「雪月花」の読み方

このあいだ私の秘書役の池田さんがネットで「せつげつかじゃなくて、せつげっかですよ。」と投稿していましたが、ちょっと気になりますね。

よく皆様方からもお問い合わせをいただきます。

「雪月花はせつげつかですか? それともせつげっかですか?」って。

私としてはどちらでもよいと思っていますけど、そう言っちゃ元も子もありませんから本日はその解説をば。

雪(せつ)月(げつ)花(か)
つまり、「せつげつか」ですよね。
でも、日本語って、そんな簡単な言葉ではありません。

学校は?
学(がく)校(こう)ですから「がくこう」ですか?
楽器は?
楽(がく)器(き)ですから、「がくき」ですか?
列車は?
列(れつ)と車(しゃ)ですから、「れつしゃ」ですか?
一方は?
一(いち)と方(ほう)ですから、「いちほう」ですか?

学校はがくこうで間違いではありませんが、日本語としては「がっこう」ですね。
楽器は「がっき」
列車は「れっしゃ」
一方は「いっぽう」

そう考えると雪月花は「せつげっか」ですね。

こういう話しことばになった時に「っ」に変化することを促音便(そくおんびん)と言います。
それこそ子供の頃学校で習いましたよね。

音便にはいくつかあって、例えば撥音便(はつおんびん)は「ん」に変わる音。

「噛む」→「噛みて」→「噛んで」
「飛ぶ」→「飛びて」→「飛んで」
などです。

イ音便というのもあります。

「聞く」→「聞きて」→「聞いて」
「嗅ぐ」→「嗅ぎて」→「嗅いで」
などですね。

このように話し言葉になるときに変化する特徴の一つが音便で、その話し言葉が明治以降そのまま書き言葉になってきましたから、今は書き言葉でも「聞きて」とは書かず、「聞いて」となっていますね。

で、漢字とひらがなの組み合わせならばわかりやすいですが、漢字だけだとなんて読むのでしょうか? と疑問に思われるのが「雪月花」なのでしょう。

ゆっくりと読むときには「せつげつか」で間違いではありません。
でも、語尾の変化などを伴った美しい日本語ということになると「せつげっか」が耳障りが良い言葉になると思います。

だから、どちらでも間違いではありません。

ただし、会社としてどちらかに統一しろという考え方もあると思いますし、商品名としては読み方が「どちらでもよい」というわけにはいかないでしょう。
だとすると、えちごトキめき鉄道としては雪月花は「せつげっか」となります。
「つ」じゃなくて「っ」。
小さい方。
促音便の「せつげっか」という見解になります。

車体にもちゃんとそう書いてありますよ。

SETSUGEKKAって

今度よく見てくださいね。

https://reservation.echigo-tokimeki.co.jp/reserve/resort

えちごトキめき鉄道のご予約サイトでも、言語選択ボックスを「English」にすると、「SETSUGEKKA」と出てきます。

美しい日本語としては音便を尊重するべきだと私は思います。
そう考えると、美しい景色を見ながらおいしいお料理をいただく観光列車としては、ネーミングも美しくなければなりませんし、その読み方も美しくなければならないのではないかと私は思います。

ちなみに雪月花の月花の「げ」は鼻濁音ですからね。
「げっか」ではなくてちいさな「ん」を入れて、「nげっか」と読んでいただくと、さらに風流さが増すというものです。

国語の先生、間違っていたらごめんなさい。
何しろ50年近く前に習ったことですから。

今日から皆さん、「せつげっか」でお願いいたします。