鉄道会社に勤務するということ。

いすみ鉄道を応援してくれているH君。
彼は都内の某鉄道会社に乗務員として勤務しています。
その彼が最近何だか悩んでいるみたい。
その悩みというのが、「夏休みがないよ~。」ということらしい。
まだ若いから、遊びたいのかなあ。
でも、休みたいとか考えるようになったら現場は無理だね。
厳しいようだけど、それが交通機関に勤務するってことだから。
いすみ鉄道でも売店や内勤者も含めて、鉄道会社に勤務するという自覚がないと務まりません。
売店やアテンダントの募集を出しても、「土日休みたい。」って書いてくる人がいるから、驚いてしまいます。
「あんた、何考えてるの?」とは言わないけれど、言う前にそういう人はパス。
パスというのは合格という意味じゃなくて、「さようなら」という意味。
まして、いすみ鉄道が観光鉄道としてやっていく以上、観光業ですから、人様が休んでいるときが仕事なわけです。
私は20代の時から空港に勤務してましたから、土日だけじゃなく、盆も暮れもないのがあたりまえ。
だから、今でも普通に土日に仕事しているわけで、みんなと一緒に休みたいなんて考えたことはないのです。
空港に勤務していると、土日が休めないだけじゃなくて、早朝勤務もあれば深夜勤務もあるし、まして関空や羽田のように24時間開いている空港だと、午前2時出勤とか、午前5時出勤とかが普通ですから、いちいち「土日に休みたい。」なんて言ってられないのですよ。
年頃の女の子が、金曜日の晩に彼とデートしていたとしても、夜の9時にもなれば、「ごめんなさい。あたし帰らなきゃ。」と言わなければならない。
まるでシンデレラのように。
空港勤務はそういうのが当たり前の世界だけど、彼氏を見つけてチャンと結婚している人もいますから、結局は本人の問題ということで、誰も「休みたい。」なんて言わないのです。
で、どうしても休みたい場合はどうするか。
前月にシフトを組む時点で、自分のリクエストを聞いてもらえるチャンスがあるのですが、そういう時にリクエストを出す人って、だいたいいつも同じ人だから、だんだん相手にされなくなる。
別に仲間外れになるわけじゃないけど、先輩から注意されるようになって、本当に休みが必要な時に休めなくなったりするんです。
中にはおじいさんを何度も殺して、お母さんを何度も病気にする人もいるけど、結局バレバレですから、仲間の協力を得られるようにしないと、本当に浮いてしまうことになるのです。
こういう生活を20年以上してきた私から見ると、別に土日でもふつうに働いて、それも時間も構わず、食事の時間もバラバラで何も考えないのですが、中には12時になったらきちんとご飯を食べなければならないと思っている人もいるかもしれないし、5時になったらチャイムと同時に消えている人もいるわけですが、そういう人は、やっぱり鉄道会社には向かないと心からそう思います。
その点、JR出身のおじさんたちは大したもので、絶対にお盆だから、正月だからと言って休みたいとは言わない。
その代り、人が働いてる時にうまく休んで、安い旅行費用で海外旅行をしてきたりしてますから、実に上手だなあと思うわけです。
人間は他人のことが良く見えますから、土日が仕事の人は、土日休んでいる人がうらやましく見えるでしょうし、平日に遊んでいる人を見ると、土日休みの人たちは「何だあいつらは。」と思うかもしれません。
そういうことが顕著に見えるのが意外と夏休みの今なのかもしれません。
だから、いすみ鉄道ではたとえ内勤の部長でも、たとえ訓練生でも、土休日や夏休みはサービス業としての自覚を持ってもらうために売店勤務。
そんなことはあたりまえなんです。
そして私も、どこへ行っても混んでいる高い時期は、仕事をすることに決めているのです。
土日もお盆も正月も関係なく仕事をしている私を見て
「社長さん、大変ですねえ。」と声をかけていただくのはありがたいのですが、そう思っていらっしゃるあなたは、鉄道会社には勤務できない人なのです。
社長が土日もお盆も正月も含めて、いつ会社に来るかわからないのですから、部長や課長や主任も気が重いかもしれませんね。
そんなことは私の知ったことじゃありませんが。
H君、わかりましたか?
人が働いているときに休める優越感を早く覚えましょうね。
さあて、明日もお仕事がんばりますよ。
明日は午後2時から千葉の三省堂書店(ヨドバシカメラの上)でトークショウ? サイン会? を行いますので、皆様是非いらしてください。