公募社長の使命

先日、ひたちなか海浜鉄道の吉田社長さんが、大多喜駅にふらっと立ち寄っていただいた話をしました。
彼は公募社長として私の先輩で、いろいろなアドバイスをしてくれます。
私が就任したのはかれこれ5年近く前になりますが、その時に、
「お客様には社長自ら前に出てご挨拶をした方が良いですよ。私も団体貸切のお客様等には自分で挨拶をしますし、列車にも同乗します。」
そうアドバイスをいただきました。
だから私は、例えばイタリアンランチクルーズやビール列車などにも自分で乗車して、直接接客させていただいているのですが、このように公募社長同士、常日頃からいろいろ意見交換をしたり、アイデアを出し合ったりしています。
特に昨今ではFACEBOOKが主流になってきましたから、お互いにどこで何をしているかなど、すぐにわかる世の中になりましたので、悪だくみをしたり秘密裏に作戦を練っていてもすぐにわかってしまいます。
ひたちなかの吉田社長さんばかりでなく、山形鉄道の野村社長さんや、由利高原鉄道の春田社長さんなども、皆さんそれぞれの個性やキャラクターを活かして一生懸命地域鉄道でがっばっています。
例えば、由利高原鉄道の春田社長さんは、正気でいるより酔っぱらっている時の方が多いんじゃないかというほどの呑兵衛で、でも、それが、秋田という土地柄にはピッタリのような気がしますし、東京に出張に来て、帰りの夜行列車に乗るという情報が広まると、上野駅に見送りの人が何人もやってくるほどの人気者なんです。
そういう公募社長として、皆様方に可愛がっていただくことはもちろんなんですが、公募社長の一つの使命として私が考えているのは、「成功者にならなければならない。」ということなんです。
ローカル線は貧乏くじにしてはいけないという話をしましたが、今までの地位や会社を捨てて、思い切ってローカル線に飛び込んで毎日奮闘しているのが公募社長ですが、そういう公募社長が、力尽きて落ちぶれてしまっては、「せっかく頑張ったのに、やっぱり駄目だったね。」 「あのようにはなりたくないね。」と言われて後に続く若い人が出てきません。
だから、経済的に成功するかどうかは別として、いろんな意味で成功している姿を見せて、「自分もやってみたい。」 「やっぱり、チャレンジするべきだ。」という気持ちを広めなければいけないんです。
そうしなければ、若い人たちが後に続きませんし、日本が元気になりません。
今の日本に一番欠けているのが、チャレンジ精神であって、若い人たちが無難な人生を選択するような国には未来などありませんから、中国や東南アジアに負けてしまうんです。
今の時代、そういうことすらわからなくなりかけていて、「何で中国にあそこまで言われなければならないのか。」など、怒っている人が多い割には、「そう言われるようになってしまった日本」について考えようという人は少ないんですね。
ローカル線の公募社長というのは、それほど大きな話じゃないかもしれないけれど、今の日本の現状をある意味よく表している象徴だと思うのです。
地方都市が疲弊していると言われていますが、どうやったらそこから抜け出すことができるか、誰もわからない。
グローバルスタンダードを無理矢理田舎に当てはめようとしたってうまくいくわけないんです。
ローカル線だって同じで、東京の鉄道の基準で利用価値を測って、「乗ってる人が少ないからバスで十分です。」と言い続けてきて、その結果として、ローカル線を廃止してしまった地域が今どうなっているか。そういう自分たちに都合が悪い検証は一切行われていないんですね。
そろそろ、別の物差しで価値を判断する知恵を持っても良いんじゃないでしょうか。


こういう所へ来ると、価値判断の基準になる別の物差しがあることに気づきます。
去年は病気入院などがありましたが、久しぶりに南の島へ来て、自分のことを少し客観的に見ている次第です。
明日は家に帰ります。