ヨン パー ゴ

先週の21日、新潟県が主催する「並行在来線の利活用と地域活性化セミナー」というのが糸魚川市で行われ、講師として呼んでいただきました。
糸魚川といえばいすみ鉄道で走るキハ52のふるさと。
とってもご縁を感じる場所ですが、住民の方々が多数参加されるとあって、本当は行きたくなかったのです。
なぜなら、「キハ52を返してくれ」 と言われそうだから。
糸魚川は大糸線からキハ52が引退した後は、あれだけ来てくれていた鉄道ファンが来なくなり、地元では、何とか活性化させたいとのお考えですから、「こりゃ、行ったら、返してくれ! って言われそうだなあ。」と半分本気で思っていました。
でも、せっかく行くんだから楽しまなければソンですから、私が選んだ電車はもちろん「北越」。
「はくたか」も良いけど、今どきはやっぱり「ヨンパーゴ」でしょう。

糸魚川に到着して、米田市長さんに大歓迎していただき、えちごトキめき鉄道の嶋津社長さんにもお会いして、いろいろとお話をさせていただきました。
えちごトキめき鉄道は北陸新幹線が開通した後の在来線(信越本線、北陸本線)の妙高高原から直江津を通り、市振までの約100kmを地元が引き受ける路線で、これは大人の事情でそう決まっているわけですが、どういう線路かというと、直流区間と交流区間が混在し、直江津でJR西日本と東日本が接続し、北越急行も乗り入れるという運行上非常にややこしくなることが今から容易に予測できる鉄道です。
で、それをどう考えるかがポイントなわけで、私から見たら、交直区間が存在し、JR西日本と東日本の車両が直接顔を合わせる唯一のポイントで、475も115も今でも元気だし、山線と海線の両方があって、日本海の海の幸や豊富な温泉、世界的にもまれに見る地質学的に貴重なジオパークがあるわけですから、わくわくするのです。
全線電化だけど、とりあえずコストダウンのため気動車化して、その気動車もいすみ鉄道のような「新型だけど昭和のデザイン」にして、そこに観光列車として国鉄型車両が数編成あれば、それだけで十分に日常輸送と観光輸送の両方を賄えるわけです。
「お前さん、そんなに簡単に考えるなよ。」
という人もいるかもしれませんが、しかめっ面をして難しいことを考えても仕方ありませんから、「今あるものを最大限に利用して活性化する。」というのが私のポリシー。
鉄道ファンを代表して嶋津社長さんに「475と485と115を残してくださいよ。あとは私の方でプロデュースしますから。」と伝えました。
実は糸魚川市の米田市長さんが、大糸線で走っていたキハ52のうちの1両をキープしてあるようで、3月にいすみ鉄道に視察にお見えになられたとき、いすみ鉄道のキハ52が大糸線時代そのままの姿で活躍しているのをご覧になられて、糸魚川に保存するキハ52も「いっさい手を加えてはなりません。」と方針を出されているようですし、私の話を聞いた嶋津社長さんも、「それじゃあキハ52をトキめき鉄道で動態保存しましょうか。」とおっしゃってくれそうな雰囲気でもありますので、何となく楽しくなりそうな予感がするわけです。
ローカル線をお荷物と考えるか、宝物と考えるか。
これは地元の皆様方次第なんですよね。
鉄道会社に要望や陳情を出すだけような「古い」考え方では、ローカル線は消えて行ってしまう運命にある。
今の世の中、これだけは確かなようです。
今あるものをどうやって利用するかが地域活性化のカギなのですから。


[:up:] 糸魚川市の米田市長さん。大糸線を愛する熱い気持ちをお持ちの市長さんです。楽しみですよ。

[:up:] かつてキハ52が発着したホームは新幹線工事でリニューアル中。

[:up:] 帰りのヨンパーゴは3000番台でした。