若い人たちに知っておいてもらいたいこと その2

昨日は韓国の話をしましたので、今日は中国の話をしましょう。
今、韓国だけでなく、中国も日本をバッシングしています。
「日本人は中国人に対して悪いことをした。にもかかわらず戦後賠償もしていない。」
相手から何年間もそう言われ続けると日本人の方も若者を中心に「中国なんて大嫌い。」という人たちが主流になっているのではないでしょうか。
でも、本当にそうなのかというと、私は違うんじゃないかなあと思うのです。
私の名は「亮」と言います。
中国や台湾へ出かけて自己紹介をすると、ほとんどの皆様から「良い名前ですね。」と言われますが、実は私の名前は中国の偉人である諸葛孔明から頂いたものなんです。
諸葛孔明と聞いても今の日本人はそんなこと人のことは知らないでしょうが、中国や台湾の人たちは当然知っていますから、皆さん、私の名前を褒めてくれますし、おそらく私にこの名前を付けてくれた私の父に対ても敬意を感じるのではないでしょうか。
子供のころ父がいつも「お前の名前は諸葛孔明から頂いたものだ。諸葛孔明という人は偉大な人物だ」と言っていたことを思い出しますが、考えてみれば自分の子供に中国人の名前をつけるというのは一体どういうことなのでしょうか。
父は孔子、孟子の思想をよく勉強していたらしく、論語などはほとんど諳んじていました。酒に酔うといつも「師のたまわく・・・」などと言って、私に中国の昔の偉い人の話をしていましたが、今思えば、自分の子供にも中国の歴史上の人物の名前を付けるぐらいですから、中国の大ファンだったということがわかります。
わずか40~50年ぐらい前までは、日本人の多くが中国の古典を勉強していて、そこからいろいろなものを学んでいました。
ということは、日本は中国に対して、非常に高い尊敬の気持ちと憧れを持っていたということになるのではないでしょうか。
今の中国は共産党独裁の政治体制です。
共産党というのは「死後の世界」などありえませんから、多分お寺に出かけて先祖の霊にお参りするなどということは考えられないのでしょう。
だから、お国のために犠牲になった英霊に対して・・・などと言っても理解できません。
歴史を見ても、政権が変わるときには書物や文献をすべて燃やしてしまうようなことが行われていますから、今の中国には「古き良き時代」の手掛かりは残されていないのかもしれませんが、例えば「孫子の兵法」など、日本のビジネスマンの間ではいつの時代もベストセラーになっているように、中国の歴史が、もしかしたら私たち日本人の生活の中にしっかりと受け継がれていて、息づいているのではないでしょうか。
だとしたら、私は、今の中国の国家体制を云々するのではなくて、私たちが中国から受け継いだ文化というものをもう一度見直して、その良さを私たちが実践することによって、お互いの国をお互いが思い合う形ができるんじゃないかと考えるのです。
そういう理解ができれば、沖縄の基地問題も解決できるかもしれませんし、中国とそういう関係が構築できたにもかかわらず、基地問題が解決できないのであれば、そこには別の思惑が絡んでいるということもより鮮明になるのではないでしょうか。
今から10数年前に韓流ブームが巻き起こりました。
その時に、戦前の教育を受けたあるおばあさんが、「日本人の婦女子が朝鮮半島の男性にキャーキャー言うなんて、歴史始まって以来だ。」と言ってましたが、私は「違いますよ。」と答えました。
遣隋使、遣唐使の時代から、日本の文化は中国大陸や朝鮮半島から伝わってきたんです。彼らは常に新しい文化、文明を持ってきているということは、当然ですが日本人は皆、彼らに夢中になったはずです。
朝鮮半島の話をすれば、白村江の戦で百済、高句麗が滅亡した時に、国を追われた朝鮮半島の人々が、たくさん日本に逃げてきました。
国が滅亡した時に逃げてくる人というのは、農民や一般市民ではなくて、当時でいえば学者や役人、僧侶などのインテリで上流階級の人たちです。
そういう人たちが日本に逃げてきて、渡来人とか帰化人とか言われたわけですが、その頃の日本人はまだ野蛮人だったはずです。
仏教や儒教などもそうですが、彼らが持ってきた文化を日本に根付かせてくれて、そのおかげで日本は古代国家から徐々に発展してきたわけです。
文化が根付くということはアンテナ感度の鋭い若い女性などの一般人が、夢中になって取り入れたはずですから、そういう自分たちにない高い文化を持った渡来人と呼ばれた人たちは、みんなからキャーキャー言われる人気者だったはずです。
私たちの生活の大本は、中国や韓国の文化に基づいているというのは紛れもない事実で、にもかかわらず私たちが中国や韓国を否定するということは、ある意味自己否定につながりかねませんから、私は、時の政治体制やマスコミの扇動に引っかからないように、しっかりと相手のことを考えなければいけないと感じているのです。
何しろ、私の「亮」という名前は、中国にあこがれていた私の父が、中国の歴史上の人物から1文字いただいて名づけてくれたものですから、私は日本と中国がバッシングし合っている今の現状が、とてもとても寂しく思うのであります。
若い世代の皆様方は、変な先入観に基づいた判断をするのではなく、しっかりと勉強して自分なりの考え方で行動していただきたいと思っています。
中国文化がどれだけ私たちに生活に根付いているかといえば、漢字などが良い例です。
例えば自分の親の兄弟のことをおじさん、おばさんと言いますが、親より年上のおじさんを伯父さん、年下のおじさんを叔父さんと書きますね。
同じように親より年上のおばさんは「伯母さん」で、年下のおばさんは「叔母さん」です。
これは中国の周の時代の古典に出てくる「伯夷(はくい)・叔斉(しゅくせい)」という2人の兄弟から来ています。
伯夷の方がお兄さんで、叔斉の方が弟。
だから、同じおじさんでも年上のおじさんを伯父さん、年下のおじさんを叔父さんと書きますし、少し前までは口語でも「伯(はく)おじさん」「叔(しゅく)おじさん」などと言っていたのです。
勉強すればするほど、中国は偉大な国であり、私たち日本人に根付いていることも元は中国の影響を受けているということがお分かりになるのではないでしょうか。
皆さん、変な宣伝や噂話に左右されないように、一生懸命勉強して頑張ってください。
(おわり)