ドイツで特急に乗って思ったこと。

先日ドイツへ行ったときに自由行動の日に特急列車に乗りました。

DB(ドイツ鉄道)のサイトからインターネット予約して、切符を購入します。
希望列車の座席表が出てきて、好きな席を選ぶことができます。
カードでの支払いが終わるとメールからチケットをダウンロードして保存します。


それがコレ。

ここまでは乗車前に準備します。
プリントアウトなどしません。

あとは時間に間に合うように駅へ行きます。
私はドイツ語は全く解りませんが、英語で何とかなります。

車内に入ります。
基本的には全車指定ですが、座席の上に表示が出ているところは指定席が売れているということ。
何も表示が出ていなければ予約者がいないということです。
私の席にはオバサンが座っていました。
「ソーリー」と声をかけるとオバサンは隣の席に。
どうやら座席指定を受けていないようです。

検札は100パーセント来ます。
発車してすぐに。
上の乗車券をiPadに表示するとバーコードのところに赤い光を当てて「はい、OK!」
ただこれだけ。

乗車駅でホームに入る時も、下車駅でホームを出る時も、改札口はありません。

検札が一段落すると、今度は先ほど検札に回って来た「DB」と書かれた制服を着たスタッフがトレイにコーヒーを載せて車内をまわります。

呼びとめて1つ求めました。

1杯2ユーロ。
約300円?

熱々のコーヒーです。

2時間ほど特急列車に乗って、乗り換えた列車はローカル線。

こんな感じの2両編成のディーゼルカー。
駅で切符を売っていないので基本的には車内で切符を買うシステム。
運転士と車掌の2名が乗車していて、検札に来ます。

その車内にこんな表示が。

どうやら飲み物やスナック類を売っているようです。
乗り換えたこの列車には15分ほどしか乗車しませんでしたので頼みませんでしたが、頼めば買えるということでしょうか。

そうなると疑問。
それは、誰が売るのでしょうか? ということ。

車内にはDBの制服を着た鉄道会社の職員だけ。

ということは、鉄道会社の職員が車内販売の対応をしているということです。

さきほどの特急列車もそうでしたが、鉄道会社の車掌が車内販売をするんですね。

私にとっては、これが大きな発見でした。

日本はどうでしょうか?

列車の車掌は車内販売をしません。

子会社か関連会社のスタッフが車内販売をします。

考えてみれば不思議ですね。
例えば、JR北海道の「スーパーおおぞら」の場合はトマムを出たら新得まで何十分も途中停車はありません。車掌さんは何をしているのでしょうか?
ボーッとしていると言ったら怒られるかもしれませんが、とりあえず暇なはずです。

だったらこの間で車内販売できるはずですね。

車内をまわらないにしても、グリーン車の横の車掌の基地で売店対応ぐらいはできるでしょう。

でも、そういうことはやらない。

そして、「儲からないから、車内販売はやりません。」

おかしいですよね。

業務範囲か何かは知りませんが、会社が危機的状況にあるのに、車掌が乗務しているのに、何十分間もすることがないのに、車内販売はやらないんですよね。

「それは俺たちの仕事ではない。」って感じでしょうか。

労使関係があるから、会社も言えないのでしょうかね。

大きな鉄道会社を見ていると、鉄道会社本体の正社員が一番偉い。
その下で下請けや関連会社の人たちが一生懸命働いている。
そして、そういう人たちがカスタマーフロントにいて、上の人たちは「儲かりませんからやめましょう。」という判断を下す。
そういう自分たちの理論だけが先に立って、お客様が不在になる。

「あれは下請けの仕事であって、俺たちの仕事ではない。」

経営危機の根幹はそういうところにもあるのではないでしょうか?

JR北海道だけじゃなくて、日本の特急列車が衰退の一途にあるのは、そういうところなのではないでしょうか。

なぜならば、モータリゼーションという話になれば、日本よりもドイツはその脅威にさらされているのですからね。

まずは、自分でやらないと。

人に任せる経営が美徳と勘違いしている経営者が多すぎますね、この国は。

そして、そういう考えがビジネスをダメにしていくのです。

経営者はまず自分でやりましょう。
経営陣は自分から動きましょう。
偉そうに構えている場合ではないのです。