日帰り観光地の宿命

首都圏に住む皆様方にとっては、いすみ鉄道は日帰り観光地です。
9割以上の方が、日帰りでいらっしゃると思います。
秋田の由利高原鉄道の春田社長さんが私の顔を見るたびに、
「いすみ鉄道はいいよなあ、うちには日帰りの観光客なんていないからなあ。」とおっしゃいます。
春田社長さんも私と同じ池袋育ちですから、何とか東京のお客様を呼び寄せようと、お互いに気持ちがよくわかるのですが、確かに秋田では日帰り観光客の方などいらっしゃらないでしょう。
だから、いすみ鉄道にいらっしゃるお客様のうち、宿泊をともなう旅行をされる10パーセントの方々が、秋田のお客様の最大数ということになります。
ということは、もともとのビジネスのパイが限られてしまうということなのです。
ところが、秋田の人がうらやましがる日帰り観光地の房総半島にも大きな悩みがあります。
それは、「日帰り観光客は天気が悪いと来ない。」 ということです。
日帰り観光地というのは予約が要りませんから、朝起きて天気が良かったら行くし、天気が悪ければ行かない。
これが日帰り観光地の宿命です。
ところが、秋田もそうですが、北海道や沖縄など、宿泊を伴う観光地は予約をしているから必ず行く。
飛行機や新幹線を予約していれば、キャンセルチャージがもったいないから、台風であろうが大雪であろうが、お客様の心理としては、「とりあえず行ってみるか。」なのです。
房総半島で観光の商売をする点で一番難しいのが、この、「天気が悪いとお客様が来ない。」ということ。
特に飲食店関係の商売をされている場合は、食材を仕入れてお客様を待っているのに、雨が降ったらその仕入れた食材が無駄になってしまう可能性があるのです。
では、無駄にしないためにはどうしたらよいか。
それは、片手間で商売をやること。
つまり、房総半島でいえば、漁師さんや漁業関係者が民宿や食堂をやれば、仕入れ原価が引き下げられるし、最悪、売れ残っても、自分たちで加工したりすることもできるわけです。
それが原因かどうかはわかりませんが、房総半島は私が子供だった40~50年前と比べてみても、発展したという印象はありませんし、今でも民宿や漁師がやっている小さな食堂がたくさんあるのだと思います。
かつて、右肩上がりの時代背景を利用して伊豆や箱根が日帰り観光地から宿泊観光地に脱皮したにもかかわらず、房総半島はそれができなかった。
だから、箱根や伊豆と距離はほとんど変わらないけれど、房総半島は今でも日帰り観光地なわけです。
ところが、私は経営者ですから、雨が降ったらお客さんは来ないけれど、給料は同じように払わなければならないし、経費は掛かるわけですから、何とかしなければならない。
そこで考え出したのが、いすみ鉄道の「雨の日スペシャル」です。
そう、雨が降ったら、いつもと違うサービスがありますよ。というスペシャルサービス。
ヘッドマークがいつもと違っていたり、本来ならつけて走るヘッドマークが「無し」で走るかもしれませんし、車内サービスがいつもと違うかもしれません。
何か、いつもと違ったサービスがある。だから雨が降ったらいらっしゃいということです。
これは、何も私が考え出した特別なサービスではなく、スーパーマーケットなどではずっと以前から行われている、例えば、「雨の日スタンプ2倍セール」などをヒントにしたサービスですが、他業種のビジネススタイルを自分の会社に取り入れるというのが、鉄道会社は一番苦手とするところですので、いすみ鉄道が始めた「雨の日スペシャル」が、意外とご好評をいただいているのです。
皆さん、雨が降ったらいすみ鉄道へ行こう! ですよ。


大原の造り酒屋、木戸泉さんで行われた「蔵開き」。
風が強い中、たくさんの皆様でにぎわっていました。
いすみ鉄道の急行列車の車内で配布した「おちょこプレゼント」の引換券も好評でした。あまりにも好評だったため、私も総務課の田中さんももらうことができませんでした。
あとで一杯やろうと思ってたのに・・・
いすみ鉄道では日曜日の急行列車の車内で、私が撮影した写真で作ったパシナ倶楽部のポストカードをプレゼント。
天気が悪い中、いらしていただいたお客様への感謝の気持ちです。

このポストカードは485系ボンネットの「はと」と「白鳥」の並びです。
2000年8月にJR西日本が新大阪-博多間で往年の特急「はと」をリバイバル運転したときに京都の向日町で撮った貴重な1枚です。
まだ数はありますので、今度雨が降ったらまた配ります。
どうしてもほしい方は、昨日のブログでご案内したパシナ倶楽部の通販でDVDをご購入ください。
ゴールデンウィークまでの期間中はもれなくプレゼントしています。(宣伝!)
ちなみに土曜日は「夷隅」、日曜日は「そと房」のヘッドマークをキハ28にも付けましたが、「夷隅」は初公開、「そと房」はヘッドマークが新しくなったのにお気づきになられましたでしょうか?