ヨーロッパでの航空会社の倒産の話をしました。
ギリシャの危機が進んでいるという話ですが、こういう時にギリシャの国内はいったいどうなっているのでしょうか。
国家デフォルトというのは国が借りているお金を返せなくなることですが、今のギリシャが置かれているのは、実際に返せなくなる前の段階として、「このままでいったら、どうも返せなくなるんじゃないだろうか」と周囲が思い始める信用不安です。
こういう信用不安状態になると、国としては「大丈夫、返せますよ。」ということを示して国債を買ってくれる人たちに安心してもらう必要があります。
その方法としては、1:国の収入が増えることと 2:国の支出を減らすことという2つの方法があります。
日本は今の時点で消費税は5%ですから、それを10%、15%に増税することで国の収入が増える、つまり、国債の支払いを将来的にきちんとできますよ、と安心してもらうことで国債を買ってもらうことが可能です。
でも、ヨーロッパの国々は、すでに消費税が20%になっているところがほとんどですから、今後、これ以上消費税を増税して国の収入を増やすということは現実的でありません。
だから、もう1つの方法である国の支出を減らす選択しかないのです。
そのために、(行って、自分の目で見たわけではありませんので正確ではありませんが)、ギリシャ国内では、公務員の削減に始まって、公務員が減れば当然行政サービスの質が落ちますし、学校だって減らされ、教科書も満足にない状態。道路などの補修工事もままならなくなりますから総合的にインフラが弱体化します。医療もそれまでの水準が維持できなくなるでしょう。
そのように国民の生活がどんどん厳しくなってくる。
そんな状態のところへ、フランスやドイツが「まだまだ生ぬるい」と更なる支出減を求めてくる。これに応じなければ、資金援助はできないという訳です。
ところが、ギリシャ政府としては、この3月に、以前に発行した国債の償還(払い戻し)が控えてるわけで、この償還ができなければデフォルト、つまり債務不履行ということで、当然今後の国債の引き受け手も無くなる。そうなれば、借金をすることすらできなくなりますから、各種サービスの停止や公務員への給料の支払いもできなくなってしまうのです。
でも、おそらく国民のレベルでは、現時点ですでに「俺たちはどうしてこんなに我慢をしなければならないのか」となっているはずですから、フランスやドイツが求めるようなこれ以上の支出削減をして国民に犠牲を強いることは民意が認めないでしょう。
「フランスやドイツがあんなに裕福なのに、どうして俺たちだけがこんなに苦労するのか」というのがギリシャの民意ですから、今後のギリシャ、そしてスペインがどうなるかということは、私たち日本人にとってみると、将来へ向けてのとてもよい勉強材料になると思います。
そもそも、なぜフランスやドイツが、ギリシャに対してそんなに強く改善を求めるのかといえば、それはヨーロッパが統一通貨ユーロを発行しているから。
ギリシャの1ユーロもフランスの1ユーロも同じ価値がなければ、ユーロ制は崩壊してしまいます。
各国が独自の通貨を発行していれば、変動相場で円高とかドル安とかで調整できるのですけれど、統一通貨になってしまっていますから、それができないのです。
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