「何かおもしろいことをやろう!」
これ、私が会社の中で若い人たちに口癖のように言ってる言葉。
なぜなら、観光ですから。
おもしろいことをやっているところに人が集まるからです。
苦虫を噛み潰したような顔をしていたり、ガタガタともめているようなところに人はわざわざやってきませんからね。
昔から何かおもしろいことをやりたいというのが私の根底にあって、だから先日お話ししたように空港のチェックインでもめているおじさんに対して、
「5万円でビジネスクラスいかがですか?」
なんてことを言ってみたりしたのですが、
そんな私の心を呼び戻してくれたのが大多喜高校の生徒さんでした。
もう17年も前の話。
3セクの鉄道ですから地元の高校生との交流を持っているのですが、その会合の席上で、
「皆さん、どんな鉄道にしたいですか?」
と尋ねたところ、1人の生徒が
「駅弁があったらいいと思います。」
と発言しました。
その頃の私には駅弁という発想はありませんでした。
なぜなら平均乗車時間が25分程度のローカル線です。
まして当時の車両はロングシート。
とてもじゃないけど列車の中で駅弁を食べる雰囲気ではありません。
私は笑いました。
そんなの実現するはずがない。
そういう笑いです。
でも、待てよ、と思いました。
この生徒がなぜそんなことを言うのか気になったのです。
で、
「どうして駅弁なの?」
と聞き返しました。
すると
「だって、自分が毎日通学で通っている列車で駅弁があったらおもしろいじゃないですか。」
と答えました。
そうか、おもしろいか。
毎日通学で使っている生徒は駅弁のお客様にはなりません。
自分では買わないけど、自分の鉄道で駅弁を売ってたらおもしろい。
この発想が「おもしろい」と思いました。
私はもう30年以上前に千葉県佐倉市に引っ越しました。
その当時、JR佐倉駅では駅弁を売ってました。
私は、「へえ、おもしろいな。」と思いました。
自分の住む町で駅弁売ってるんですよ。
東京生まれで東京育ちの人間にとっては、なんだか毎日が旅気分です。
そんなことを思い出しまして、
「そうか、それはおもしろいね。じゃあ、やってみようか。」
ということで、高校生のアイデアから伊勢海老弁当が始まりまして、発売開始の翌年には新宿の京王百貨店の「駅弁フェア」に行くまでに成長しました。
商品を成長させるにはそれなりの方法があるので、それは高校生では無理なのでこちらの仕事でしたが、今でも応援団の皆様方がイベントなどでいすみのタコ飯弁当を販売していただいているようですから、高校生の思い付きが随分と成長したものだと感慨しきりというものです。
さて、大井川鐵道では昭和の蒸気機関車の旅ときかんしゃトーマスファミリーの世界が主力商品です。
これには強い面と弱い面があるのですが、その弱い面は何かというと、昭和の蒸気機関車の旅は旅情をかきたてられますが、昭和も遠くなりましたので、いつまでも「国鉄時代」ではやがてじり貧になります。
きかんしゃトーマスはおかげさまで大人気ですが、お客様の対象は小学生以下のちびっ子たちとその親御さんですから、子供が成長すると「いつまでもトーマスじゃないよね。」となります。
じゃあどうするか。
簡単に言えばプラレールが大好きなちびっ子でも、大きくなったらいつまでもプラレールじゃあないから、Nゲージの鉄道模型に行けるような道筋を作ってあげなければ鉄道趣味が発展しないのと同様に、トーマスで育った子供たちとそのファミリーが次のステップへ行かれるような、昭和の国鉄の皆様方が次のステップへ行かれるような仕掛けを作ってあげなければならないと私は思うのです。
で、そんな話をしながら、会社の中で「何かおもしろいことをやろうよ。」と口癖のように言っているのですが、夜行列車などもその一つであって、前回は簡易寝台などを作ってみたのです。
列車の中で寝ることにどれだけの価値があるのか?
そう思われる方も多いと思いますが、トーマスで育ったちびっ子たちが中学生や高校生になって、お父さんと夜行列車に乗る体験ができるというのは私は次のステップだと思いますし、昭和の国鉄に強いあこがれを持つ平成生まれの皆様方に、昭和の国鉄を身を持って体験していただくのが夜行列車ですから、彼らにとっても新しい世界が広がると私は思います。
客車列車に朝から夕方まで揺られるだけの長距離列車体験コースが、1万円近いお値段にもかかわらず乗車率9割を超えているのもその現れで、そういう状況を目の当たりにしてみると、うちの会社の若いスタッフも、おもしろがって次々といろいろなことを考え始めるようになってきています。

大井川鐵道のファンクラブの会員の皆様方にはすでにご紹介していますが、こんな1枚の写真があります。若い女性の2人旅の雰囲気ですね。
でも、「?????」
皆さん、気が付かれましたか?
そう、テーブルがあるのです。
「社長、こんなものを作ってみました。いかがでしょうか?」

「こうすればお座敷列車になりますよ。」
私は笑ってしまいました。
「こりゃ、おもしろい!」
「これなら特別料金も取れますよ。」
どうやら狙いはそこらしい。(爆)
でも、これならおもしろいと思いませんか?
トーマスを卒業したかつてのちびっ子たちも、昭和の国鉄を現役で体験した人たちも、これならまた乗りに来てくれそうですよね。
駅弁じゃつまらないからやっぱりオスシかな。
オハの食堂車だからオハシと命名しましたが、オハで寿司を食べるからオスシってのもいいかもね。(実際にオシやスシという食堂車の形式がありました。)
と、こんな提案をしてくれた若いチームはこれ専門にやっているわけではありません。
今、井川線の件で地元や関係各所と難しい調整を続けてくれているその同じ若者たちが、空いた時間でこんな企画をしてくれているのですから大したもんだと私は思います。
1人で何役もこなしてくれているのです。
同じ区間を行ったり来たりして朝を迎える夜行列車なるものを鉄道会社で最初にやったのは私ですが、そんなものはコロンブスの卵です。
その後、雨後の筍のように出て来て今ではあちらこちらでやっていますが、これだってコロンブスの卵です。
たぶんすぐにパクられるでしょう。
でも、大井川鐵道は早いですからね。
新幹線よりもスピード感はありますから、多分6月中に新しい商品として登場することになると思います。
さて、どんな商品になるか、皆様どうぞご期待ください。
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