地方創生の障害

本日は朝の5時台にこのブログを書いております。

朝考えることと夜考えることは違いますね。

朝の新鮮な頭脳で考えた地方創生の障害です。

 

昨今言われていますように、地方創生には様々な問題点があります。

その多くは、田舎の人たちの認識のズレや、できない理由を一生懸命探して、できるだけ現状維持を決め込むといった態度などから来るものだと言われていますが、私は、そういう個々のことは置いといたとしても、世の中の仕組みを変える必要があることは事実ですから、制度的な見直しを行うことによって、個々の問題が浮上しないようにすることができるのではないかと考えております。

 

その私が考える最大の制度上の問題というのが、既得権益の保護だと思います。

つまり、最初に始めた人、最初からそこにいる人に権利が集中してしまい、新しく参入できない仕組みが合法化されているということです。

 

一番わかりやすい例として、このところ話題になっているJRの特急列車の車内販売を例に挙げてみましょう。

 

JR北海道が道内を走る特急列車から車内販売をなくしてしまいましたが、札幌から釧路まで4時間。札幌から函館までも4時間弱。札幌から稚内へは5時間かかるのですが、それも延々と広大な原野の中を走りますので途中駅での食料の調達も難しい現状があります。

そういう特急列車から車内販売を廃止してしまえば、当然お客様にとっては大きな不便を強いることになります。

発車の前に駅のコンビニや売店で各自食料を調達すれば済むことだとJRは説明していますが、逆に言えば、利用者がそこまで対策を立てなければJRの特急列車は乗るべきでないということであり、会社はお客様に自己責任としての対応を求めてくるということになります。

車内販売をやめるという最大の理由は「売れないから」ということでありますが、「なぜ、売れないか」というのは、特急列車そのものの利用者が減っていることが大きな原因です。

そういう原因があるところへ、「売れないから車内販売をやめます。」という対応をするということは、お客様にご不便を強いることになりますから、さらに利用者が減るということは誰が考えても目に見えているのですが、そんなことは百も承知の上で、経営改革という名のもとに、JR北海道がそういうことをやらなければならないということは、その経営改革を指導しているさらに上の組織の考え方でありますから、私はそういう組織に任せておいたら、絶対にJR北海道の改革はうまく行くわけないと思っているのであります。

 

さて、では、現実問題として、お客様を主役に考えた場合、車内販売はどうしたらよいかというと、JR北海道がやらなければ、誰か別の事業者がやればよいだけの話であります。地域の事業者でもよいし、北海道ならセイコーマートなどのコンビニチェーンが担当しても良いでしょう。そういう民間事業者が車内販売をやれば、お客様は安心して利用できますから、JR北海道にとってもプラスになるはずです。ところが、そういう仕組みにはなっていないんですねえ。

なぜならば、鉄道敷地内での営業権はJRが持っているから、やたらに他の事業者や個人が参入することができないからなんです。

これが既得権益であると私は考えています。

だから、JRは、「俺たちはやらないけれど、お前たちにはやらせないよ。」ということを言うのです。

 

私は、こういう考えがまかり通るところにこの国の衰退の原因がある。特に地方の衰退の原因があると考えています。

なぜなら、田舎へ行けばいくほど人口の減少が激しいですから、今までのやり方では商売にならない。でも、今までやっている人たちがそこで権利を主張している以上、新規参入が阻まれますから、衰退していくという構造があるからです。

 

例えば、港町の場合は、漁師さんたちがいます。

彼らは漁業権を持っています。だから沖合に船を出して魚を獲ることが許されています。

でも、昨今は後継者不足で、どんどん廃業していきます。そして漁港が廃れていきます。

ところが、こういうところに外部の人間が新規参入できないんです。

なぜなら、ひと言でいえば漁師の息子以外には簡単に漁師にはなれない構造があるからです。

農村の場合もそうですね。

高齢化で農家を継ぐ人がいないから、田畑がどんどん荒れていきます。

そして農村そのものが廃れていきます。

では、誰か農家をやる人がいませんか?と、広く世間に問えばよいと思うのですが、それができない構造がある。農家の息子以外には農業を継ぐことができないからなんです。

世の中には、漁師をやってみたい。農業をやってみたいという若者がたくさんいます。でも、そういう若者が入ってこられる仕組みがないんです。

ある漁港では、アワビやサザエを獲る海女さんたちが加盟する組合があります。

ところがその組合は高齢化が進み、実際に海に潜ってアワビやサザエを獲る海女さんがいなくなりました。

そこへ東京から若い女性がやって来て、「私、ここで海女になりたいんです。」と申し出がありました。

皆さんならどう思います?

