北海道の旬。

今、北海道にどうしたら観光列車を走らせることができるかという会議が開かれていて、私もその委員に選ばれて参加させていただいております。

 

その会議の中で、北海道の旬はいつかという話になりました。

 

当然、夏ですよね。

初夏から秋口までが北海道観光の旬であり、スキーなどのウインタースポーツを除いたら冬は旬ではありません。

でも、これって日本人の考え方で、外国人観光客にとって見たら、北海道観光の旬は冬なんです。

ちゃんとデータに現れているのですから間違いありません。

どうしてか?

それは、雪を見ることが外国人が北海道を訪れる大きな理由だからです。

 

台湾人の友人も「やっぱり雪ですよ。」と皆さん口をそろえて言います。

そう考えると、日本人と外国人とでは旬が違うわけですから、つまりピークが重ならない。

ピークが分散できて、シーズンオフと思われていた冬の集客ができるのですから、北海道にとって見たら、こんなに良いことはないわけです。

 

その北海道の観光列車会議で出されたデータで驚いたものがあるんです。

 

北海道に初めて来た人たちの旅行日数です。

一番多いのが5泊6日だそうです。

5泊6日とはヨーロッパに行かれる日程だと思いますが、初めて北海道に行くのだから、どうせ行くんだからとたっぷりと時間をかけるのでしょう。その気持ちはわかります。

でも、問題があります。それは北海道って広いんですよ。

 

同じ会議で、鉄道写真家の矢野直美さんが同席されていらっしゃいます。

彼女は北海道人ですが、時として旅の相談を受けるようです。

その相談というのは、

「2泊3日で函館と知床と札幌に行きたいんですけど。」というような内容らしい。

北海道の広さをわかっていないんですね。

 

皆さん、函館から根室まで何キロあると思いますか?

700km以上あるんです。

これって、東京から岡山へ行く距離に匹敵します。

函館から稚内も網走もほぼ同じ距離。

それだけ広い北海道ですが、新幹線は道南の一部だけですから鉄道での移動は全部在来線です。

東京から岡山までの距離を在来線の特急で行って、次の日には在来線で下関まで行って、その次の日は米子まで来て、そして大阪へ行く。

5泊6日を全部鉄道で回るとしたら、つまりはそういうことなんです。

景色はどこまで行っても大平原。

最初のうちは感動しますが、そのうち変化の無さに飽きが来ます。

食事は、こちらでは高級食材かもしれませんが、蟹、蝦、ホタテ、魚類を中心としたバイキングばかり。

こういう旅行を5泊6日でやったとしたら、北海道旅行が初めての人はどういう気持ちになるでしょうか?

 

その証拠が、初めて北海道を訪れた人のリピート率に現れています。

 

初めて北海道へ行った人、つまり5泊6日で、例えですが、在来線で東京から岡山へ行って、次の日広島、下関とまわり、その次の日、萩から津和野、そして出雲で泊まって、鳥取、兵庫県北部をまわって、大阪に泊まって、飛行機で帰ってくるようなツアーをした人たちのリピート率は10パーセント代なんですよ。

つまり10人中8~9人は、もう二度と北海道へ行きたくないという数字なのです。

 

そりゃあそうですよね。

北海道の特急列車は速いですよ。

がんばって一生懸命走っています。

でも、東京から函館まで新幹線で4時間かかって到着した観光客としては、函館から札幌まで、さらに4時間かかるとは思いませんよ。

せいぜい1時間か1時間半で札幌へ着くと思っている。

でも、延々4時間特急列車に乗って、その特急列車は速いだけで、ただ走っているだけ。

エンターテイメントの要素はまるでないわけですから、よほど鉄道好きでもない限り、北海道旅行というのは移動ばかりで、苦痛の連続になるのです。

 

これが北海道旅行の実情です。

 

私などは中学生のころから北海道を訪れていますから、その広さがよくわかっています。

 

リュックサックを背負って周遊券で北海道を旅行する場合、たいてい10日や2週間の行程になります。

函館から札幌までは夜行列車で、札幌から釧路や稚内、網走へ行くのも夜行列車でしたから、つまりは函館から釧路や網走まで2泊かかる経験をしている。硬い座席に一晩中揺られて、北海道の広さを身を持って体験しているから、北海道はそういう所だとわかっているわけです。

そのうえで、やっぱり北海道は良いなあと思っています。

だから、今、私が北海道旅行するのは東京からのシャトル。

ある時は函館2泊であり、またある時は釧路2泊であったり。

東京から直接お目当ての土地へ行くのです。

そういう旅行スタイルで北海道へ何度も何度も訪れています。

 

年に2回としても40年間で80回ですから、たぶん100回以上北海道へ行っています。

 

時には1泊で北海道へ行くこともあります。

そういう私を見て、知人は「もったいないですねえ、せっかく北海道へ行くのに。」と言いますが、そうじゃないということなんです。

つまり、どういうことかというと、北海道というのは、できるだけ学生時代や若い時に経験しておくべきところで、何日もかけて鉄道やバスで移動しながら、広さを実感する必要があるわけです。

そして、そういう人たちが、社会人になってから、気に入った場所を何度もシャトルで訪れる。

それが正しい北海道旅行の仕方だと私は考えています。

 

ということは、若いころに北海道の広さを身をもって体験しておくことがとても大切になるんです。

これも、ある意味で北海道旅行の旬である。

ということになると、私は考えておりますが、皆様はいかがお考えでしょうか?

 

▲胆振線喜茂別。 1976年8月。最高の路線でしたが、すでに廃止されて30年が経過しています。

 

▲勇払原野を走る室蘭本線225列車。1976年8月。

 

ただ汽車を乗り継ぐだけの当てもない北海道道旅行でしたが、このころ、体で覚えたのが北海道の広さです。

 

やはり、旅には旬というものがあるということなのです。