あずさ2号

ちょうど高校生の頃、狩人という兄弟が歌う「あずさ2号」という曲が大ヒットしました。
鉄道をテーマにした歌謡曲は時々あったけれど、この「あずさ2号」の歌詞の中にある「8時ちょうどの、あずさ2号」というフレーズが、妙になじんでというか頭に染みついて、道行く人たちがそれぞれに口ずさんでいた記憶があります。
40代以上の人でしたら、ご記憶の方もいらっしゃることでしょう。

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その特急「あずさ2号」は、私にとってけっこう身近な存在でした。
甲府、松本方面に知り合いがいるわけでもなく、当時は乗ったこともありませんでしたが、とても親しみを感じていました。
それは、いつも日曜日の朝に千駄ヶ谷の英語塾に行く途中に、新宿駅で停まっている姿を見たからです。
池袋から乗った山手線の電車が新宿駅に入る時、何本か向うのホームにボンネット型の特急が停まっていて、それが「あずさ2号」でした。
写真は、その英語塾に行く途中、少し早目に家を出て、新宿駅で途中下車して中央線の特急ホームへ立ち寄って写した1枚です。
撮影したのは確か昭和48年(1973年)の春ごろ。
この当時、実は「あずさ2号」は「8時ちょうど」ではなく、「9時ちょうど」でしたが、これがその証拠写真です。

狩人が歌う「あずさ2号」がヒットしたのはこの写真を撮影した数年後ですが、その時はダイヤが変わっていて「8時ちょうど」に新宿を出る列車でした。
その後、国鉄が列車の呼称のルールを変更して、上り列車は偶数、下り列車は奇数で呼ぶようになりましたから、新宿発の下り「あずさ」は1号の次が3号となり、新宿始発の「あずさ2号」は存在しなくなってしまいました。
この写真からお解りのように、私はまだ小学生のうちから、どこへ行くにもカメラを持って出かける少年だったのです。
今なら、小学生でも携帯やデジカメをふつうに持っていますが、カメラが高級品だった当時、こんなガキはめったにいませんでした。
フィルムはネオパンSSの20枚撮り。
お小遣いが限られていたので、20枚のフィルムを大事に大事に、だいたい2~3カ月かかって撮影し、現像に出していました。
記憶によれば当時の現像料金は1本100円。紙に焼くともったいないので、ネガだけにして、そのネガを見ながらトーンや色調をチェックして、選び抜いた数コマだけをプリントに依頼するようなマセガキだったのです。