北海道鉄道観光資源研究会 パネル展

11月15日の北海道新聞に掲載された私の記事が、北海道新聞の電子版に掲載されています。

 

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リンクが切れて読めない方のために記事も貼っておきます。

 

 

北海道新聞の記者の方が、わざわざいすみ鉄道までいらして取材していただきました。

JR北海道の上下分離は、下の部分をJRがやればよいというのが私の論として紹介されていますが、上下分離というのは決して線路の維持管理をなどのいわゆる下の部分に、地元の行政がお金を出すということが正論ということではなくて、海外へ行けば国が下をやったり県が下をやったりしているところはいくらでもあります。

いすみ鉄道沿線のように、地元の自治体がお金を出してくれているところは、地域の人たちが鉄道を必要に感じてくれているからこそで、国鉄が廃止にするといった路線を、地域の人たちが引き受けてきた経緯があります。

だから、いすみ鉄道で私たちが展開しているビジネスも、そういう地域の皆様方が長年支えてきてくれたことに感謝して、鉄道がどうやったら地域に恩恵を与えるかということを考えて、それを基本方針としているわけです。

 

つまり、そういう地域とのかかわりがあってこそ、初めて地元の行政に対して「上下分離の下の部分にお金を出してください。」とお願いできるのであって、お願いするからには、きちんと地域の役に立つというコミットメントをしなければならないのです。

ところが、今回の場合は、「廃止にしますよ。それがいやだったら、応分の負担をしてください。」と来ているわけですから、私はおかしいと異議を唱えているのでありまして、上下分離の本筋からはどうもかけ離れているにもかかわらず、自分たちの都合の良いところだけを利用して、お金を出させようとしているから、私はおかしいと申し上げているのです。

 

ただでさえ、田舎の行政はどんどん財政的に厳しくなってきていて、いすみ鉄道沿線だけでなく、今後、いろいろな鉄道が、上下分離の下の部分を地元の行政に出していただくという今のビジネスモデルを継続することはできなくなるでしょう。

地域の人たちだって、出して行きたいのはやまやまだけど、わかってはいるけど、いつまでも無理ですよ、という状況になって来ているわけで、そういうことを私も身をもって感じているから、例えば観光振興など、ひとつの行政単位で考えるのがふさわしくないような政策に関しては、もっと広域で、例えば県がしっかりやっていくとか、インバウンド4000万人などと国が旗印を掲げるのであれば、そういうことはいきなり地元の役場に任せるのではなくて、鉄道が観光振興になるのであれば、国だってちゃんと運営にかかわるべきだと私は考えています。

まして、北海道の場合は経済的に重要な路線が多くあるのですから、北海道庁はもちろんですが、国だって真剣に考えなければならないわけで、そういう大切な部分をすっ飛ばして、弱体化して苦しんでいる地元の行政に対して、あたかも当然のように「お金を出してください。」と言っているところに、この国の大きなまやかしがあるわけです。

 

さて、そういう大いなる大人の事情はさておいて、大いなる大地には、大いなる夢を持った人々もたくさんいて、鉄道というものは、人々の夢を乗せて運ぶという使命もありますから、それがすなわち鉄道が持つ観光資源としての一面なのでありますが、そういう人たちが、こんな企画をしているということで、今夜は宣伝させていただきたいと思います。

 

 

「北海道の鉄道、過去、現在、未来」

 

未来というのが良いですね。

 

どういう形の未来になるかは、人任せではなく、自分たちで作っていくんです。

 

今回のこのパネル展で私なりに注目しているのはその開催場所。

 

北海道庁 赤れんが庁舎

 

道庁の赤れんが庁舎って例のガイドブックに出てくるところだと思いますが、ということは、この鉄道の未来を見つめる写真展には北海道庁が絡んでいるということだと思います。

ふつうなら百貨店の催事場だったりするのでしょうけど、道庁舎でやるのですから。

 

やはり、大きな目で全体を見られるところが、きちんと全体を見てやらなければダメなわけで、少なくとも北海道庁そういうことをある程度分かっているのではないか。

 

そんなことを感じることができる1枚のポスターなのです。

 

 

いや、正直行きたいです。

でも当日は真岡鉄道でのイベントに参加するため残念ながら行けないんです。

写真展の内容につきましては後日仲間から聞くとして、お近くの方も、お近くでない方も、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

私は、長大編成の石炭列車を引っ張っていた蒸気機関車の時代や、札幌から各方面に向かっていた夜行列車の時代を懐かしく思い出します。それは私にとっての「過去」ですが、これは懐かしくも楽しい、そしてちょっぴり切ない「過去」であります。

若い時代にそういう過去を経験させていただいた人間としては、今の時代の若者たちにも、鉄道を通じていろいろな経験をしてもらって、将来、「懐かしくも楽しい、そしてちょっぴり切ない思い出」を持った大人になってもらいたいなあ。

そうすれば、鉄道というものが将来へ続いていくのです。

そう思って、いすみ鉄道の運営に携わっています。

 

この写真展も、同じような思いを持った仲間たちが、将来へ続けるために企画運営してくれているものですから、北海道の鉄道の未来は明るいと、私は考えています。

 

皆様、ぜひお出かけくださいませ。