、どうやったらブルーオーシャン戦略になるのか。

私が考えていることは、あえて大企業と勝負しないということです。

例えばこれ。
私が前職時代に作ったレトルトカレーです。
レトルトカレーなんてスーパーへ行けば安いものなら100円で買えますよ。
つまり価格の勝負、レッドオーシャン戦略が必要な商品なのです。

では、これがどうしたらブルーオーシャンになるのでしょうか。

よく見るとなんて書いてありますか?

「昭和に食べた懐かしい黄色いカレー」と書いてありますね。

どういうことかわかりますか?
昭和の人ならおわかりいただけると思いますが、昭和のカレーなんて大してうまくなかったですよ。
お爺さんがソースかけて食べるようなカレーですから。

つまり、「昭和に食べた懐かしいカレー」とはどういうカレーかと言うと、「大しておいしくありませんよ。」という意味を込めて「味はふつうです。」と正面に書いてあるんです。

レトルトカレーというのは価格勝負の商品です。
でも、どのメーカーもコストと競争しながらおいしいものを作っているわけで、そういうマーケットに、「うちもカレーを作りました。おいしいですよ。」と言った瞬間にどうなるか。
レッドオーシャンの厳しい競争の海に漕ぎ出していくことになるのです。

小さい会社がそういうことはするべきではないですよね。
だから私は「おいしいですよ」などとは一言も言わない。
「お味はふつうですよ。」
と言って売るのです。

では、どうしたらお味がふつうのカレーを買いたくなるか。

だからパッケージを3種類用意するのです。
「ポーク、チキン、ビーフ、どれにしますか?」
こう尋ねてお客様に選択をしていただくのです。

商品が1つしかなければお客様の心理としては「買おうか買うまいか。」になりますが、商品が3つあれば「どれを買おうかな。」に変化します。
お味が違えば「じゃあ、3つ買いましょう。」という人もたくさん出てきます。
ましてレトルトカレーですから、余分に買っておいても全く問題ありません。

こうして1個500円のふつうの味のレトルトカレーが年間1万箱も売れるのです。

レトルトカレーの賞味期限は2年間。
お客様にとってはとりあえず買っておいても腐る心配はありません。
売る側にとってみても、今日売れ残っても明日又売れますから商品ロスが発生しません。ノーリスクの商品なのです。

これが田舎の小さな会社のブルーオーシャン戦略。
大手のように、10万箱、100万箱売ろうと思ったらレッドオーシャンになりますが、小さな市場では1万箱売れれば大ヒット商品ですから、自分たちが勝負する海を選ばなければならないのです。

ということで、トキ鉄カレー。
こちらもお味はふつうなのであります。

でもね、結構おいしいんですよ。
レトルトカレー日本一のきちんとしたメーカーさんにお味をブレンドしていただいていますから。

だけど、「お味はふつうです。」と書いてあれば皆さん買われるときにはお味には期待して買いません。そういうお客様が実際に食べてみたら「おいしい!」わけですから、どうなりますか?
つまり、期待値を上回るクオリティの商品ということなのであります。

まぁ、キハカレーの方は商品縮小のようですから、こちらトキ鉄カレーをお買い求めください。

期待しないで買えば、おいしさに驚くという私なりのブルーオーシャン戦略なのです。
だから、リピーターばかりのヒット商品なのです。

トキ鉄チャンネル カレー編 2020年7月

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