インカムゲインとキャピタルゲイン

世の中の動きが刻々と変化しています。
ついに東京オリンピックが延期されるかもしれないという話まで出てきました。
オリンピックまで中止されるような事態になるとオリンピックに大きな投資をしているテレビ局や旅行会社はもちろんですが、世界中の銀行だって傾くかもしれません。

そうなるとどうなるか。
おそらく経済規模の小さな国もアウトになるでしょう。
経済の大混乱。
すでに航空路線の運航停止や国境の封鎖などが始まっていますから、経済の大混乱というか経済活動の大規模な停止が起これば悪性インフレになることも予想されますね。

とにかくいい話がない。
暗くなる話ばかりです。

でも、本当に暗くなる必要があるのでしょうか。

人類が経験したことのない未曾有の大混乱ですから、そういう時には反対に大きなチャンスがあるのではないかと私は考えるようにしています。

ピンチになるということはそれまで積み上げてきた資産が紙くずになるということです。
一番大きな被害を受けるのはお金持ちです。
でも、お金持ちというのは日常生活に関係のないお金をたくさん持っているからお金持ちなのであって、つまり貯金通帳には生活には不必要なお金がたくさんあるのですからピンチになったといっても別に命まで取られることはないでしょう。
それとは対極の、例えば時給でお仕事をされていらっしゃるような方は、給料が入らなくなりますから生活困窮に直結します。そういう方々はいわゆる「Hand to mouth」の生活からできるだけ早く脱出する必要がありますから、混乱が落ち着くのを待って、多少条件が悪くても正社員の職を見つけるか、収入の柱を2つ以上持つようにすることが大切です。
だから、当面生活は大変でしょうけど、それを糧にして今のうちに自分を磨くようなことをしておくとよいと思います。

収入の柱を2つ以上持つとはどういうことかというと、単純に仕事を2つ持つのが一番わかりやすいですが、それだと結果として時間に追われることになります。
1つの仕事を6時間働いて、その後別の仕事を6時間する。
こういう形は時間の切り売りですからなかなかうまく行きません。
うまく行ったとしてもそんなに長時間働けるのは若いうちだけで、年齢とともに体力も落ちてきますから、若い人たちが目標を持って短期間行なう以外にはおすすめできません。

ではどうするかというと、1つの仕事を持ちながら、もう1つか2つ、時間で勝負しなくても良い何か別の収入源を持つことです。

一番簡単なのは、自分が会社へ行って仕事をしている間でも、帰ってくれば水がたまっているようにお金が入って来ているような何かを持てればよいですね。
今風に言えばネットビジネスでしょうか。
メルカリやヤフオクといったところに自分の商品を出品して、サラリーマンをやりながらそこそこお金を稼いでいる人はたくさんいます。
ただ、これにも要注意点があって、先日禁止されたマスクの転売もそうですが、ただ単に儲かればそれで良いといった転売ヤーのような理念のない商売は自分自身を高めることにはなりません。そういう人からはお金というのは逃げて行くようにできていますから、長期的にはうまく行きませんし、「あいつはそんなことをやっていたんだ。」と後になってバレれば、本人の信用を失うことになります。
注意が必要なのはそういう商売の理念です。

私の知り合いで、ネットサイトに商品を出している人がいますが、何を出しているかというと会社のギブアウエー。飛行機に乗るといろいろもらえるでしょう。ああいうもの。例えばカバンに取り付けるビジネスクラスやファーストクラスのタグなど、会社の中では別に備品管理されているものではないので多少持ち出したからと言って横領でもなんでもありませんが、そういうことを社内でこそこそ休憩時間とかにやっている。まあ、月に数万円ぐらいは儲かるかもしれませんが、そういう人は社内では信用がありませんから、人生という長いスパンで見たら大きな損をしていると思います。だから、そういうことはもう1つの収入の柱にはならないのではないかと思います。

ではどうしたらよいか。
ここで本日のタイトル、「インカムゲインとキャピタルゲイン」のお話です。

インカムゲインとは働いて得る収入のように、定期的に入って来るようなお金です。
例えばお店を開いてお客様が1日何人、売上いくら、そして利益はいくらというように日々働いて得られるお金。サラリーマンなら毎月の給料ですね。
これが大きな収入の柱です。

これに対してキャピタルゲインとは、所有しているモノそのものの値上がりによって得られるお金のこと。

例えば株式投資の場合、株を購入すると優良企業であれば配当金という形で年に何回か株主に対してお金が支払われます。これがインカムゲイン。
それに対して所有している株が買った値段よりも値上がりして価値が高まると実質的に差益が出ます。これがキャピタルゲイン。
500円で買った株が800円に値上がりすれば300円儲かったことになりますが、その300円がキャピタルゲインです。

例えば不動産の場合、マンションの部屋を所有します。
自分で住むところとは別ですよ。
なぜなら人に貸さなければ家賃収入が入りません。
家賃収入が入らなければ資産とは言えませんから。
自分の家を資産だと思っている人が多いのですが、そこから収入を産み出さなければ売却しない限り資産とは言えませんが、人に貸すことができれば定期的に家賃収入が入ってくるから、これがインカムゲインです。
これに対して、その不動産の価格が自分が購入した時よりも値上がりすればキャピタルゲインを得たことになります。
3000万円で購入した物件が5000万円になれば、2000万円儲かったことになる。
こういうことがキャピタルゲインです。

