羽田空港の吉野家

羽田空港に吉野家ができました。

国際線にターミナルには2年ほど前にできましたが、国内線の第一ターミナルです。

空港は何を食べても高いですから、吉野家ができると助かりますよね。

 

ということで行って見ました。

 

ところが、どこにあるか探したんですが、なかなか見つからない。

結局、吉野家があったのは第一ターミナル出発階の一番はずれ。

それも出発ロビーから1フロア上がった階のさらに一番奥です。

 

▲この突き当りの上の階です。

▲これじゃあ、探そうと思って探さないと見つかりません。

その証拠に、1つ下の出発ロビーにはたくさんのお客様がいるにもかかわらず、この階はガランとしています。

▲私は牛丼の並みに豚汁おしんこセット。

これで650円です。

市中で食べる吉野家の牛丼は380円で、ココは420円。

ちょっと高めですね。

一番奥で目立たず、行きづらいところにあるのに他の店より設定価格が高め。

 

どうしてこういうことが起きるのでしょうか?

 

それは、空港ビルの中の家賃が高いので、メインストリートにあたる部分では吉野家は開業できないからだと思います。

だから、空港の中で一番目立たず、人通りが少ないところになったのでしょう。

それでも、家賃だけじゃなくて水道代などの光熱費も割高なはずですから、牛丼1杯あたりの単価で40円、約1割高くして販売してるということなのでしょう。

ちなみに、出発階のチェックインカウンターの正面という一番良いところにあるお店では、一例ですが、カレーうどんが1杯1300円もするのですから驚きです。

 

では、どうして1杯1300円のカレーうどんが商売になるのか?

それは、空港利用者というのは非日常客で、飛行機に乗るのは特別なことと思われているからでしょう。

20~30年ぐらい前までは、飛行機はぜいたくな乗り物で、お金を持っている人たちが利用すると考えられていましたし、観光旅行へ出かけるときは誰しもが財布のひもがゆるくなりますから、高くても商売になる。そういうスタイルの商売だったからです。

 

でも、今の時代、空港は非日常の場所でしょうか?

飛行機で旅行する人たちはお金持ちなのでしょうか?

 

私は思うのですが、ここ20年ほどで世の中ががらりと変わって、飛行機は日常化しましたし、飛行機に乗る人たちは観光客ばかりではなくて、出張のサラリーマンも多いですし、そういう人たちは1300円のカレーうどんをはたして食べるでしょうか?

これには「飛行機のお客からは高い金が取れる。」という、何か時代遅れの、それこそ昭和の時代の常識が今の時代の錯覚になっているということに気づかない人たちがいるのではないかと思うのです。

 

お断りしておきますが、私は1300円のカレーうどんを云々しているわけではありませんよ。

カレーうどん屋さんは、1杯1300円で売るために、とてもおしゃれな雰囲気のお店にしてあって、女性でも入りたくなるようなスタイルになっていますし、食べてませんから想像の域を出ませんが、お味の方もふつうのカレーうどんよりも数段すぐれていると思います。なぜかというと、それは商売ですから、商売人として様々な工夫をしてお客様にご満足していただかなければならないからで、味はもちろんのこと、見せ方や、雰囲気などで、お客様にご満足頂くことでリピーターになっていただく。それでなければ商売が継続しませんから。

 

空港が高いのは、つまりは場所代でありますから、同じ1杯のお酒を飲むのでも、銀座で飲むのと、一駅隣の新橋で飲むのとは単価が違うのと同じように、空港で食事をするのは高いのは当然ですよ、ということだと思います。

でも、それって、お客様不在なんですよね。

お客様のことを考えていない。

だから、お客様は日常化した航空旅行で、出発空港で高い食事をしなくなってきている。

観光旅行だったら、行った先でおいしいものを食べた方がはるかに有効なお金の使い方だし、出張のサラリーマンは限られたお小遣いの中でやりくりしているわけですから、空港に来る前に食事をしてきたり、お弁当を買って飛行機の中で食べる。

こういうことで、今、空弁ブームが起きていると私は考えています。

 

このように空港の中でなら、他よりも高く商品が売れるからうまみがあるのではないか。

おそらくこう考えたのがJRの駅中商売でしょう。

駅の中で乗り換え客や長距離列車に乗車する前のお客に対して商売を展開すれば高い金額で販売できるわけですし、まして改札内ですから、お客様を独占できる。

これが、おそらくJRの幹部が考えた駅中商売の戦略だと思います。

 

でも、商売って、そんなに簡単じゃないんですよね。

改札内だからお客様を独占できると考えたものの、お客の心理としては改札内は「出発まであと何分」ですから、ショップの中での滞留時間が改札外のお店よりも短い。ということは、売り上げが上がらないということになりますね。

まして、改札内をいいことに高い商品しか販売していなければ、最初の数回はそこで買うかもしれませんが、お客も馬鹿ではありませんから、改札に入る前に買い物をしてくるようになります。

東京駅から新幹線に乗る時など、私は外のデパ地下で買いこんでから乗りますが、最近ではそういう人も増えていると思います。その証拠に、最近では駅中のお店でもリーズナブルな価格の商品が増えてきています。とすると、一等地や特等地と思って地代家賃を高く設定して、他人の商売の上前を撥ねるだけの安易な商売は成り立たなくなるということです。

 

本来、空港や駅の中での商売というのは、利用客の便宜を図るというのがスタートですから、やはり基本に立ち返って、お客様に喜んでいただくためにはどうしたらよいか、とうことを考えるようにしないと、駅前にある老舗の百貨店がどんどん閉店していく時代ですから、場所柄だけで価格をコントロールするような商売は、そこにお客様の笑顔がない限りは厳しいのではないか。

 

羽田空港で割高の牛丼を食しながらこのようなことを考えた次第でございます。