大多喜町に訪れたビッグチャンス

千葉県の房総半島は温暖な気候で、作物も良く採れ、昔から皆のんびりと暮らしています。
皆さん、ガツガツしたところもなく、お互いに協力し合って、穏やかに暮らしていますし、人間ものんびりとしています。
だから、いすみ鉄道沿線の人たちも皆さんまじめで律義な方々ばかりです。
例えば大多喜町の人たちにしても、いすみ鉄道を応援し、支援していくことが自分たちの務めだと、20年以上も前から頑張ってくれています。
大多喜町はいすみ鉄道と共にある。
皆さん私の顔を見るたびに、そうおっしゃってくれます。
本当にありがたいことです。
でも、ふと気が付くと、大多喜町のすぐ近くまで高速道路が伸びてきています。
私は、これは大多喜町にとって100年に一度あるかないかのビッグチャンスだと思います。
高速道路なんてお願いしたって来てくれるものではありません。
それが、すぐそこまで来る。
そして、その高速道路を利用すれば、大多喜町から羽田空港まで45分で行かれるようになるのです。
羽田から45分といえば、渋滞していれば渋谷にも新宿にも行きませんから、同じ45分で大多喜まで来られるということは、時間地図が完全に書き換えられるわけです。
私の頭の中の地図は、基本的には鉄道路線図ですから、東京から大多喜に来ようと思ったら、
東京―大網―茂原―上総一宮―大原(いすみ鉄道乗換)―大多喜
と、このようになっていて、大多喜が一番遠いところ。
大原での乗り換えの手間と時間的損失を考えると、おそらく大多喜は安房鴨川よりも遠いところに感じるわけです。
その、遠い遠い大多喜が、実は茂原よりも東京から近くなる。
4月27日から、大多喜は茂原よりも大原よりも鴨川よりも東京に近くなるのですから、ビッグチャンスなのです。
でも、大多喜の皆さんは律義でまじめな方々ばかりですから、自分たちはいすみ鉄道を支援しているんだから、「高速道路ウエルカム」と言ってはいけないと、たぶん心の中で思っている。
だから、し~んとしていたのです。
去年の夏ごろまで。
私は、そういう雰囲気を感じたので、大多喜町の飯島町長と、平林商工会長と、企画課長に、
「高速道路が来ることは町の発展にとってとても良いことです。私は、いすみ鉄道を預かる身として、高速道路が来ることを追い風にして、さらなるビジネスチャンスをつかもうと思っています。」
と去年の秋に宣言しました。
今までの常識では、高速道路が近くにやってくると鉄道、特にローカル線は致命的な打撃を受けるということが歴史からも証明されているわけですが、私はそんなことを気にするタイプではありません。
今までと違う答えを求めるのであれば、今までと違う方法を取らなければならないということが私の常識ですから、「高速道路ウエルカム」なわけですし、公募社長に応募した時点から高速道路を追い風にしようと考えていました。
すると、大多喜町長も商工会長も企画課長も、皆さん私の顔を見て、「本当にいすみ鉄道は大丈夫なのか?」と聞きますから、私は「大丈夫です! それよりも高速道路開通の気運をもっと盛り上げましょう。」と答えました。
皆さん方はニッコリ笑って、「じゃあ、そうしよう。」ということで、いすみ鉄道の本社がある大多喜駅前の大手門に
「祝、圏央道開通!」という横断幕が張られることになりました。

こういうことを気にされる方は気にされるのでしょうね。
「いすみ鉄道がせっかく立ち直ってきたのに高速道路を歓迎するとはけしからん!」
という人も出てくるかもしれませんが、これは私が進言したことなのです。
世の中には流れというものがあって、高速道路が町のすぐ近くに来るということは、とてもありがたいチャンスですから、私はその流れを利用して、いすみ鉄道をさらに発展させようとビジネスプランを考えるのが、一番自然でスムーズな展開なのです。

さてさて、本日の大多喜駅ではNHKのスタッフが皆さんいらしてロケーションの打ち合わせです。
ここにカメラを置いて、ここに女優さんを立たせて・・・
そう、千葉局開局70周年記念ドラマの撮影があと2週間ほどで始まります。
これも大多喜町にとっては願ってもないビッグチャンス。
NHKが大多喜でドラマを撮るんですよ。
大河ドラマのプロデューサーも来てるんですよ。
紫の旗を町のあちらこちらに立てるだけ立てて、あとは何もしないで、「社長、よろしく頼むよ。」では、チャンスはいすみ鉄道だけが頂くことになりますからね。
観光協会も、町役場も、全面協力して、NHKに気持ちよくロケを行っていただき、「大多喜の人たちは協力的だなあ。」という印象を持ってもらうことが、次へのステップだと思いませんか。
私の仕事はいすみ鉄道の社長ですが、大多喜町にNHKのドラマのロケ隊をお連れしたのは、町に対しての物凄い貢献だと自負しております。
あとは、皆さんが、この春の2つのチャンスを自分たちのチャンスとして掴み取れるかどうか、というだけなんです。
GOOD LUCK TO ALL OF YOU!