昔、私が学生だった頃は、キャピタルゲインを得るということが一般的なビジネスの考え方だと言われていました。
その良い例が不動産。
物価が毎年5%も10%も上がった時代でしたから、今のうちに不動産を買っておけば数年後には値上がりしているから差益が出る。だから不動産に投資しよう。そういう時代でした。
大きな会社が不動産投資をする。それに対して銀行が融資をする。
そこでどういう商売をやっていくら利益が出るかというような話ではなくて、買った不動産自体が値上がりする前提だから銀行は資産を持っていると認めてくれてお金を貸してくれたのです。

サラリーマンがマイホームを建てようと一生懸命積立貯金をしてやっと頭金ができたころには買おうと思っていた物件が相当値上がりしている。でも、執念で頭金を貯めたのだから何とかマイホームが欲しい。
この金額で買えるマイホームはと探してみると東京から快速電車で1時間以上離れた場所なら何とか買える。あとはお父さんががんばって通勤してくれれば家族は念願のマイホームに住める。

こういう時代がだいたい40年ぐらい前のお話です。
そして40年経って郊外の住宅地はお爺さん、お婆さんばかりになって、若い人たちは都心の再開発でできた広い土地に建てられたマンションに住んでいるのが今。
つまり、バブルが崩壊した跡、郊外の不動産は買った時の価値以下でしかありませんから、資産という点ではキャピタルゲインは得られなかったことになります。
なぜなら、どんどん不動産価格が上昇していた時代ですから、40年前に購入した時点ですでに相当高価で本来の価値以上の買い物をしていたからですが、だから今になっては二束三文。住み替えもできない状態なのです。

さて、このキャピタルゲインですが、購入するのにふさわしい時期というのがあります。
ところが「マイホームを持ちたい」というような人たちは、「今、欲しい」という人たちですから購入時ふさわしい時期かどうかなど考えない。「不動産が高いよ」ということは「景気が良いよ」ということですから、欲しい人が何とか買える時期でもあります。

「株が上昇中」とか「最高値更新」などという時は景気が良い時期ですから皆さん株に投資しようという気になる。

では、今、新型コロナで経済がズタズタになっているこの時期、おそらく不動産も株価ももっともっと下落すると思います。そうなると、不動産や株で大損をする人たちが巷で大騒ぎしますから、そういう時には誰も不動産や株を買おうと思わない。つまり投げ売りかストップ安です。
景気も冷え込んで買おうと思ったって買えないし、そもそも買おうと思わない。

でも、私は不思議だと思うんです。

ものを買う時期というのは自分が買いたい時期ではなくて買うべき時期であり、購入するのにふさわしい時期があるとしたら、それは「安い時期」だと思うからです。

例えば夕方のスーパーマーケット。
あと30分も待てば値下げのシールが貼られるというのは皆さんお分りですね。
だったらあと30分待てばよいじゃないですか。
その30分が待てないというのは「腹が減って仕方ない。」「今すぐ食いたい。」あるいは「時間が無い」という人たちで、普通の人なら待ちますよね。
ものを買うということはそういうことだと思うのですが、大きなものになればなるほどこの原理原則が通用しない。「株が高いよ」といえば皆さん株を買うし、「不動産が高いよ」といえば不動産に群がる。
本当はそうじゃなくて安い時に買って高い時に売る。
これが原理原則なのではないでしょうか。

そして、それがキャピタルゲインなのです。

バブル崩壊後、この国ではキャピタルゲインということがほとんど言われなくなりました。
銀行もお金を貸してくれません。
オジサンたちや大企業には散々痛い目に会った後遺症が気分的にも残っているのです。
だから、若い人たち、多分40ぐらいより下の人たちはキャピタルゲインという発想そのものがないかもしれません。
だとしたら私は気がついた人たちはチャンスだと思うのです。

おそらく数十年経ってみたらわかると思いますが、今は大きな時代の転換点にあると思います。
今までの考え方が通じなくなる時期でありますが、大きなリセッションの時期でもあると思います。
つまり、今まで世の中の金持と言われていた人たちが持っている財産を手放さざるを得ない状況になる。ということは経済の主役が交代する時期に来ているはずです。

今まで脇役どころか舞台にもあがれなかった売れない役者さんたちは、築き上げてきたものもありませんからその分大きな被害も受けない。
そういう時は脇役の皆さん方が主役に躍り出るまたとないチャンスです。
お金持ちのみなさんたちが投げ捨てるように叩き売った資産をコツコツと拾い集めておけば20年もすれば大きく値上がりするのは間違いありません。
なぜならリセッションが起こるとその後ほぼ必ずインフレになりますから、今、こういう時代こそがキャピタルゲインのチャンスであると私は考えています。

ただしキャピタルゲインを得るためにはそれなりの目利きが必要で、やるべきこととやってはいけないことというのもありますから誰にでもできるというものではありません。

そのためにはもっともっと勉強しましょうね。

やる気のある人には大いに活躍できる時代がやってくる。

ピンチをチャンスに変えられるかどうか。
新しい主役の登場を楽しみにしております。