自転車利用環境向上会議

今日は仙台で開催されました自転車利用環境向上会議に出席いたしました。

この会議は自転車をもっと生活のあらゆる面で利用しやすい環境を作りましょうというもので、もう第10回目だそうです。

例えばですね、今年の春に道交法が改正されて自転車に乗るときにはヘルメットをかぶらなければいけなくなりましたが、確かに安全上はそうなんですけど、そうすると「だったら自転車には乗りたくない。」という人も出てくるわけです。
つまり、自転車利用のための環境向上にはなっていないし、いまさら車へ移行するのは環境上もよくない。

だったら、まずは自転車が安全に走れるような道路環境を作りましょうというのがヨーロッパやアメリカなので、つまり日本はこの点において遅れているわけです。

鉄道もそうなんですが、自転車利用にはハードルが高い。
田舎のローカル線はともかく、都会の地下鉄に自転車を持ち込めるところがない。
でも海外では普通に都会の地下鉄や電車に自転車を持ち込めるところがたくさんあるわけで、「そんなことはヨーロッパの話でしょう?」と言われるかもしれませんが、台湾でも韓国でもやってるんですよ。

つまりアジアの中でも日本の交通機関は遅れてるのです。

この写真は4年前に私がドイツで撮ったものですが、特急列車から各駅停車まで自転車を持ち込めるようになっていて、跳ね上げ式の座席をたたんで括り付ける。中央駅のような大きな駅でも、普通にホームを自転車を押して歩いている。
これが当たり前の姿なんです。

国際特急に自転車を持ち込める国の人たちが、サイクルツーリズムで日本にやってきて日本の現状を見たら「遅れてる」となるわけで、きちんとルールを決めて前に進んでいかなくてはいけない現状をまず認識して、それに対して解決していきましょうという会議なのであります。

そんな中で、えちごトキめき鉄道のサイクルトレインというのは、実は国からも高く評価されているんです。

皆さん、トキ鉄のサイクルトレインって知ってますよね。

ひすいラインで2年前から始めていて、はねうまラインもこの秋実験中。
トキ鉄のサイクルトレインの評価されている点というのは、
・地元行政ときちんと連携が取れていること
は、もちろんなんですが、
・事前予約は要らない。
・切符の購入も不要。
という点なんです。

もちろん混雑しているときには乗ることはできないのは全世界共通ですから、時間を決めて、区間を決めて、あるいは日時を決めてご利用いただくのですけど、予約なし、切符の事前購入が不要で、車内で手回り品切符290円を別途お支払いいただければ利用できるという点で、優れていると評価されています。

また、このパンフレットの内容も大変高い評価をいただいておりまして、何が優れているかというと、駅の乗り場やホームの構造がきちんと書かれていること。
この駅はエレベーターがある。この駅は階段だけ。この駅は反対側のホームへは踏切だという解説がされていますから、ご利用いただく方はあらかじめコースを組み立てやすいのです。

そして、ひすいラインで評価が高いのはもう一つ。
親不知子不知という難所を鉄道に乗って越えることができること。
実は国道8号線の峠道がたいへん狭く、急カーブや急坂が続き、自転車では危険で通りずらいところなのですが、糸魚川、あるいは青海駅から市振駅まで、その峠区間だけでも列車で移動できれば、その前後にはきちんと整備されたサイクリングロードがありますから、コースとして繋がるわけです。

はねうまラインの特徴は片登り。
直江津から妙高高原に向けて登っていくのですが、新井の手前までは平坦で、新井から先が急こう配の連続になります。
これは道路も同じですから、北新井までの平坦な区間を自転車で行って、北新井から妙高高原まで電車に自転車を載せて登って行って、帰りは自転車に乗って下り勾配を戻ってくるというコースが作れるのです。

今年は11月12日までの期間限定でテストケースですが、来年以降、もう少し拡大できると良いと思っています。

ちなみに、自転車を鉄道に載せるということには大きく分けて2種類あって、1つは今回のような旅行者向けのもの。もう1つは地元の皆様方にお買い物や通学に使ってもらうものです。

ただし、後者の場合は、バリアフリー対策などが必要になるケースが場合が多く、解決しなければならない問題が多くなると物事は進みませんから、現状の設備をそのままでスタートできる旅行者向けのサイクルトレインとして、とりあえずスタートしています。

実は、上越地区特有ということではありませんが、高校生の中には自転車を2台持っている人がいて、1台は自宅から地元の駅まで。もう1台を高田駅から学校まで利用しています。

そういう人たちが、家から駅に来て、そのまま自転車を電車に載せて、高田まで来たらそのまま自転車で学校まで通えるようになったら一番良いのではないかと私は思っています。

「そんなことできるわけないよ。」と思われる方もいらっしゃると思いますが、実は群馬県の上毛電鉄ではもうそういう使い方が一部でできるようになっていて、自転車を電車に持ち込む利用者がすでに年間で4万人を超えています。
もし、そういうことを禁止したら、年間4万人の人たちが鉄道を利用しなくなると考えたら、これからの人口減少時代を考えると、とても恐ろしいことのように私は思います。

朝夕の通学電車の一角を「自転車通学者用」として区画整理すればよいのですから、ルールを決めれば実現不可能ということでもなく、お母さんたちの送り迎えも助かると思うのですが、いかがでしょうか。

トキ鉄だけでできることではないので、ある程度ハードルは高くなりますが、世の中の流れとしては、どうやらそちらの方向に向かっているということだけは確かなようです。

本日お世話になりました皆様、ありがとうございました。

ということで、私は仙台から戻り、ブログを書いて、これから夜行列車対応です。