総武快速線のグリーン車

昭和47年7月に東京地下駅が開業し、総武線に快速電車が走り始めました。
その後、昭和55年に総武快速線は東京地下駅で横須賀線と線路が結ばれ、直通運転を開始することになりました。
横須賀線の電車がそのまま総武線に入ってくることになったのですが、このときから横須賀線に合わせて総武線の快速電車にもグリーン車が連結されることになりました。
鎌倉や逗子へ行く横須賀線は戦前からグリーン車(当時は1・2等車)が連結されていましたが、直通運転が始まった当時の千葉県はまだまだ田舎でしたので、「千葉へ行く電車にどうしてグリーン車が必要なのか?」といった議論が巻き起こりました。
15両(または11両)編成のうち、2両がグリーン車ということは、それだけ普通車が混雑することですから、「とんでもないこと」だったわけです。
その後、千葉県も急速に宅地化が進み、今ではグリーン車について誰も文句を言う人もいなくなりましたし、総武線ばかりでなく常磐線にもグリーン車が付く時代になったのだなあ、と東京育ちの私としては思うわけです。
ところで、このグリーン車、私はありがたい存在だと感じています。
それは、グリーン車が付いている列車は、わずか数百円の負担増で、安心して座っていくことができるからです。
例えば、赤ちゃんを連れたお母さんや、おじいちゃんおばあちゃんなど、普通車では座れない時間帯であっても、グリーン車なら座席に着くことが可能ですし、座れなかったとしても、ゆったりとした車内で目的地まで行くことができるわけですから、例えば子供一人でおばあちゃんの家に行かせようとするときなど、とても重宝するわけです。
今、台湾でこの文章を書いていますが、ここ台湾は国民の国ですから、台湾国鉄の列車にはグリーン車のような特別車両がありません。
10両や15両近い長編成の列車でも普通車のみのモノクラス編成ですから、座席指定が取れない場合は、満員の列車に乗ることになります。
金額が高いか安いかはその人の懐との相談になりますが、いくらかの追加料金を払って「優等車両」に乗ることができれば、一人旅の女性や小さな子供をつれたご婦人など、ずいぶん楽になるだろうな、と思うのですが、台湾国鉄ではそういう考えには至っていないようです。
そんな事情をよそに、台湾高速鉄道と呼ばれる新幹線には商務車(ビジネスクラス)と呼ばれる日本のグリーン車に匹敵する車両が連結されていて、驚いたことに、赤ちゃんを連れた家族連れや一人旅の女性で満席状態になっています。
台湾高速鉄道(新幹線)は国鉄(在来線)とは別会社になっているのですが、国鉄が開拓する必要がないと考えている需要が、実は台湾国民にも存在していることが証明されたわけですが、今の世の中、「人に上下をつける等級制はけしからん。」という議論よりも、個人の選択の時代であるといえるのだということを国民の国であるはずの台湾でも感じた次第です。
時々、違った場所に来ると、いろいろなことを考える自分がいるのに気づくものですね。

[:up:] 台湾国鉄の特急「自強号」。 これだけ長い編成にもかかわらず、全車普通車で運転されています。

[:up:] 台湾高速鉄道(新幹線)のビジネスクラスの切符。東京-豊橋間ほどの距離で日本円で5800円ぐらいの金額にもかかわらず、ビジネスクラスから埋まっていく。

ちなみに天気予報では2つの台風が来ていることを各チャンネルとも報じています。日本のニュースがわかりませんが、皆様どうぞお気をつけください。