諸物価高騰の折

ニューヨークで2人でハンバーガーを注文したら5000円かかったという話を聞きました。

韓国人の20代後半の夫婦が8000万円のマンションを35年ローンで買ったそうです。

いったいどこの世界の話でしょうか?

と、思うのは私だけ?

ついこの間までは韓国は物価が安くて有名でした。
前の大統領がいきなり最低賃金を上げたので、それに伴って物価が上昇し、とんでもないことになってしまったようですが、マンションの値段が上がっても最低賃金を上げれば買えるということですね。

逆に言うと、最低賃金を上げなければマンションの値段も上がらないということになるのでしょうか。

月給20万円の人が3000万の家を買うのと、月給40万の人が6000万円の家を買うのが、どちらが身分相応かと言えば、エンゲル係数を考えたら月給40万の人なら6000万円のマンションは買えるけど、月給20万円の人に3000万のマンションは厳しいと言われるでしょうけど、物価が上がるということはエンゲル係数も同じような割合を占めるのですから、結局同じということですかね。

エンゲル係数というのは所得に占める食費の割合で、例えば月給20万円の人がひと月10万円食費に使うとすればエンゲル係数は50。
でも、1人が食べる量は大して変わりませんから、月給40万円取って、ちょっと贅沢したとしても食費はせいぜい15万円ぐらいでしょうから、エンゲル係数は37です。
このエンゲル係数というのは数字が大きければ大きいほど貧しいということになりますが、物価が上がって不動産価格が上昇する場合は世の中すべての人が同じ条件になりますから、食費も倍になる。
つまりエンゲル係数は変わりませんから、給料が倍になっても生活は楽にならないのであります。

というようなことを今から30年ぐらい前に私は労働組合の委員としてさんざん議論していたことを思い出します。

当時は消費者物価指数と言って、物価が上がったらそれにスライドして基本給をUPする。これが基本中の基本です。
でも、それでは物価が上がっているわけですからいくら給料が上がっても生活はよくなりません。
ということで、その他にベースアップとしていくら上げるかを要求していました。

例えば5%の物価上昇時に月給20万円の人が、基本給が5%上がったとして21万円。
でも、物価が上がっているのですから同じ生活しかできない。
だから、さらに生活向上分として1万円ベースアップを要求する。
そして22万円になる。

とまあ、こんなことを昭和の時代から皆さんやって来ていたのですが、いつの間にかこの国は物価が上がらない国になってしまいました。
つまり消費者物価指数にスライドして給料が上がるというシステムが機能しなくなってしまったのです。
だから、30年間給料が上がらない。
これが経済成長が止まったということですね。

そうこうしているうちに近隣諸国が経済成長で物価が上がったから給料も上がる。
だから韓国でも20代の夫婦が8000万のマンションを買えるようになったのであります。

でも韓国も食品などもすべて上がっていますから、自分の国では給料が上がったと言っても同じものしか食べられない。贅沢はできないのです。

かつて、タイのバンコクなどは3ドルあれば腹いっぱいになる程ご飯が食べられましたが、今、彼らから見たら日本が3ドルでおなか一杯になる国になっているというのが現実です。(140円×3=420円 牛丼食べられる)

ということは、自分の国では贅沢はできないけれど、日本へ来ればすべてが安く感じることになりますから、こぞって海外から日本へ人がやってくる。

それも、アメリカやヨーロッパの人たちばかりではなく、近隣諸国の人たちが大挙してやってきて、「安いね、安いね。」と言ってお金を使っていく。

日本人の目から見たら高くて手が出ないものでも、彼らから見たら安く感じますから、値段なんか気にしません。

だから、そういう時に安売りをする莫迦はいないのです。

今、日本はがっぽり稼ぐチャンスなのです。

そうしないと、最低賃金が上がった分売り上げが上がりません。
賃金というのは売り上げの中から支払われるものですから、売り上げが上がらないとどうなるかと言うと、商売が成り立たなくなる。

商売が成り立たなくなると、雇用が維持できなくなりますから、鶏が先か卵が先かと言えば、賃金よりも売り上げが先なんですけど、そういうこと国は言ってませんから、売り上げを上げる努力は経営側にかかっているということで、私は雪月花も観光急行も安売りはしないのであります。

もちろん自分自身も安売りはいたしません。

実績を評価していただいて高く買っていただくところへ流れていくというのが、生活を上積みするための古来からの原則でありますから。

そう、こういう時代になると、他へ行って使い物になる人間はどんどん辞めていくというのも世の中の原理原則なのであります。

というようなことを考えた晩でございます。

さて、寝るか。

(写真と本文は関係ございません。)