その地域にとって、願ってもない話であり、その女性は救世主のようだと考えるでしょう。

ところが、組合の人たちはこう言ったんです。

 

「あなたが5年間ここに住民登録をして、5年経過したらこの町の人間として認めてあげる。そうしたら組合加盟も考えます。」

 

ふつうは、自分たちのだれもがやらないのであれば、その時点で組合組織も、その組合が管理する権利も消滅するというのが世の中一般の考え方ですが、海女さん組合の人たちは権利を主張したのです。

 

農業をやりたいという若者が農村にやって来て、もう耕作していない田畑を、「私にやらせてください。」と言っても、簡単にはできない。その農家のおじさん、おばさんと養子縁組でもしない限りは、農業を始めることができない仕組みがあって、今、そういう仕組みがあるところのほとんどすべてが、廃れていく傾向にあるんです。

漁師さんや農家の人たちが、必死になって後継者を探して養成しない限りは、権利そのものを失うような仕組み。権利と義務を一体化させる仕組みがなければ、「俺たちはやらないけれど、よそ者にはやらせないよ。」がまかり通ってしまうのです。

 

商店街だって同じですよ。

もう商売が成り立たなくなっているから、どんどん廃業していく。

つまりは田舎の商店街がシャッター通りになっているんです。

だったら、「誰かここで商売をやる人はいませんか?」と声をかけて、都会からやってくる人たちに場所を開放して、活性化する以外に方法がないのですが、実はシャッターは閉まっているけど、中には人が住んでいるんです。

だから、「商売はやめたけど、俺たちは住んでいるんだ。」と言って、外から誰も入ってくることができないんです。

商店街というのは、商売をやるところですから、その商売を御仕舞いにするのであれば、例えば固定資産税を宅地並み課税するとかして、商売をやらなければ住んでいられないようにすればよいのですが、商売をやろうがやるまいが、ここは俺の土地だから、とか、ずっと住んでいるからという理由で、居座ることが許されている。これが、いわゆる既得権益であって、そういう部分を制度改正しないと、今いる人たちが将来の芽を摘んでいるという構造がまかり通ってしまうのです。

 

自分たちの権利を主張するのであれば、きちんと義務を果たしなさい。さもなければ権利を失いますよ。

 

こういう、中学生でも理解できるようなことを、田舎の人たちは理解しようとしない。

いや、理解しなくても、先にその場所で何かを始めた人たちの権利が永遠に保護される。

そういうことをこれからも認めていると、田舎ばかりじゃなくて、日本そのものが廃れていく。

私はそう考えています。

 

JRが車内販売を行う権利があると主張するなら、その権利をきちんと行使して車内販売を行いなさい。

さもなければ権利を放棄して他の事業者に参入させなさい。

そんなの当り前のことではないでしょうか。

なぜなら、すべてはお客様のためですから。

 

漁業だって、農業だって、自分たちでその仕事や組織を維持していかれないとわかった瞬間に権利は他へ移行されるべきだと私は考えます。だって、やりたいと思っている若者はたくさんいるはずですから。

商店街だって同じです。

自分たちで「もうできない」というのであれば、やりたいという人を募って新規参入させなければならないのです。

自分たちではやりませんが、ここは私たちの場所ですから、新規参入は認めませんとか、

もしかしたら今後使うかもしれないから明け渡しません、などといって、できもしない、やりもしないことを正当化するような地域には、国の税金など一円たりとも投入する必要はありません。

田舎の人たちは、ふたこと目には「私たちの税金を使って・・・」と言われますが、自主財源率が低い地域では、投入されている税金は田舎の人たちが払った税金ではなくて、では、どこの税金かというと、都会の人や企業が払っている税金が投入されているのです。そして、田舎にとっての大切なお客様というのは、そういう都会の人や、都会の企業に勤めている人たちがお客様なのです。

 

だから、すべてはお客様のために、日本の田舎を開放する制度改正が必要だと私は考えるのです。

 

自分たちの権利を主張するのであれば、きちんとその事業をやりなさい。

それができないのであれば、他からの新規参入を認めなさい。

どちらもできないというのは、田舎の人間のエゴでありますから、そういう人たちが舵取りをしている地域は、この際ですから、消えてなくなっても良いと思います。

なぜなら、都会の皆様方が払ってくれた貴重な税金の無駄遣いになりますから。

 

さあ、今日は大原漁港の港の朝市の日。

これは単なる一発イベントではなくて、定期的に開催されている田舎に経済を呼び込むシステムです。

大原はここ数年で見違えるように活性化しましたね。

今、霞が関でも、いすみ市大原の活性化は注目されていますから、私は素晴らしい皆さんが住んでいる町だと思いますし、この漁港は守られるべきだと考えています。

 

 

ところで、全く別の話ですが、どなたか、国吉駅で商売をやる人はいませんか?

 

国吉駅で商売をやる上でのお約束は、土休日に必ずお店を開くことと、ボランティアに協力すること。

自分たちの都合でやったりやらなかったりの方は資格ありません。

なぜなら、商売の中心にいるのは事業者ではなくて、お客様ですから。

 

都会で働いている人にとっては願ってもないチャンスでしょうし、そういう人がいらしていただけるのであれば、田舎にとっても願ってもないチャンスです。

 

ご希望の方は、Facebookで私にご連絡ください。