おかえり上越1・2・3

3月18日のダイヤ改正から夜の新幹線に接続する「おかえり上越」を増発します。

東京駅発18時台、19時台、最終20時台の「はくたか」「かがやき」(長野乗り換え)で上越妙高に帰ってきた地元の皆様方が、高田、直江津方面にお帰りになるのに便利な列車です。

「おかえり上越」は昨年のダイヤ改正で試験的に1本設定しました。
東京駅を18:04に出る「はくたか」と後続の18:24発の「かがやき」(長野で先発の「はくたか」に接続)が上越妙高に到着するのが20:13。
上越妙高駅で15分で接続する「おかえり上越」を運転したところ、コロナで出張や旅行等が減っている時期にもかかわらず1列車平均20人ぐらいのご乗車がありました。

私も東京から帰ってくる時によく東京駅18:04発の「はくたか」に乗ってくるんですが、車内や上越妙高駅に到着した時に知っている地元の顔によく出会います。
上越の方々が東京へ出かけたときのお帰り列車なんですね。

地元の人は車社会ですから学校を出ると日常生活ではほとんど電車には乗りません。
唯一地元の皆さんが電車に乗るのは新幹線です。
でも、上越妙高の駅前には駐車場がありますから皆さんパークアンドライドなんですね。

ところが、東京へ行くということは、出張で会議などもあるわけで、会議の後は懇談会などもある。そういう時に、帰り道に駅に車が置いてあるから飲めないというのは寂しいですよね。
新幹線の中で、駅弁やおつまみ食べながらプハ~~っとビールを飲みたいですよね。

仕事が終わってホッとした帰り道にのんびり一杯飲んでも大丈夫なように、接続する列車を走らせれば皆さん安心していただけるし、そこに地元の方にトキ鉄に乗っていただけるチャンスがある。

1年間「おかえり上越」を運転してみて、ご利用状況からそういう手ごたえを感じましたので、今年のダイヤ改正では思い切って「おかえり上越」を3本設定したのであります。

東京18:04「はくたか573」→上越妙高20:12着 おかえり上越1号 20:27
東京19:04「はくたか575」→上越妙高21:11着 おかえり上越2号 21:31
東京20:12「はくたか577」→上越妙高22:14着 おかえり上越3号 22:27

この3本の列車です。

地元の皆様、帰りの新幹線の中で一杯飲めるようになりますよ。
それまで奥様に上越妙高駅までお迎えに来てもらっていた方も、高田や直江津までのお迎えが可能ですから奥様も楽になるのではないでしょうか。

そしてさらに驚くのは、22:27の「おかえり上越3号」は新潟から新井まで走ってきた特急「しらゆき8号」の新井からの折り返し車両を使用します。

つまり、特急車両に乗車券だけでご乗車いただけるのであります。

なんという大サービス。

どういうことかといいますと、この「しらゆき8号」は新井到着後は直江津まで回送電車になって戻っていたのです。

今の時代、トキ鉄だけじゃなくて全国的に鉄道会社は減便の時代です。
今回のダイヤ改正でも各地で減便が発表されています。
そんな時代に、「地域の皆様方の利便性向上のために増発します。」ということは、いくら地域鉄道でも言えないのです。

なぜなら赤字だから。

この国では地域のインフラである鉄道に対して、「赤字だからやめてしまえ。」と言うことがまかり通るのが常識ですからね。
でも、私は自分が東京から帰ってきたときに、そういう新幹線接続の需要があるということがわかりましたから、1年間「おかえり上越」を設定してみて、数字を出して、それに基づいて、回送列車にお客様を乗せることができれば増便ではないだろうと判断しまして、「特急の回送に乗せていいか。」とJR新潟支社と相談したところ(しらゆきの車両はJRの車両なので)、快くOKをいただいたのであります。

いやあ、これ、なかなか難しい判断ですよ。

何しろ経営の課題は赤字解消のために減便しろ! ですからね。

でも、私は私の信念で、地域の足を何とか確保するのがトキ鉄の使命だと思っていますから、もちろん利用実態が悪い列車や、他社線からの乗り入れ列車がなくなることでの減便は行いますが、出張帰りの地元の皆様方にお乗りいただけるような列車を設定したのであります。

1列車の目標は実績ベースで判断すると20名程度でしょう。
20名のために走らせるのか? と言われる方もいらっしゃるとは思いますが、そういう方は鉄道に乗らないで、駅にも来ないで、赤字云々言われる方です。
今の時代、夜の20~22時に1列車20名のお客様が乗られるということは、これは地方鉄道としては奇跡なのですから、そういう認識をお持ちいただきたいなあと思います。

ということで、「おかえり上越1・2・3」

3月18日運転開始です。

皆様方のご乗車をお待ちいたしております。