今日から7月

今日から7月。

梅雨も後期に入ったようですごい雨でしたね。
毎年のことですが、梅雨の後半は集中豪雨などが発生しますので、大きな被害が出ないことを祈っています。

さて、久しぶりに「にいがた経済新聞」に寄稿いたしました。
久しぶりにというのは、ゴールデンウィークのニュースを7月に入ってから出すのですから、まぁ、2か月遅れということで。

でも、皆様にリマインドしていただくという意味では良いかもしれませんね。

トキめき鉄道がゴールデンウィークのイベントの一環として4日間ボンネットバスを直江津、高田、新井、二本木の町中で走らせたこと。
地域の皆様方はもう忘れてしまったかもしれませんが、私は何も特別なことをしなくても観光客が来てくれるような仕組みを作らなければ、地方都市が観光で生きて行くのはなかなか難しいと思っております。

このあいだもYAHOOニュースで書きましたが、地方都市は人口が少ないですからリソースが限られています。田舎ではお祭りごとや大きなイベントをやるのが皆さんお好きなようですが、そういう一時的なイベントで集客するスタイルは、そのイベントに向けた準備などに大変な労力を要する割には、それが終わってから残りの360日をどうやって生きて行きましょうか? という観点に欠けています。

何かやれば人は来るかもしれませんが、その時だけ皆さんたいへん忙しくなって、それが終わるとイベント疲れでぐったりしている。回復するまでに1~2か月かかるとしたら、次のイベントまでの間隔は3~4か月開いてしまいますから、せいぜいやっても年に2~3回がいい所じゃないでしょうか。

そういうイベント主流型の観光は、大きな予算をかけてプロのイベント屋さんにお願いするならまだしも、田舎の町の商店街や観光協会などが実行委員会を仕立てて企画するにはリソース的にかなり無理があって、結局、企画書が前年のコピペで毎年同じことを繰り返しているだけというところは日本全国にあるのではないでしょうか。

コロナが3年間あったので、イベントも3年中止になってところが多いと思いますが、では4年ぶりにやりましょうとなった時に、4年前の企画書のコピペで会議をやっているところも全国いたるところにあると私は思いますが、関係者だったらおわかりになるでしょう。

上越市の中川市長さんはその点鋭い見方をしているようで、2年前の就任前の公約から「通年観光」を提唱されています。

「通年観光って何だ?」と理解できないお爺さんお婆さんたちがたくさんいるようですが、通年観光とはイベント観光の対義語で、イベント観光のような一過性のものではなくて、いつでも観光客にいらしていただくこと。そのためには、何もなくても行って見たくなるようなコンテンツを用意して、それを情報発信していくことが重要で、今の時代はそれがきちんとできれば、大きなイベントなどやらなくてもいつでも観光客に来ていただけるのです。

一例として今回はボンネットバスを取りあげましたが、古い街並みにボンネットバスを走らせるだけで、「おっ、いいなあ。」と思っていただければ、町並みが引き立って、皆さんいらしていただけると私は確信しています。

雪月花や国鉄形車両などの観光列車もそうですね。
どちらも一年を通して走っています。
そして、一年を通して観光客にいらしていただいています。

トキめき鉄道はすでに通年観光のコンテンツになっているんですけど、歴史がある地域では、長老の皆様方には鉄道が人を呼ぶツールになるなんてことは同意したくないんでしょうね。

もう14年になりますが、前職の時もさんざん言われました。
「ムーミン列車って何だ? ここは本多忠勝の城下町だぞ。」って。

だから申し上げたんですよ。
本多忠勝っていつの人ですか?
400年も前の人でしょう。
本多忠勝を目当てにいらしてる人はもうすでにいらしていますよ。
それでじり貧なんでしょう。
だったら新規顧客を開拓しないと、とね。

ムーミン列車も国鉄形車両も地域に人を呼ぶツールになっているというのに、結局本多忠勝を最後まで押し通して、ムーミン列車は認めてくれませんでしたからね。

今、あの頃よりも栄えているという話も聞きませんし。

ということで、私にとってはムーミン列車を雪月花に置き換えて、本多忠勝を上杉謙信に置き換えただけですから。

結局地方都市はどこも同じなのかな?
こうしてダメになっていくのかな?
という公式が私には見えているのですけど、でも、私は自分が住んでいる高田という町が好きで、ご縁をいただいた皆様方にも前職時とは違う可能性が見えていますから、私なりのやり方で一生懸命やって、皆様方に気が付いていただきたいと思っているのであります。

「上越の町並みにボンネットバスが走った日」えちごトキめき鉄道株式会社 代表取締役社長 鳥塚亮