先ほど帰国しました。

第10回台湾鉄道三昧の旅が無事終了し、私は先ほど帰国しました。

 

10回も続いているということは実にありがたいことなのですが、一部の人からは「社長は旅行会社からいくらもらってるんだ?」とか、「相当儲かってるんだろう。」などという噂話が漏れ聞こえてきます。

 

そういう話をする人たちは2つの条件を兼ね備えた人たちで、

1つは、自分がもしそういう立場だったら、あわよくばおいしい思いができるだろうという発想を持っていること。

2つ目は、昨今の旅行業界、航空業界の事情を全く知らない人たちであること。

この2つを兼ね備えていらっしゃる方々が、陰でそういうことを言っているようだと、私の耳にも聞こえてきておりますので、はっきりと申し上げておきますが、昨今の旅行業界で、そのようなマージンをもらえるものなどというものは存在していないわけでありまして、なぜなら、そんなことをしたらすべてコストが膨らんで、ツアー料金に跳ね返るということで、今の時代、お客様に全てわかってしまうのです。

まして、このツアーのお客様方は鉄道と飛行機を知り尽くした方々ですから、すぐに「なんだこのツアーは。コスパが悪いなあ」という話になりますから、私はもちろんのこと、このツアーを企画している作家の先生も、編集長も、往復の飛行機代や宿泊費などはすべて「自腹」でありまして、それが、10回連続で満員御礼になる要因なのであります。

 

さて、今回の私の場合、前回はアイスクリームの航空会社の国際線に乗ってみたのでありますが、今回も同様に安い切符を探していましたところ、「香港経由」という航空券に行きあたりました。台北に行くのにわざわざ香港を経由するというのは、誰が考えても遠回りですが、航空運賃というのは面白いもので、遠回りの方が安いというのも常識なのであります。まして私が見つけた航空券はビジネスクラス。ビジネスクラスにもかかわらず、香港を経由すれば成田から台北に直行するエコノミーの切符よりも安いのですから利用しない手はないのであります。

なにしろ、ビジネスクラスに4回も乗れて、出発地ばかりでなく、途中の香港の乗り継ぎ時間もラウンジが使えて、至れり尽くせりなのでありますから、東京からロンドンへ行くのと同じ時間がかかったとしても、ぜんぜん苦にならない快適さ。これが鉄道旅行とは性質を異にするものでありまして、なぜなら、鉄道旅行の場合は時間がかかる各駅停車の旅は、優等列車と違って、基本的に苦痛を強いられるからなのであります。

 

さて、そういうことで、本日は台北をお昼に出て成田に夜の9時に到着したわけでありますが、途中の香港で2時間の休憩時間がありましたので、いつも台北のお土産ばかりで「パイナップルケーキはもう要らない。」とぜいたくを言っている会社のお姉さま方へ、今回は香港土産にしましょうということで、香港空港内のお土産物屋さんをのぞいてみました。

 

そうしたら、驚きました。

香港の空港のお土産物屋さんで撮影した写真です。

 

 

 

わかりますか? 

これが香港の空港のお土産物屋さんの商品です。

私が手に取って、裏の製造者を確認していたら、売店のお姉さんが近寄ってきて、何か中国語で話しかけてきましたので、私が英語で聞いたんです。

「なんで日本製なの?」

そうしたら、お姉さん、

「今、人気があるのよ。どれもよく売れています。いかがですか? 3個買ったら1個おまけに付けますよ。」などと免税店独特の商売をしてくるのです。

 

私は笑っちゃいまして、

「なんで日本に帰るのに日本のお土産買うんだよ。」と答えたわけでありますが、そうしたら「こちらはどう?」と勧めてくれた缶入りのビスケット。

この日本のお菓子もそうだし、私が買った香港の缶入りのビスケットもそうなんですが、1箱日本円で1500円から2000円ぐらいする。日本人にとっても「ちょっと高いなあ。」と思うような価格です。

 

でもって、考えたんです。

「いったい誰が買うのか?」って。

そこでしばらくお店の外で様子を見ていたら、中国人らしき人たちが買っていく。

香港はハブ空港だから、乗り継ぎのお客様も多く、いろいろな所からやってきて、ここで乗り継いで自分の町へ帰る人たちだと思います。中国人は日本の商品だと安心するのでしょうか。少なくともお土産物屋さんで売っているということは、もらったら喜ばれる商品のはずですから、中国人の嗜好には合うのでしょう。

なんだかんだ言って、中国人だって日本が大好きなんですよね。

 

そこで思い出したのが、今回の旅行中、台湾南部の町、台東市で見かけたレストランの看板。

 

 

 

北海道の牛乳を使ったミルク鍋。

日本じゃ聞いたことありませんけど、なべ文化の本場、台湾ではこういうものが人気なんですね。

「熊出没注意」なら聞いたことありますが、「北海道牛出没」なんて書いてあります。

つまり、北海道とか、北海道のミルクって書くと売れるということなのです。

 

これが北海道ブランドなのです。

 

台湾人や中国人の文化の中では、北海道というのは最強のブランドなのです。

これは紛れもない事実なのです。

 

ところが、日本人はその北海道を持て余しているように私は感じます。

JR北海道の報道を見ても感じますが、なんとなくお荷物になっているような気がします。

 

これっていったいどういうことなのでしょうね。

 

1億人の日本人がお荷物と感じている北海道が、13億とも15億とも言われている中国人が憧れている最強のブランドなんです。

 

だったら、北海道は中国人にやってもらったらよいのではないかと思います。

ブランドとしての価値がわかるのは彼らなんですから。

 

日本人はなんだかんだ能書きは言いますが、政治家も含めて誰も具体的な行動はしない。

だったら北海道は中国人にやってもらったらよいのだと思いますよ。

 

それが嫌なら、自分たちでやるしかありませんよね。

例えば、東海道新幹線の特急料金のうち、1人当たり100円分を北海道に分けてあげたら、それだけでJR北海道は相当良くなるんじゃありませんか?

そういう具体的なことをやらないまま、時間ばかり過ぎて行って、「結局はダメでした。」とするつもりなら、私は中国人にでもロシア人にでも北海道をやらせたらよいと思います。

つまり、それが国力なんです。

 

北朝鮮の漁民が知らない間に無人島に上陸して生活していた。

日本はすでにそういう国になっているんです。

 

自腹を切って台湾へ行ったことで、これだけ勉強させていただきました。

 

ということが、本日の収穫であります。

 

ちなみに私は右翼でも、左翼でもありません。

私にあるのは郷土愛。

それも、鉄道を取り巻く情景を何とか後世に伝えたいという郷土愛なのであります。