みんなでしあわせになる祭りの本家である宮城県の栗駒には、5年前まで「くりはら田園鉄道(通称:くりでん)」というローカル線が走っていました。
この鉄道は東北本線の石越という駅から分岐して、細倉という山奥へ続いていましたが、旧国鉄線から分岐すること、全長が約26kmということなど、いすみ鉄道と同じような規模の鉄道でした。
この「くりでん」は、細倉というところにある鉱山で産出した鉛を運びだし、国鉄の貨物列車へ受け渡すための線路でした。
昔は電化されていて、栗原電鉄(通称:くりでん)という会社でしたが、貨物列車廃止された後は、経営の合理化のために電化設備を撤去し、電車からディーゼルカーに転換して、社名を「くりはら田園鉄道」に変えて(でも、通称:くりでんは同じ)運営してきましたが、赤字が大きく、2007年に廃止されてしまいました。
東北本線の石越駅から田園風景の中を20分ぐらい走ったところが栗駒駅で、この沿線では一番大きな町。その栗駒を過ぎると線路は山に入っていくというのも、栗駒駅を大多喜駅に置き換えてみると、本当にいすみ鉄道と同じような沿線を持つ鉄道で、親近感がわくところです。
今回訪ねた「みんなでしあわせになる祭り」が行われたのがこの栗駒という駅があったところで、「くりでんが廃止されてしまったことは本当に残念ですね。」と申し上げると、地元の方からは、「社長さんのような方がもう少し早く現われてくれていれば・・・」と言われましたが、鉄道は、社長がいくら頑張ってもダメ。地域が何としても残すんだ、と意思表示しなければ残らないものだと思います。
私は2003年と2006年にこの沿線を撮影に訪れていますが、当時列車が走っていたレールが、赤錆びたまま残っている光景は胸が痛くなりました。
始発駅だった石越の構内。線路が左へ分岐していました。右は東北本線の貨物列車。
ここにはくりでんの石越駅がありました。レトロで風情がある駅でしたが、取り壊されていました。
途中の若柳駅。車両基地があったこの駅は駅舎が残されて、電化されていた当時の車両もきれいにおめかしされて保存されています。ただ、構内は新しくできた道路に分断されて、当時の面影とはかなり印象が違っています。
若柳駅構内に保存されている「くりでんの車両」。ディーゼルカーになった時に作られた可愛い車両です。屋根の下に保存されているのがせめてもの救いです。
みんしあの会場のすぐ裏に残る廃線跡。もうここに列車は走らない。
「いすみ鉄道も廃止されたらこうなるのですね。」地元から参加された方の言葉が耳に残りました。
くりはら田園鉄道の名前そのままの田園地帯に残る線路跡。
パシナ倶楽部のDVDのラストシーンを撮影した場所に6年ぶりに立ってみました。
こんな広い青空の下、トコトコと列車が走る風景こそ、私たちが大切にしなければならない日本の原風景なのです。
パシナ倶楽部の「さよならくりでん」。私が制作したこのDVDの中では、今でもくりでんが元気に走っているのがせめてもの救いです。
(このDVDは大多喜駅でも販売中です。)
皆さん、ローカル線は一度廃止してしまうと、もう2度と手に入りません。
ローカル線一つ残せないようで、何が先進国ですか。
ローカル線がある地域の皆様は、ローカル線をぜひ大切にし、地域振興に役立ててください。
というのが栗駒の皆様方の実感なのです。
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