列車種別の不思議

この間、南海電車に乗っていたら、「この電車は普通車の○○行です。」とアナウンスしていました。
私の常識では「普通車」というのはキハ、サハ、モハの「ハ」であって、これに対する言葉は「特別車」のグリーン車となるわけですが、南海電車では「普通車」は「急行」や「特急」ではない普通列車のことで、だったら各駅停車といえばよいではないか、と思ったら、実は難波から天下茶屋までの間に、高野線の電車しか停車しない駅が2つあって、和歌山方面へ行く電車はその2駅には停まらないので、「各駅停車」と表現することができない。
だから、高野線の普通列車は「各駅停車」で、南海本線の普通列車は「普通車」と表示しているとのこと。
いろいろ地域ごとの事情があるようです。
地域ごとの事情といえば、最近の列車種別は各社さまざまな表現方法があって、日本全国旅する人間にとって見ると実にわかりづらい時があります。
私のように昭和の国鉄時代に鉄道知識を身に着けた人間にとって、まず、各駅停車という表示は私鉄独特のものであって、国鉄では(JRになった今でもたぶん)列車種別としては各駅停車とは言わず、「普通列車」でしょう。
アナウンスとしては「各駅に停車いたします普通列車の熱海行です。」なんて言ってますが、総武線の黄色い電車は各駅停車と表示してあるのを見かけます。
昔は緩行線(かんこうせん)と言っていましたが、それよりも快速と並走している区間では各駅停車と行った方がわかりやすいのだと思いますが、少し違和感を感じます。
というように最近の列車種別は実にわかりにくいものがありますが、私の頭の中では、列車は遅い順に(停車駅の多い順に)
普通(各駅)、快速、急行、特急
と、このようになっているわけですが、私鉄ではこれに準急という種別が入ります。
準急というのは「準急行」ですから、急行列車よりも遅い列車だというのはわかります。
では、快速列車との違いはどうなのでしょう。
そもそも快速という種別は、私の認識では国鉄における料金不要の急行列車という感覚があるのですが、つまり、急行列車並み、もしくは少し劣る速さで走りますが、急行料金はいりませんという種類だと思っています。(速さというのはあくまでも停車駅の数が少ないという意味です。)
これに対し特急は特別急行でありますから、「急行列車の中でも特別の存在ですよ」という感じがして、子供のころは風格があったんです。
つまり急行を中心にして(-)側にあるのが準急で、(+)側にあるのが特急ということになり、その準急という種別が消えて、代わって登場したのが快速という理解なんです。
ところが、私の地元を走る京成電鉄は、いつのころかのダイヤ改正で急行という列車種別をやめて快速になったんですが、ダイヤを見ると、以前の急行よりも快速の方が停車駅が少なく、区間所要時間が短くなっている。
つまり、私の認識の中の快速は、急行より(-)側にあるべきなのに、京成では(+)側に位置しているのです。
さらによくわからないのが、この「快速」という使い方で、列車の速さの位置づけだと思っていたら、快速急行とか快速特急という言い方も出てきていて、これは、私の考察では急行や特急に(+)する意味で使われているように感じます。
つまり、急行列車よりも速いのが快速急行で、特急列車よりも速いのが快速特急ということになるのですが、そうなると、特別快速はどうなるのでしょうか。
で、いろいろ考えた挙句、遅い順から並べてみると
普通(各駅停車)
快速・準急
快速準急
特別快速
急行
快速急行
特急
快速特急
となるような気がしますが、いかがでしょうか。
もっとも、国鉄、JRともに急行とか、特急という種別には料金を徴収しますから、そう安易に「急行」を名乗ることができません。
国鉄時代末期に、増収を目指す目的で急行列車を特急に格上げして、今までの急行列車が大して早くなるわけでもないのに、高額な特急料金が必要な特急列車にどんどん変わっていきました。
JRになってからは、それが原因で、代替交通手段が整備されると鉄道のお客様が皆逃げて行って、利用者減を何とか食い止めようと、今度は急行列車を料金不要の快速に格下げした結果、今、JRから急行という列車種別はほぼ絶滅したのでありますが、そう考えると、JRと私鉄では列車種別に対する考え方が根本から違うことがわかります。
で、もう一度考えてみると
普通(各駅停車)
準急
快速
快速準急
急行――――ここまではJRでは快速
快速急行――これはおそらく特別快速
特急――――JRの特急列車(さしずめB特急)
快速特急――JRのスーパー特急
とまあ、こんな感じになるのではないかと思います。
と、ここまで考えてきてさらに複雑なことは、「通勤」という名前が付いたものがあること。
「通勤急行」「通勤快速」「通勤特急」それに「ホームライナー」
そしてさらに「区間」が付くものがある。
「区間急行」「区間準急」などなど。
一体どうなっているのか本当にわからなくなってくるではありませんか。
もっとも、各鉄道の通常の利用者は、その路線の列車種別を熟知していればよいのでしょうから、ほぼ混乱なくご利用いただいているとは思いますが、私のようにいろいろな鉄道に乗る人間としては、列車種別イコール停車駅と思っていますから、例えば、「急行の停車駅であれば快速は停まるだろう。」というように、独断で判断するのですが、実はその路線では急行よりも快速の方が格上だったりすると、そういう判断が通用しませんから、痛い目に合うわけです。
かといって、あまり路線図をじっと見ていると「田舎者」と思われかねませんし、だいたい路線図や停車駅案内というのは、どの電車でもドアの上にありますから、座席に座っているときは見ることができません。
いくら空いている電車でもいちいち立ち上がって路線図を見るわけにはいきませんから、どうしても自分の端末で確認しようと思うのですが、そうなると今度は外の景色を見ることができませんから、気付いたら目的地となっていて、電車の旅がだんだんと面白くなくなってくるのです。
ああ、実に悩ましい。
そろそろ何か統一する基準が必要だと思いませんか。