My 動輪の話

新潟へ来てからあまり話をしませんでしたが、私のドーリンのこと。

会社の中でもほとんど知ってる人がいませんので今夜はおさらい。

JR北海道の釧網本線に茅沼という駅があります。

釧路から40分ぐらいのところ。釧路湿原のはずれです。

その駅の構内に私は土地を所有していまして、その土地に動輪を置いています。


▲茅沼駅


▲私の動輪

この動輪はC58型機関車88号機のもの。
昭和13年に製造され、岡山県の新見を皮切りに中国地方や四国内で活躍し、昭和46年に四国の小松島で廃車になった機関車です。
C型ですから動輪が3軸ありますが、そのうちの1つ、第2動輪は土讃線の琴平駅に保存されていて、もう1つが縁あって私のところにやってきました。
そこで、自分が所有している茅沼駅の土地に運び込んで、地元の皆様にこのような形で設置していただいたのです。

そして、時々、このMyドーリンを見に行くのです。


▲2018年1月 仲良しの矢野直美さんとクリスタルエクスプレス特別列車で訪問。

どうして茅沼駅なのかというお話ですが、実はこの駅、日本で唯一タンチョウヅルが来る駅として国鉄時代から有名なところです。
国鉄時代に駅長さんがタンチョウに餌をあげたことが始まりのようで、それ以来やって来るようになりました。
無人駅になった後は地元の人が引き継いで餌やりをしていて、今でも冬になるとタンチョウがやって来るのです。

ホームから見るとこんな感じ。
すぐそばまでタンチョウがやってきます。

実はタンチョウは夏の間は湿原に餌が豊富なためここまで来ないのですが、冬になるとエサを求めてやってくるようで、この地域では牧場の牛舎の中に入り込んだりすることもある比較的ポピュラーな存在。でも、都会からくる私たちにとってはとても魅力的ですよね。
国鉄時代には有人駅としてしっかりした駅舎が建つていましたが、無人駅になって取り壊されて、更地になったその土地を国鉄清算事業団が売りに出したのです。そして、ご縁があって私が購入させていただきました。

で、動輪ですが、この動輪はC58の動輪ですが、ここ釧網本線で昭和49年まで最後の活躍をつづけた機関車もC58。
ということで、あながちストーリーがないわけでもありませんから、私は茅沼駅の自分の土地へ運んで設置したのです。

で、こういうことを自分でやってみるとよくわかるのです。

「あぁ、今頃、俺の駅に鶴が来てるかなあ。」
とか、
「今頃、俺の動輪に雪が積もっているかなあ。」
などなど、
遠い北の駅に思いを馳せることができる。

そういうことって、都会人にとってはとても大切なことなのではないでしょうか。

釧路地方はそれほど積雪量が多い地域ではありませんが、それでも時にはこのぐらいになります。

鶴も線路を越えてこちら側にもやってきます。

今年はコロナで移動が制限されましたので行くことができませんでしたが、それでもそろそろ動輪に雪が降る時期ですね。

「寒いんだろうなあ。」

そんなことを思うと、「よし、明日も頑張ろう。」と思える。
田舎とは、ローカル線とは、そういう力を持っているんです。

都会の人がローカル鉄道に魅力を感じるのはそういう所です。

そして、そういうことを具現化していくのがローカル線でのお仕事なのです。

今日は赤羽国土交通大臣が釧路から釧網本線に乗車されて視察されたようですが、私の動輪も視察していただけましたでしょうか。
こういう北国の駅に思いを馳せる人間がいるということを。