台湾国鉄の旅

2004年から2007年にかけて、私は10数回台湾を訪ねた。
台湾新幹線の工事が急ピッチで進められていた頃で、台北から高雄までの西部幹線と呼ばれる在来線には、特急、急行、準急などの列車がひっきりなしに走っていた。
ちょうど昭和37~38年ごろの東海道本線といえばわかりやすいかもしれない。
新幹線開業前夜の在来線華やかなりし時だった。
訪台の目的はもちろん鉄道DVDの撮影。
台湾の特急列車「自強号」に乗って、台北から高雄、台東、花連、宜蘭と台湾をひと廻りして台北に戻るという全16時間のコースを、運転席からの前面展望映像として作品化した。
パシナ倶楽部台湾国鉄シリーズ
一昔前までは、台湾では鉄道は軍事施設であり、列車に向けてカメラを構えているだけでお巡りさんに連れていかれた時代だったから、私が自強号をはじめとして、台湾国鉄の全路線の前面展望を撮影し、DVD化したことは、台湾始まって以来の出来事で、世界で初めて、台湾国鉄の全路線を作品化したのだった。
ところで、私がなぜそれほどまでに台湾国鉄に憑かれたように撮影しまくったかというと、それは、日本の国鉄時代のシーンが台湾にはそのまま残っていたからである。
機関車に引かれた長編成の客車が走り、駅構内も昭和の雰囲気が漂う。
そんな鉄道シーンにあこがれて、仕事帰りに成田空港からそのまま飛行機に乗ったりして、台湾中を彷徨っていた。
そんな私が特に気に入った列車がこれ。
台湾南部の高雄から坊寮、そして台東へ向かう各駅停車の列車だ。
日本の旧型客車と同じような車両に丸1日揺られ、暑い台湾南部で冷房もない車両を楽しみながら、ガタンゴトンとレールの音に耳を澄ませてうたた寝をする汽車旅。
こんな汽車旅が数年前まで台湾に残っていたのです。

[:up:] 高雄駅で発車を待つ普通列車。昭和の国鉄時代の雰囲気が漂う。

[:up:] 先頭にはアメリカンスタイルのディーゼル機関車。

[:up:] 客車の表記。まるで日本と同じ。そう、台湾は日本式の鉄道表記がそのまま今でも使われているのだ。

[:up:] 客車内。そうそう、あったよねえ。こうやってドアのそばに棒が立っている車両。(最近は都会の電車でも一部で手すり棒が復活している。)

[:up:] 博愛座。シルバーシートです。
さて、明日は坊寮に向けて高雄を出発します。[:拍手:][:拍手:]世界の車窓から風に。