新潟へ来てまもなく4年になりますが、最近はだいたいひと月に一度ぐらい千葉へ戻っています。
最初のころは頻繁に帰っていましたが、観光に力を入れるようになって土休日が仕事になることが多く、なかなか家に帰る時間が無くなったのと、末っ子も学校を卒業して子育てが終わったのもあって、なんとなく家に帰らなくなったといいましょうか。
春先などは2か月も帰らなかった不良爺であります。
ということで、7月に家に帰った時に、カミさんに対する罪ほろぼしと言っては何ですが、美術館へ行こうということになりました。

アントニオ・ガウディとサグラダファミリア展です。
アントニオ・ガウディ(スペイン語読みではアントニオ、カタルーニャ語ではアントニ)は今でこそ日本でも有名になりましたが、思い起こせば40年も前に見たこのCMが私をくぎ付けにしました。
同じテレビを見ていたカミさんもこのCM以来ガウディに惹かれたらしく、「いつかはバルセロナへ行ってみたい」と思っていましたが、30代のころその夢がかないました。
今回、久しぶりにそのガウディの名前を聞いたものですから、つまりは罪ほろぼしもかねて、美術館へ行ってみようと思ったのです。
さて、それからひと月が過ぎて、先日千葉の家に帰った時のこと、開口一番、カミさんが「大変なことが起きました。」というのです。
大変なことが起きるといっても、本当の一大事ならばラインでも何でもすぐに知らせてくるはずですから、「なんだろう?」と思ったのですが、カミさんの手には2冊の古いアルバムがありました。
話を聞くと、どうやら私はカミさんを連れてバルセロナに2回行っているらしい。
7月に美術館へ行った時には、2人の共通認識として「バルセロナに一度行った」ということでしたが、それが実は2回行っていたというのです。
海外旅行が好きな3男が久しぶりに戻ってきたときに、バルセロナへ行きたいという話になったそうで、その時に「お父さんと行ったことがある」と言ってアルバムを見せたらしいんです。
そうして写真を見ていると、1度しか行っていないと思っていたバルセロナに実は2度行っていることが分かったというのです。
普通の家庭なら夫婦でヨーロッパへ行くことなどめったにないでしょうから、何度行ったかぐらいは覚えているのでしょうけど、うちのカミさんはそういうありがたい旦那の行為を通り過ぎれば平気で忘れるタイプですし、私は私で海外旅行は何度行ったか分かりませんし、その中には出張も家族旅行も撮影旅行も含まれていますから、いつどこへ行ったかなんてことは古い手帳を引っ張り出してみなければわかりません。
つまり、息子にバルセロナの話をしてアルバムを見るまでは、カミさんとしてはバルセロナへは確かに行ったことはあるけど、2回連れて行ってもらったなどということは忘れていて、私は私で、そんなことはかけらも残っていなかったのです。
「えっ? 2回行ったっけ?」
「はい、これを見てください。」
と言ってアルバムを見せられました。



93年11月11日の日付があります。
30年前ですね。
この写真を撮った時の記憶が全くありません。
でも、電車は紛れもなくバルセロナのメトロです。

この写真を見て思い出しました。
ヒースローの近くで泊まって、翌日のイベリア航空の早朝便でバルセロナに向かいました。
この時に出された機内食のオムレツがとてもおいしかったことを。
「あぁ、確かに行ったな。」
アルバムにはそのオムレツの機内食を食べるカミさんの姿も写っていましたので、一緒に行ったことは間違いありません。

で、もう1冊のアルバムにはこの写真。
同じくバルセロナのメトロの旧型電車で駅はまさしくサグラダ・ファミリア駅です。
日付を見ると94年5月31日。
前回の訪問からわずか半年でもう一度行っていたのです。







その時の写真がこちら。
若いね。
以前にお見せしたことがあるとは思いますが、これは夏の服装で、前回は冬の服装です。
本当に2度行ってたのであります。

前のアルバムにはこんな写真もあって、パリにも行ってるのです。
ていうか、わずか半年で2度もバルセロナへ連れて行ってもらって、おまけにパリも行ってるというのに、カミさんの記憶にないってどういうことよ?
ちなみにアルバムにはカミさんの写真もたくさんあるのですが、うちのカミさんは40年以上も前のグラビアモデルなもので、顔出しNG。
「あの人は今・・・」って話題になるといけませんからね。
(りんごのお姉さんじゃないよ!)
ということで、夫婦そろって若いころ行ったバルセロナがすっかり記憶から抜け落ちているという衝撃の事実が、「大変なことが起きました。」なのであります。
あれだけ頻繁に出かけていたヨーロッパもすっかり行かなくなりましたが、若いころにさんざん行動しておくと達成感があるからでしょうか。全く行きたいと思いません。長距離の飛行機にも乗りたくないですし。
でも、バルセロナだけはもう一度行ってみたいと思いますので、美術館を見た後「68歳までにはもう一度行きましょうね。」とカミさんと約束したのであります。
その年になると、30年経過しなくても、わずか数年で行ったことすら忘れるとは思いますが。
そもそも30年後などありませんしね。
バルセロナには半年で2回行っているという衝撃の事実。
夕日は一瞬輝いて、やがて消えていくのであります。
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