これが航空会社の商売です。

4月1日からスカイマークの那覇―宮古線が運休になります。
スカイマークは今やLCC(格安航空会社)とは言えなくなっていますが、沖縄に進出して、那覇―宮古線を格安運賃で運航してきました。
どのぐらい格安かというと、JALやANAが片道普通運賃で17000円以上に設定している区間が7800円。
条件付きの特割なら最安値で3800円という運賃でした。
格安運賃で運航するLCCは搭乗率が勝負ですが、もともとビジネスのパイが小さい宮古島では搭乗率は50%程度で採算が取れないため、運休となったわけです。
会社としては沖縄に飛行機を配置して運航するよりも、その飛行機を東京や大阪に持ってきて、もっと収益が見込めるところへ飛ばす方が良いのは当然ですから、そのように判断したのだと思われます。
JAL(JTA)もANAも、スカイマークが進出してきてからというもの、この路線の運賃は、正規運賃では17000円ですが、実質5~6000円程度で飛ばしてきていましたから、スカイマークの運休(撤退)で、万々歳のはずです。
そういう状況がよくわかるのが、各社のホームページ
試しにJALのホームページとANAのホームページで、那覇―宮古線の運賃を検索してみてください。
ご覧いただくとお分かりになると思いますが、どちらの航空会社も特割ベースで、3月31日には5000円台だった運賃が、翌日の4月1日には倍以上の12000~13000円代に跳ね上がっているのがお分かりいただけます。
普通運賃は変わりませんから、いちいち細かな発表もしませんので、航空会社の動向を注意してみていない限りは、こういうことには気づかないと思いますが、航空会社というのは、このぐらいしたたかな商売をしているものなのです。
鉄道運賃が距離制で、遠くに行くほど高くなるのが当たり前ではありますが、例えば、新幹線でも、東京―新大阪間は新幹線が勝ちますが、岡山や広島になれば飛行機に軍配が上がるようになる。
であるならば、東京から新大阪へ行く運賃よりも、東京から岡山や広島へ行く運賃の方が安くても良いのではないか。
航空会社出身の私は、いつもそんな風に物事を考えているわけです。
災難なのは宮古島の人で、せっかくスカイマークがやってきて、那覇へ数千円で行かれるようになったのに、撤退してしまえば、仲良く手を繋ぐ2社の天下で、1万数千円に逆戻りなわけです。
でも、LCCの就航でせっかくめぐってきたチャンスを、みすみす逃してしまったように私は感じます。
LCCは地元が育てていかないと、せっかくのチャンスがどこかへ飛んで行ってしまう。
これから地方の皆様が考えなければならないのは、自分たちに巡ってきたチャンスをつかめるかどうかということ。
そのためには、まず、目の前の現象がチャンスかどうかを見極める判断力が必要で、次に、それをすぐ掴み取る勇気と行動力が要求されるのです。
日本も遅ればせながら、そういう時代になったということだけは、明らかなのではないでしょうか。

那覇空港のJTA機。沖縄の空でも熾烈な競争が行われています。