涙腺ゆるむお年頃

先日、桂小金治(かつらこきんじ)さんがお亡くなりになりました。
落語界ご出身で、映画俳優として、司会者として活躍された小金治さんですが、もう90歳近かったんですね。
私たちの世代は小金治さんというと1970年代の人気テレビ番組「それは秘密です。」で司会をされていた姿が思い浮かびます。
当時の日本では40代以上の人たちは皆戦争経験者でしたが、戦争で生き別れになった兄弟や親子をテレビ局が探し出してきて、番組の中で再会させる企画で、探していた人が見つかって抱き合って涙を流す出演者の姿を見て、司会の小金治さんももらい泣きをして、それを見ている視聴者も皆いっしょに泣く番組でした。
私の家でも母がこの番組が大好きで、放送がある日は夕食の支度などの家事も時間までに終わらせて、テレビの前に座って始まるのを待っていました。
もちろん母も毎回番組を見ながら涙を流していて、番組が始まって、桂小金治さんが画面に登場しただけで、もうすでにウルウル状態で、ハンカチを目頭に当てながら見ている姿に、私と妹は、「もう泣いてるよ。」「こういう番組は泣かせるように作っているんだから、引っかかることないよ。」などと母をからかっていたことを思い出します。
今思い出すと、番組ですっかりもらい泣きをしていた当時の母はまだ40代半ばぐらいで、今の私の方がはるかに年上になってしまっていますが、その母の血を受け継いでいるからでしょうか、最近では映画やテレビドラマなどを見ていると、ついついもらい泣きをしてしまいそうになります。
考えてみれば、映画やテレビはちゃんと泣いてもらうポイント、笑ってもらうポイントを作っているわけで、子供のころは、その仕組みにまんまとはまっている母を見ていて、「馬鹿だねえ。」なんてからかっていましたが、最近、自分がそうなっているのに気付いてみると、「素直にはまってみるのも面白いね。」と感じるようになりました。
そして自分自身で興味深いと思うのは、本当ならば笑うポイントだったり、泣くポイントでもないところで涙腺がゆるむ事もしばしばあることで、人間というのは40~50を過ぎるころになると、自然に涙腺がゆるむようになっているのかもしれないと思うようになりました。
そんな私が最近講演で心がけていることは、笑いのツボと泣くツボをシナリオの中に用意しておくということ。
講演というのはだいたい90分なんですが、私は自分だったら90分も人の話を聞くのは耐えられませんし、大学の授業だって、今思い出しても眠気との戦いで苦痛の連続でしたから、私の話を聞きに来ていただくお客様方にできるだけ退屈させないように、眠くならないように心掛けて、笑いのツボや泣きのツボを各所に配置しているのです。
それが功を奏してか、最近では講演のご依頼をたくさんいただいて、日本全国にいすみ鉄道の名を轟かせることも仕事になっていますが、実は、講演のプロの友人に「自分の講演はこのスタイルで良いのか?」と尋ねてみたところ、「講演というのは学校の授業じゃないから、話の中に2つぐらい印象に残るポイントがあればそれで良いんですよ。」ということでしたので、まあ、学者や役人じゃありませんから、泣いたり笑ったりする話でも良いかなあと思っています。
ローカル線は昭和の時代から人々の笑顔や別れの涙を乗せて走っているのですからね。
50も半ばに差し掛かると、どうやら涙腺ゆるむお年頃のようですので皆様よろしくお願いいたします。
※講演のお申し込みについて
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スケジュールが許す限り対応させていただきます。
ただし、一般講師よりもお値段は高めに設定させていただいておりますので、ご予算をたっぷりご用意の上お問い合わせください。(笑)
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