恐るべし由利高原鉄道

山形県の酒田市からお仕事をいただきました。

羽田から飛行機でいらしてくださいということだったのですが、「困ったなあ。」
なぜなら庄内空港には青組の飛行機しか飛んでいません。
私は赤組はなんですが、先月も浮気をして青組に乗ってしまいましたので、「う~ん」

そうだ、と思って羽田から赤組に乗って秋田に飛んだのが昨日。
羽後本荘に泊まって6月末で退任された由利高原鉄道の春田さんを訪ねて一献を傾けました。

そして今日。
せっかく来たのだからまつ子さんにお会いしようと矢島へ向かうべく羽後本荘駅に行きました。

羽後本荘駅は建て替え工事が始まって仮住まいです。
でも、なんだか様子が変です。
近づいてみると・・・

駅の中がお客様でいっぱいです。

旧知の渡辺駅長さんが私の顔を見つけると

「ようこそいらしていただきました。今日が団体が2つ入っているんです。」
とニコニコ顔。

バス2台。約65名様だそうです。

7月初旬のシーズンオフ。それも平日の午前11時前。
一番観光客のいない時期にこの状況ですから、恐るべし、由利高原鉄道です。

列車2両編成で入ってきました。

前の1両がおもちゃ列車。後ろの1両が七夕列車。

お客様が乗り込む前の七夕列車を見せていただきました。
地元のお友達の願い事がたくさん。
すごいですねえ。

団体さんは2グループあって、40名様が七夕列車の貸切。
25名様がおもちゃ列車に一般客と混乗。

でも、一般客は私を含めて3名だけでした。

前の車両と後ろの車両にそれぞれ秋田おばこ姿のアテンダントさんが乗車して、車内は半世紀前の女子高生の通学列車のようでケラケラと笑い声が響いていました。

アテンダントさんがお客様にさくら茶のサービス。

そして車内販売に記念乗車証の配布と大忙しでした。

終点の矢島に到着すると、皆さん揃ってバスをお見送りです。

決して手を抜いていないところが凄いですね。

一段落してまつ子さんにお話をお伺いしました。

「ありがたいことにこうして皆さんにいらしていただいています。だから手を抜いちゃダメなんですよ。1人1人のお客様に一生懸命接しないとお客様にはわかってしまいますから。」

確かにおっしゃる通りだと思います。
毎日毎日現場にいらっしゃる方のお言葉は的を得ていますね。

「そりゃそうですよ。観光でいらっしゃるのは都会の方が多いですから。都会の方は、いろいろなことをご存知ですから、私たちが手を抜いたらすぐにわかってしまいます。でも、毎日だとどうしてもそうなるでしょ。そこなんですよね。」

地方に行くと観光を甘く見ている人を多く見かけます。
そういう人は皆さん「観光なんて」と言います。
きっと頭では分かっていらっしゃるんですよ。観光について。
でも、頭でわかっていることと実際にお客様にいらしていただくこととは別なんです。
そこが理解できない。

なぜなら現場にいないからですね。

まつ子さんはその所をわかっていらっしゃるんです。

私は半年ぶりにまつ子さんを訪ねましたが、実は春先に入院されていたそうで、ちょっと元気がないご様子でしたが、お孫さんが千葉大に入学されたそうで、
「まだまだ頑張らなきゃね。孫に小遣いあげたいからね。」
と、ニコニコ顔でした。

テレビに出演されたときの写真が飾ってありました。

「すごい。ダブルまつ子だ!」

私がそういうと、まつ子さんは、

「私の方が本家ですよ。もう30年もやってるんですからね。」

そう。まつ子さんは由利高原鉄道の職員ではありません。
矢島駅構内の一角を預かって、お客様のおもてなしをされていらっしゃる方なのです。
言うなれば応援団の地元代表ですね。

私の滞在は30分ほどでしたが、お見送りもしていただきました。
私が渡した新しい名刺の肩書がお見送りの旗に書かれています。
サッとこのような対応をされるんです。

そしてお見送り。
列車が発車しても見えなくなるまで旗を振り続けてくれています。

いつもいつもこうなんです。

だから、また会いに来たくなる。

そういえばバスが発車しても、そのバスが角を曲がって見えなくなるまで手を振っていました。

決して手を抜かない。

その基本に忠実に毎日実行する。

やはり、恐るべし由利高原鉄道。

お土産を購入して、うれしい由利高原鉄道矢島駅の訪問でした。

春田社長さんは御退任されましたが、新しい社長さんの下で皆さん頑張ってください。

引き続き応援しています。