台湾でドラゴンに出会った話。

週末の国鉄は大変な混雑です。
台北市内から観光で郊外へ出かけるお客様と、地方から台北へ出かけてくるお客様。
そして日曜日の午後になると、それぞれのお客様が帰っていくわけです。
人口約2400万人で、九州と同じぐらいの大きさの島国が、どうしてこんなにも交流人口の移動が激しくて、景気が良いのだろうかと、私は来るたびに感じますが、今回の出張でもまさしくそれを感じているわけです。
それは、日曜日に台北を朝の列車で出て、東海岸の花蓮という町に到着したのですが、お昼過ぎに到着したら帰りの列車がすべて満席で取れないのです。
台湾の長距離列車には自由席という考え方がなくて、指定席が満席の時には「無座」という券を発券してもらって乗車して、空いている席に座ります。そしてその席を持ったお客さんが乗ってきたら「すみません、その席私の席ですけど。」と声をかけてきますから、席を立って空いている座席に座ります。こういうことを繰り返しながらジプシーのように車内をさまよって、最後は結局座るところがないということになるのですが、遊びならまだしも仕事で来ているわけですからそんなことはしたくありません。
ということで、台北から4時間かけてきた道を、帰りは飛行機で帰りましょうとインターネットを見てみると空席がありました。
今回の出張は、台湾の東海岸線の地域の中で房総半島によく似たところを探そうという目的でやってきたのですが、仕事とはいえ営業に直接結びつかないので旅費はすべて自腹。「飛行機は痛いなあ。」と思ったのですが、特割料金が設定されていて金額的には列車と飛行機は200元(約700円)ぐらいしか変わりませんでしたので、「それでは飛行機に乗って帰りましょう。4時間かかった道のりが45分ですから。」と機内の人になりました。
機内に入って驚いたのは、プロペラの小さな飛行機にもかかわらず、ちらほらと空席があります。
鉄道は満席。行った東海岸は高速道路が整備されていませんのでバスはほとんどありません。
そういう地域で飛行機に空席があるのは、理由があります。
それはたぶん、昨年と一昨年と連続して大きな事故を起こしている航空会社の独占ルートだからだと思います。
実は去年の墜落事故でおととし私が搭乗した機体が消えてなくなっているのです。
詳細は昨年2月4日の私のブログをご確認ください。
でもまあ、連続事故の原因究明は進んでいることですし対策も立てられているはずですから、私はあまり気にしません。
怖がる同行者(ローカル鉄道ドットコムを担当してくれている若手経営者の佐藤さん)に「そういえば向田邦子さんが乗っていた飛行機が空中分解したのもこの地域だったなあ。」などとさらに怖がるようなことを言いながら機内の人になったのです。

▲ATR-72という小型のプロペラ機


個人的な話をすれば私は飛行機というのは小型になればなるほど面白いと考えていますので、なかなか乗れないこの機体は、エンジンの力が強くてぐいぐい引っ張り上げてくれる感覚がとても好きなので、今回は列車が空いていたとしても飛行機にしようと思っていたのでした。
そして、私たちの乗った飛行機は短い滑走距離でシャープな角度で大空に向かって飛び立ったのです。
台湾という島は九州と同じぐらいの大きさなんですが、中央山脈が険しくて富士山よりも高い4000メートル級の山々がそびえたっています。私たちは九州で言ったら博多から延岡ぐらいの距離を列車で4時間かけて行ったのですが、九州の久大本線や豊肥本線と言った山越えの鉄道に相当するルートは台湾にはなく、横断道路もありません。山が険しくて陸路では越えることができないのです。
そんな地形ですから3月の初めとはいえ、あたたかな空気が山に当たって上昇気流が発生し飛行機は大きく揺れながら飛んでいきます。
同行の佐藤さんは飛行機が揺れるたびにたぶんビクビクものだったと思いますが、私は雲の間をかき分けて飛んでいく飛行機の窓からいつものように外の景色を夢中になって眺めていました。
するとどうでしょう。
遠くにドラゴンが起き上がって口から火を噴いているのが見えたのです。
これはすごい光景です。
私は思わずカメラのシャッターを切りました。
▼それがこの写真です。


わずか数秒間のシーンでしたが、少しピンボケとはいえ逃すことなくものにしました。

そして飛行機は降下を開始します。
延岡発博多行の飛行機ですから離陸から着陸まではわずか30分弱。
ドラゴンが口から火を噴いていたことなど何もなかったかのように雲の中を降下して松山空港に着陸しました。
どうですか、皆さん。
ご利益ありそうでしょう。
私にご利益があるということは、いすみ鉄道にご利益があるということで、ということは、いすみ鉄道ファンの皆様方にご利益があるということですから、何か新しい世界の入口かもしれませんね。
キハ20の次にはキハ28が新造車両でデビューするかもしれません。
て言うような根も葉もないことを言うと、また怒られてしまいますが、鉄道ファンの皆様は、鉄道ばかりじゃなくてしっかりと飛行機も使い分けていただきたいと思いますので、本日はこんな文章を上げさせていただきました。
どう考えても東京ー函館は飛行機でしょう。
趣味で鉄道に乗られるのなら別ですがね。
延岡ー博多だって飛行機があれば私なら乗りますよ。
そうすればドラゴンに会えるかもしれません。
本日は台北市内でこのブログを書いております。
それでは皆様、おやすみなさい。